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続けることで書く力がつく/『考える部屋』4期生大発表会より

続けることで書く力がつく/『考える部屋』4期生大発表会より

小学校5年生~中学生向けオンライン創作クラス「考える部屋」。
基礎科(全24回)では、折り返し地点となる12回目に「中間発表会」を、
最終回には「大発表会」を開催し、既定の枚数&お題でシナリオを描いてもらいます。

今回ご紹介するのは4期生。
これまでにないことが起こりました。

実は今回、スケジュールの関係で23回目に大発表会を実施することに。
当日。4期生メンバーのKちゃんは驚愕。
「来週だと思っていました、作品書いてません……」。

今にも泣きそうな顔がZoomの画面に映っています。

そこで、担当の新井が、ある提案を。

「大丈夫大丈夫。じゃあ、ちょっと大変かもしれないんだけど、みんなの作品の発表中に書くことってできる?」

「ありがとうございます!できます!書きます!」

ということで、仲間の作品を聴きながら、シナリオを描くことに。

お題は「手袋」(できれば社会問題を描いてみる)。規定枚数はペラ6枚以内(=1200字程度。400字詰め原稿用紙なら3枚)。主要な登場人物は3人程度(※3人だと本音と建前が交錯して物語が面白くなるので)。

この模様を広報の齋藤がリポート。半年間、毎週火曜日、面白い物語を描くにはどうしたらいいのかを一生懸命考えてきた、その成果をご紹介。

みんなが楽しみにしていた大発表会

中間発表会では子どもたちが自分で朗読するのですが、
大発表会では毎年、『ちびまる子ちゃん』の“藤木の声”や“たまちゃんのお母さんの声”、『ONE PIECE』の“黒檻のヒナの声”などを担当されている声優の中友子さんが子どもたちの作品を読んでくださいます。

中間発表会()終了直後から、「次の大発表会では、中さんに読んでもらえるのだから、授業でもっともっといろんな技術を学んで、もっともっと面白い作品を書く!」とみんな張り切っていました。

4期生中間発表会の模様はこちらで。

そして本当に、中間発表会の作品よりももっと、それぞれの個性が光る面白い作品を描いてくれました。作品のタイトルがこちら↓

・『√1個の手袋たち』
・『柚愛と芽唯は幼馴染み』
・『アリア嬢の優雅なお茶会』
・『おばあちゃんの手袋』
・『おくりもの』
・『くるべき世界』

もうこのタイトルだけでも、作品へのこだわりが分かりますよね?
内容もみんな抜群。どの作品も、これまで『考える部屋』でお伝えしてきたシナリオの技術を使った力作です。

次々と発表が終わり、ついに、Kちゃんの番になりました。

新井が「どうでしょうか、書けましたか?」と聞いてみると、元気で大きな声が返ってきました。

「書けました!!!」

その声に、みんなで拍手!!!

急ピッチで原稿を中さんのもとへ。
中さん、ものすごい集中力で本読み&確認。

「はい、いきましょう!!!」

中さんの声に、またもやみんなで拍手!!!

いざ、発表です。

短時間で描けたのは“作家の眼”になっているから

Kちゃんの作品がこちら。

・タイトル『1つの手袋で』
=あらすじ=
夜。人通りの少ない道。高橋雄大(16)が塾から帰る途中、道端で赤い手袋を拾う。「なんだこれ、手袋か。何か入ってる。白い粉?」。すると突然、雄大は誰かの気配を感じる。後ろからゆっくり歩いてくる山田龍馬(42)。「お前、その手袋の中身を見たな。選択肢をやる。死ぬか、仲間になるか、選べ!」。「おもしれぇぇ!久しぶりにワクワクすんな!仲間になるぜ!」と雄大は狂ったような声で答え――。

発表が終わると、この短時間で書き上げたKちゃんと完璧に演じてくださった中さんに向けて、「おおお!」という歓声と割れんばかりの拍手が。

仲間からの感想がこちら。

・この短時間でこんな面白いシナリオを描けたのは、やっぱりちゃんと今まで頑張ってきたからなんだなって思いました。

・あやしい場面からいきなり始まって、「うわ、主人公が襲われちゃうの!?」って思ったら、襲った相手の仲間になっちゃって、みたいな、とにかく展開がスピーディーで。主人公に引っ張られていくカタチでその世界観に入っていけるのがすごく面白かったです。

・普段の『考える部屋』のときも、物語を聞く人にどうしたら楽しんでもらえるか、というのをすごく考えているんだなって思っていました。そういうサービス精神旺盛なところがすごいなって尊敬してるし、この作品からもそういうふうに感じました。

その後、『考える部屋』基礎科を担当している「ヒロくん」と、基礎科の次のステップである『考える部屋』本科・研修科のレギュラーメンバー「ちゃこさん」が感想を。
※『考える部屋』の講師陣は「先生」ではなく、ニックネームで呼んでもらっています。ちなみに新井は「かずちゃん」です。「ちゃこさん」さんはシナリオ・センター出身ライターの田嶋久子さん。子どもたちと同じ“勉強する側”でご参加いただいています※

〇ひろくん:小道具である「手袋」の使い方が秀逸。手袋の中に何かを隠す。しかも隠したものが、なんだかやばそうな白い粉だった、というのは、なかなか思い浮かばないアイデアだと思います。

それから、大発表会の作品は「できたら社会課題を描いてみよう」と言っているんだけど、その部分もちゃんと考えられていましたね。いま問題になっている、「スマホを使った闇バイトの斡旋」みたいなことも感じさせるように描いていて、そこもすごくいいなって思いました。

〇Kちゃん:最近ニュースで結構話題になっているのでパッと思い浮かんで書きました。

〇ひろくん:もうこれは、“作家の眼”になっている証拠だね!

日頃から色々なことにアンテナを張って、さまざまな角度から物事を見ているから、今日みたいに急遽書くことになったときもパッと思いつくんだと思います。日頃の成果がこういうところに出ていますね!

あと、『考える部屋』で普段お伝えしている「テーマ・モチーフ・素材()」に関してもきちんと考えられていることが分かるし、その点においても本当に素晴らしかったと思います。

「テーマ・モチーフ・素材」についてはこちらを。

〇ちゃこさん:まさかの展開続きで驚きを隠せません!「赤い手袋が落ちている」というところから、「死ぬか、仲間になるか選べ」と言われるシーンになり、「え?」と思っていたら、主人公は「ワクワクすんな!」と仲間になっちゃう。誰も先の読めない、予想外の展開。この短時間で、こういう作品を描けちゃうなんて素晴らしいです。これはKちゃんにしか描けない物語だね。これからも自分の世界を貫いてくださいね。アイデアをどんどん出して、どんどん描いて、周りの人を驚かせてください!

これらの感想を受けて、Kちゃんの感想がこちら。

〇Kちゃん:えっと、やっぱりまだ自分の中では描ききれていない部分はあるんですけど、感想をもらえて嬉しかったし、面白いと言ってもらえたので、またこれからもこだわって描いていこうと思います。

Kちゃんのコメントに「うんうん良かった良かった」と頷く仲間や講師陣。

大大大感動のうちに、無事発表を終えることができました。

成長した証

*

『考える部屋』は「基礎科」で終わりではなく、次のステップ「本科」()に進級できます。このクラスには1~3期生もいるので、“先輩”と一緒に基礎科で習ったシナリオの技術を使ってバリバリ課題を書いていきます。

本科の模様はこちらで。
身につけた表現技術をさらに深める!

なので“今日で終わり”というわけではないのですが、大発表会が無事に終わって“一区切り”ついた!ということで、皆さんに基礎科(半年間)の感想を聞いてみました。

・半年間やってみて自分がうまくなれたかはちょっと自信ないんですけど、自分の好きなものを描いたりとか、皆さんのシナリオを聞いたりして、すごい楽しかったです。

・(↑この感想を受けて)さっき「自分がうまくなれたかはちょっと自信ない」って言ってたけど、最初からうまかったし、どんどんうまくなってるし、本当にすごいなって思う。でも私はそんなうまくなった感じはないな……。大発表会で頑張ろうって思ったけど……。でも、今まで習ってきたことを全部入れて書くことはできたから良かったかなって思うし、半年間楽しかったです。

・中間発表会のときの作品よりかは、今回の作品のほうが良い作品になったかなと思っています。半年間、後悔なく楽しく過ごせたかなと思っています。

・今日、緊張しすぎて……。話すことができないんじゃないかって思うくらい緊張しました。最初は半年間続けられるかなって心配してたけど、楽しく続けられて良かったです。

・半年間やって、カットバックとか色々な表現方法を知ることができて、ノートもちゃんと取れたので、良かったです。

・もう半年経ったんだ、ということを実感できていない自分がいます。早かったです。「えー!」って思うこととか、「ふーん、そうなんだ!」って思うこととか色々あって、すごい楽しかったです。

・俺はめちゃめちゃ成長したと思っています。この前、半年前の自分が書いたものを読み返したんですけど、「うわ、ひどいな」って思っちゃって。いわゆる初心者、みたいな。だから自分、成長したな!って。今回の作品も楽しく書けたし、書くことがもっと好きになった。嬉しく思ってます。

――皆さんの感想を受けて、新井がこんな言葉をかけました。

〇新井:「成長してない」って言ってた子もいましたが、仲間の作品を聞いて「構成がうまいな」とか「こんな面白い物語が書けるんだ」って感じて、で、「それに比べて自分のは面白くない、成長してない」って感じたんじゃない?

それって逆に「成長した証」というか、作品を見る眼が肥えて、自分が“良し”とするハードルが上がったんじゃないかなって僕は思うんですよ。

「〇〇が上手だな」とか「こういうところが面白い」って、自分なりに分析して、ちゃんと考えることができている時点で、半年前よりずっと成長してるんだよ。思い出してみてよ。『考える部屋』が始まったばかり頃、人の作品を聞いて感想をスラスラ言えた?どの部分が、どんなふうに、なんでいいのか、なんてよく分からなかったと思うの。でも今みんな、感想を言うの、すっごく上手じゃない。

それは半年間、面白い物語を書くにはどうすればいいのか、毎週毎週みんなで考えて、実際に作品を書いて、聞いて、というのを繰り返したからだと僕は思います。

それに、感想だけでなく、みんなの作品も、半年前よりもっと個性が際立った面白いものになっています。半年前に書いた作品と今日発表してくれた作品を比べてみたら、その差は歴然だと思います。

――Zoomに映る皆さん。うんうんと頷いたり、にっこり笑っています。

そうです。
人の作品を聞いて、「こう書けば、こう表現できて、面白くなるんだな」と分析して、それを自分の作品に自分なりのアレンジで取り入れてみる。これを繰り返していくことで、「もっと面白いものを描けるようになりたい!」と思うようになる。そして、もっと書くことが好きになる。これが『考える部屋』の醍醐味ではないかなと思います。

なお、『考える部屋』基礎科「5期」は7月開講予定です。今回ご紹介した模様をご覧いただいて、ご興味をおもちいただけましたら、体験&説明会も実施しますので是非ご参加いただければ!と思います。

※ご参考までにこれまでの大発表会の模様も是非ご覧ください。
1期生 大発表会

2期生 大発表会

3期生 大発表会

※中間発表会の模様はこちら
1期生 中間発表会

2期生 中間発表会

3期生 中間発表会

4期生  中間発表会

※『考える部屋』についてもっと知りたい!という方はこちらのブログも併せてご覧ください。
考える部屋

考える部屋Q&A

子どもたちの考える力を伸ばすには

小・中学生向けオンライン創作講座『考える部屋』講師紹介

小学5・6年生、中学生向けオンライン創作講座『考える部屋』まとめ

やりたいことが明確な子どもたちが集結!『考える部屋』開講

『考える部屋』エピソード3 キャラクターを描ききれ!

観客・視聴者・読者が 「おもしろい!」と思うシーンを考える/『考える部屋Ep6』

書きたいことを形にするには/小学校高学年・中学生が物語を考える

面白い物語が作れていない時は「起承転結」で考える/「考える部屋」1期 Season2よりご紹介

創作が好きな子どもにお薦めの習い事/好きな事を共有できる場所

「考える部屋」1期 Season2よりご紹介/面白い物語が作れていない時は「起承転結」で考える

キッズシナリオについて:出前授業&「考える部屋」

・出前授業シナリオ・センターは、1970年創立。優秀なシナリオライター・脚本家、プロデューサー、ディレクターの養成を目的に創設以来、700名以上の脚本家や小説家が誕生しています。2010年から「日本中の人にシナリオを書いてもらいたい」という思いから、小中学校への出前授業として『キッズシナリオ』プロジェクトを開始。創作を楽しみながら、想像力と表現力が身つくカリキュラムを提供しています。
>>ご参考までにこちらの動画を。

※キッズシナリオの活動をアシストくださる方、随時募集中です!
シナリオ・センターが小学校・中学校で実施しているキッズシナリオの活動を後押ししてくれるアシストの方々(個人・法人)を募集中しています。手弁当で実施しているので、アシストしていただけるととても助かります!
>>ご興味のある方は、こちらをご覧ください。

・小学5年生~中学生向けオンラインクラス「考える部屋」
創作が好きな子どもたちが日本全国から集まって、切磋琢磨する特別クラスです。創作を楽しみながら、考える力を身につけていきます。なお、7月開講『考える部屋』5期生の募集を予定しています。
>>まずはこちらから詳細をご覧ください。 

シナリオ・センターでは、小学校や中学校など教育団体への出前授業を実施しています。オンラインでも実施可能です。「こんなことを子どもたちに伝えてほしい…」というお悩みがあれば、お気軽にお問い合わせください。

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