◆物語が動かないときは登場人物の「キャラクター設定」が鍵
世界観や設定は思いつくのに、物語をどう動かせばいいか分からない――
創作をしていると、多くの人がぶつかる悩みです。
そんなとき、最初に取り組むべきなのが 「主人公のキャラクター設定」 です。
以前、シナリオ・センター出身の小説家の方とお話しした際、ご著書の主人公について、まるで実在の知人のように語られていたことがありました。
「この人はこういう性格で、こんなことが得意で、だから昔はこういう経験をしていたんです。
だから、あの場面でもついああいう行動をしてしまって、結局あんな出来事に巻き込まれることになったんですよ」
もし周囲で聞いていたら、フィクションの人物だとは気づかないほどの“リアルさ”だったはずです。
このエピソードこそ、物語づくりの核心。
キャラクターがしっかり固まっていれば、作者が物語を動かすのではなく、主人公自身が自然と動き始める。 その結果、ストーリーは勝手に転がり出します。
では、どうやってキャラクターを設定すればいいのでしょうか。
今回は、シナリオ・センター代表・新井一樹が参加している「世田谷ふしぎの本プロジェクト2026」(昭和女子大学日本語日本文学科 × 世田谷区立下馬図書館 × 図書館総合研究所)の取り組みから、物語づくりのヒントをご紹介します。
◆世田谷ふしぎの本プロジェクト2026とは
子どもたちが作家役、昭和女子大学の学生たちが編集者役となって絵本を制作するプロジェクトです。
地域の「気になるもの」「不思議に思うこと」をテーマに、アイデア収集(教育家・市川力さんが提唱する探究学習の手法「Feel度Walk」) → 企画書作成 → 原稿制作 → 編集 → 印刷 → 製本という本づくりの流れを体験します。
完成した絵本は下馬図書館の本棚に並び、子どもたちが見つけた“ふしぎ”を、また誰かが見つける――
そんな素敵な連鎖が生まれる取り組みです。
※これまでの模様はこちらから
▼2023年の模様
・アイデアを広げる
・発表会
▼2024年の模様
・アイデアを広げる
・発表会
▼2025の模様
・アイデアを広げる
・発表会
◆アイデアを広げる「マインドマップ」
新井がお伝えしたのは、マインドマップを使ってアイデアを広げる方法。

・マインドマップとは
イギリスの著述家であり教育者のトニー・ブザン氏が提唱した思考の表現方法。
今回はより簡単に使える「新井一樹流」で実践
・やりかた
真ん中に、絵本に使いたい「ふしぎ」を書く(=セントラルイメージ)。
そこから連想したアイデアを放射状に広げる。
〇新井:セントラルイメージから離れてしまっても気にしなくてOK。
「これはお話に使えないかな」と考えなくてもOK。
アイデアが出ないときは、この2つの切り口で考えてみてください。
①「もしも〇〇なら」を考えてみる。
②「あべこべ」を考えてみる。
アイデアを沢山出しておくと、行き詰まったときに使えるので、どんどん出してください!


◆マインドマップから「主人公」を選び、キャラクターを設定
〇新井:アイデアが広がったら、次は「主人公選び」です。
人間以外の動物やモノでもOK。
マインドマップから主人公を決めたら、次は 「キャラクター=性格など特徴」を設定します。
キャラクターが固まると、こういうときはこう言いがち、こういう状況ではこう動きがち、と判断しやすくなり、物語が自然に進みます。
キャラクターを設定する際は、シナリオ・センター監修「ヒントブック」を使いましょう!

〇新井:ページをめくると、「その登場人物は○○ですか?」という質問が6~7個並んでいます。
例えば、
Q.どんな性格?
(「優しい性格」などシンプルでOK)
Q.お気に入りのものは?
Q.物語の中で達成したいことは?
などなど。
全部答えようとしなくても、ペラペラめくって、思いついたところからキャラクターのイメージを膨らませていけばOK。
これに答えていくだけで、キャラクターが自然と立ち上がります。
では、やってみましょう!

◆主人公を「かぎ」にした子ども作家
ヒントブックを使ってキャラクターをしっかり設定!

ある“子ども作家”が主人公に選んだのは「かぎ」。
ヒントブックを使って、以下のようにキャラクターを設定しました。
・主人公「かぎ」のキャラクター
<性格>
好奇心旺盛。知りたがり。冒険好き。優しい。元気で明るい。友達が多い。寂しがり屋。
<口グセ>
閃いたときに「ガチャ!閃いた!」
<クセ>
嬉しいときに回りがち
<嫌いなもの>
湿気。蝶番。ドアノブ
<読者が憧れるような一面>
錆びても自信を失わず、キラキラは消えない
<読者が共感する一面>
人前では元気だけど、裏では弱い(泣いちゃう)
<体の大きさ>
普通のカギより小さめで4センチくらい
◆キャラクターを設定すると「姿形」まで思いつく!
先ほどご紹介した主人公「かぎ」のキャラクター。
短時間でここまで細かく設定できるなんて、すごいですよね。
なんとさらに。
このキャラクターから姿形をイメージして、イラストも描いてくれていました!

キャラクターを丁寧に設定すると、性格や行動だけでなく、姿形まで自然と立ち上がってくる。
そのことが、よく分かりますよね。新井も、主人公「かぎ」のイラストに感動!
そして最後、新井は皆さんにこう呼びかけました。
〇新井:キャラクターを設定し、さらに、そこから姿形までイメージできれば、「物語をどう動かそう」とそこまで悩むことなく、「このキャラクターならこんなときどうするかな」「こういうキャラクターだからこんなことが起こるかも」と考えやすくなるのではないでしょうか。
時間を置いてみると、もっといいアイデアが出てくるかもしれないので、今日ご紹介したやり方を使って、もっと深めていってくださいね。

* * *
世界観や設定は思いつくのに、物語をどう動かせばいいか分からないとき。
今回ご紹介した「マインドマップ」や「ヒントブックの質問」を使って、登場人物のキャラクター設定を行ってみてください。
登場人物が生き生きと動き出せば、あなたの物語も自然と転がり始めるはずです。
◆新井一樹 著書ご紹介
★『大人になっても「書くこと」を好きでいたい君へ シナリオ・センターが伝える 14歳からの創作ノート』(KADOKAWA)

今回ご紹介した「ヒントブックの質問」は、新井の著書『大人になっても「書くこと」を好きでいたい君へ シナリオ・センターが伝える 14歳からの創作ノート』のP66・67(図参照)がもとになっています。
もっと詳しく知りたい!という方は、是非こちらお読みください。

※こちらの記事も併せてご覧ください。
▼「小説 書くの恥ずかしい」を克服/出版記念ワークショップ@ジュンク堂書店池袋本店
▼物語の作り方を紹介 ~小学生から大人まで物語をつくりたい人へ~
▼あなたのアイデアを、物語に仕上げるための『シナリオ・センターが伝える 14歳からの創作ノート』
▼脚本家・政池洋佑さん流 創作術/新井一樹 出版記念対談より
・出版記念イベントとして開催した特別講義「頭ひとつ抜けた小説を書くためのシナリオ・センター式 創作術」
▼【カクヨム】アーカイブ動画&書き起こし記事
★『プロ作家・脚本家たちが使っている シナリオ・センター式 物語のつくり方』(日本実業出版社)

※こちらのブログも併せてご覧ください
▼面白い物語になっているかチェック!『シナリオ・センター式 物語のつくり方』
★『シナリオ・センター式 物語のみがき方』(日本実業出版社)

※こちらのブログも併せてご覧ください
▼コンクール前に悩まないために!『シナリオ・センター式 物語のみがき方』発売開始
◆シナリオの技術に興味が出たら――
このブログを読んでくださっているあなたも、
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