面白い物語になるかどうか、7つのポイント!
シナリオ・センターの新井です。
7月28日に、日本実業出版社さんより『プロ作家・脚本家たちが使っている シナリオ・センター式 物語のつくり方』が発売になりました。
どんな書籍なのか、というと、創作にめちゃくちゃ役立つ本です!
献本させて頂いた内館牧子先生からは、「作家を目指すすべての人に役立つ本」だと言って頂きました。
創作する皆さんが、エンドマークまで面白い物語を書くための「創作の地図」を明らかにし、それぞれのパートで何を考え、どう書けば面白くなるのかをお伝えしております。
シナリオ・センター生の方には、あたらめて『シナリオの基礎技術』『シナリオの技術』『シナリオ作法論集』のエッセンスを掴んでもらえます。
シナリオ・センター“お初の方”には、現役で活躍しているプロの作家さんが身につけてきた表現技術を、手に入れることができます。そんな美味しい一冊になっています!
本ブログでは、『プロ作家・脚本家たちが使っている シナリオ・センター式 物語のつくり方』の序章の3「『創作の地図』を持っていないと起きる7つの問題」から、コンクール対策にもなる、面白い物語になっているかどうかのチェックリストを公開しちゃいます!
書店・Amazon等で好評販売中です!『プロ作家・脚本家たちが使っている シナリオ・センター式 物語のつくり方』
「面白くない」原因を整理する
創作に取りかかる前に、作品が「面白くない」原因を掴みましょう。あらかじめ原因がわかっていれば、創作に取り組む際に、あなたは注意できるはずです。言うなれば、創作前の予防接種です。
原因❶ アイデア倒れになっている
アイデアは面白いのに、という作品はたくさんあります。アイデアのよさを、物語全体に活かしきれていないパターンです。アイデア倒れになってしまう作品は、設定の魅力とシーンの魅力が釣り合っていないか、設定にアイデアを盛り込みすぎて、物語の軸がぼやけているかのいずれかです。
アイデアの出し方、そして物語の設定のつくり方については、第2章で詳しく説明します。世界観を練りすぎてしまう人も、世界観が思いつかない人も、手を休めずについてきてください。
原因❷ 登場人物のキャラクターがブレている
登場人物のキャラクターがブレてしまう、いわゆる「キャラブレ」の状態です。キャラブレが起きると、「こんなこと、言うかな?」「こんなこと、するかな?」と観客・読者の気持ちは、作品からスッと離れていきます。
これは、登場人物のキャラクターの設定に原因があります。第3章に解決策を載せてあります。苦手な方は、一緒に克服していきましょう。
原因❸ 主人公のアクション・リアクションがありきたり
どんなに設定が面白くても、主人公の言動がありきたりでは、やはり面白くありま せん。アクション・リアクションは、ドラマの最小単位であり、観客・読者が目にする部分です。ここが面白くないと、「ありがちな話だな」と思われてしまいます。
主人公のアクション・リアクションがありきたりになるのは、登場人物のキャラクターとシーンの描写力が不足しているためです。先に挙げた登場人物のキャラクターのイメージがぼんやりしていること、登場人物の言動を、映像的にイメージできていないことが原因です。何気ないセリフや行動にも、主人公らしさが出るようにしていきましょう。
第3章でお伝えする登場人物のつくり方と、第5章でお伝えするシーンの描き方を参照してください。
原因❹ 主人公が目的に向かっていない
主人公が目的に向かっていない、もしくは、主人公の目的がよくわからないと、観客・読者は物語に入り込めません。構成に大きな問題があります。主人公が目的を持つからこそ、そこに向かって行動が生まれます。そして、行動することで、障害に出くわします。主人公の目的が明確でない場合、観客・読者は「この物語は、どこに向かっていくのか?」とモヤモヤし始めます。主人公の目的は、物語を進める上でも、観客・読者を惹きつける上でも、大切です。
この問題は、第3章でお伝えする登場人物のキャラクターの設定と、第4章でお伝えする構成の立て方によって解決できます。
原因❺ 主人公が困っていない
主人公が困っていないというのも、面白くない原因になります。
ドラマとは、葛藤、対立、相克であると、新井一は言っています。言い回しは異なっていても、古今東西の創作の指南書には、同じようなことが書かれています。 主人公が障害を前に葛藤する姿を見て、観客・読者は感情移入をします。感情移入 というのは、ちょっと難しい言葉ですが、「どうなるのだろうか」「どうするのだろうか」と、主人公の行動が気になっている状態です。
映画やテレビドラマであれば、手に汗を握るでしょうし、小説やマンガであれば、ページをめくる手が止まらない、といった感じです。
主人公が困らない原因としては、ストーリーの展開に気を取られて、ドラマが描けていないこと、シーンにおける主人公の欲望と目的が、作者の中で不明確なため、主人公が困る状況をつくれていないことが挙げられます。主人公が困っているかどうかは、あなたの作品が面白いかどうかの基準になります。
第4章の構成の立て方と、第5章のシーンの描き方を参照してください。
原因❻ 起きる問題が単調もしくは極端
作者は、主人公に様々な障害をぶつけます。その障害に対する主人公のアクション・リアクションを、観客・読者はハラハラドキドキしながら、追いかけるわけです。
となると、どう障害をぶつけるのかは大切な部分です。面白くない物語になってしまう障害のぶつけ方は、2つあります。
1つ目は、障害が単調なパターンです。単調というのは、1つ目の障害と、2つ目、3つ目の障害が同じくらいだということです。財布をなくして、携帯をなくして、カバンを忘れて……といった感じで、同じようなレベルの障害が起きます。主人公のアクション・リアクションもさほど変わらないので、観客・読者は飽きてしまいます。
2つ目は、主人公を困らせようと、極端な障害ばかりをぶつけてしまうパターンです。火事が起きて、台風がやってきて、病気が発覚して、というような感じです。たしかに、主人公は困るでしょうが、これらは誰でも困ることです。こういった物語を、「水っぽい」と言います。
天変地異を出してはいけない、ということではありません。観客・読者をエンドマークまで引っ張っていく最高のアイデアを考えたいのです。
解決策は、第4章でお伝えします。構成が苦手な方は参考にしてください。
原因❼ クライマックスで盛り上がらない
物語の一番の見せ場となるのが、クライマックスです。ロマンチックなシーンや、 泣けるシーン、怒りに震えるようなシーン、手に汗握るシーン、迫力のあるシーンな ど、クライマックスで観客を惹きつけるわけです。物語を「観てよかった」「読んでよかった」「考えさせられるなぁ」という、カタルシスは必須です。
クライマックスが盛り上がらない原因は、2つあります。 1つは、クライマックスに至るまでの構成の問題。もう1つは、クライマックスシ ーンのアイデアの問題です。クライマックスを盛り上げる方法は第4章で、シーンついては第5章でお伝えします。
面白い物語は、だれにでも書ける!
面白いか、面白くないか、というのは、個人の感覚でもあります。観客・読者の趣向については、作者側にはどうすることもできません。だからこそ、趣向に左右されない部分を詰めておきたいのです。それが、「どう書くか」という表現技術です。表現技術によって、最低限の面白さは担保できます。あとは、「何を書くか」という、あなたの作家性を掛け合わせるだけです。
7つの面白くない原因をひっくり返せたら、相当面白い物語が書けると思いませんか。いや、事実書けるのです。あとは、やるだけです。
**本文ここまで**
ということで、7つの問題点を華麗に解決するのが、そう、本書『プロ作家・脚本家たちが使っている シナリオ・センター式 物語のつくり方』です。書店・オンライン書店などで好評販売中です。是非、お手に取って貰えたらと思います。
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『プロ作家・脚本家たちが使っている シナリオ・センター式 物語のつくり方』
はじめに ─ あなたのための創作講座が、始まります ─
序 章 創作の地図を手に入れよう
第1章 物語の姿を知ろう
第2章 物語の設定のつくり方
第3章 登場人物のつくり方
第4章 物語の構成の立て方
第5章 シーンの描き方
第6章 物語の活かし方
おわりに ─ 創作講座はおしまい。あなたの創作は続く─