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不思議な物語を書くとき
@世田谷ふしぎの本プロジェクト2023

不思議な物語を書くとき/@世田谷ふしぎの本プロジェクト

8月からスタートした、昭和女子大学×世田谷区立下馬図書館×VIVITA JAPAN「VIVITA BOOKS  世田谷ふしぎの本プロジェクト2023」(全10回)。子どもたちが作家役、昭和女子大学の学生たちが編集者役となり、まちの「気になるもの」や「不思議だなと思うこと」をテーマに、下馬図書館に来る子どもたちや地域の方々に読んでほしい本をともに作り上げる、というプロジェクト。

子ども&学生でペアを組み、本の企画・設計・編集・手製本など、本作りに必要な工程を学び、お互いの持つ視点を面白がりながら、それぞれの持ち味を活かした本づくりを目指します。作った本は下馬図書館の蔵書として展示・利用予定。

1回目は「feel度walkでアイデア探し」、2回目は「ペアで本のアイデアをふくらまそう!」を実施。そして3回目となる「本の世界観をまとめよう!」で、シナリオ・センターの新井がお手伝いさせていただきました。

今回はその模様を広報の齋藤がリポートいたします。例えば「不思議な話を作って学芸会などで発表したい」という先生&生徒さんや、「オムニバステレビドラマ『世にも奇妙な物語』のような不思議な物語を書きたい」と思っている方は、今回ご紹介する模様を参考にしてください。

アイデアを形にするためにまずは「設定」を整理

*

「feel度walk」とは、なんとなく気になるモノ・コト・ヒトと「出“遭”い(であい)」ながら、あてもなく歩くこと。子どもたちと学生さんは、三軒茶屋のまちや昭和女子大学の構内を「feel度walk」したとのこと。皆さんは何に出遭ったのか。それをもとに現時点ではどんな物語を考えているのか。冒頭、今回参加している4チームに発表してもらいました。

チーム①:まち歩きをして、怪しいピンクの粉を見つけました。これは恐竜たちの養分みたいなもので、いろいろな植物を癒す効果があるんじゃないかと考えました。あと、白い足跡を見つけて、人の足跡なのか、それとも違う生物の足跡なのか、はたまた恐竜の足跡なのか、と発想していきました。物語の舞台は古代の島です。恐竜や昔の生物がいて、レーサーの主人公とライバルが登場します。もともとカーレースが好きなのでその要素も入れようと思っています。

チーム②:動物に興味があるので、登場人物はすべて動物です。探偵のカワウソと助手のハムスターが事件を解決していく物語。事件を通して、動物の習性や特徴を描こうと思っています。動物の魅力を伝えたいです。

チーム③:昭和女子大学のプールが気になったことがキッカケで発想しました。主人公は、窓から地下のプールが見える部屋に迷い込みます。プールにはなぜかタヌキがいて、主人公は気になって毎日その窓を覗きに来るようになります。その時々で、タヌキが増えていたり、化ける練習をしていたり。毎日覗いているうちに、タヌキが何か大きなものに化けようとしていることが分かってきます。そして翌日、また窓を覗くとタヌキはいなくなっていて――という内容です。

チーム④:紫陽花を見ていたら、虫食いの葉っぱがあることに気づきました。虫食いの穴は地図にも見えるし、覗くと不思議な世界が見えます。そこから、どんな穴を通るかで辿り着ける場所も異なるんじゃないかな、と思いました。不思議な世界を舞台にした話を書きたいです。

――物語を作ることが大好きな皆さんなだけに、もう早々に「こういう感じの話を作りたい!」というのが出来ています。

では、この段階から、ひとつの物語になるように考えていくには、どんな作業から取り掛かればいいのでしょうか。新井がまず皆さんにお話ししたのが「設定」についてでした。

〇新井:いま、アイデアはあるけど、物語の詳細はまだちょっとぼんやりしてるでしょ?そこでまずやってもらいたいのが「設定」を整理すること。設定というのは、「テーマ」「モチーフ」「素材」。この3つを整理していくと、作りたい物語の“輪郭”がはっきり見えてくるよ。

〇新井:テーマというのは、伝えたいこと。これを考えるときは、小難しく考えないことがポイント。例えば「〇〇の大切さ」「〇〇のすごさ」とかシンプルに考えてね。というのは、テーマは物語を作るときの旗印なので、ここが複雑だと、どこに向かっていけばいいか、物語の方向性が分からなくなってしまいます。

モチーフは、テーマを具体的にしたもの。シナリオ・センターでは「テーマを“肉体化”するもの」と言っているんだけど、簡単に言うと、タイトルなしでも「ああ、あの話」と分かるような、「作品を象徴するもの」。みんなの場合は既にアイデアが出ているから、もう実はモチーフは出てると思うよ。例えば、さっき発表してくれたチーム③の話なら、モチーフは「プール」とかね。

素材は、モチーフを具体的にしたもので、「天・地・人(=時代・舞台となる場所・人物)」のこと。人でなくても擬人化された動物でもOKだよ。

――少し時間を取り、この3つを考えてもらいます。

「ありえない話って、テーマを考えるの難しい……」

――どうやら全4チーム、テーマは考えていなかったようで「難しい……」と悩んでいました。

プールの話を考えているチーム③は新井やVIVITA JAPAN スタッフの方とこんなやりとりをしていました。

 

〇チーム③:ありえない話って、テーマを考えるの難しい……。最初、テーマは「ありえない話」とか「不気味な世界」と思っていたけど、それは「伝えたいこと」じゃないし。

〇新井:特に、ありえない話とか不思議な話はテーマを考えるのは少し難しいかもしれないね。でもね、「こういう話を作りたい」というのが結構できあがっているから、「伝えたいこと」はあるはずだよ。

〇チーム③:「知らないことは怖い」かな。うーん。

〇VIVITA JAPAN スタッフ:普段からこういう怖い話、好きなの?

〇チーム③:はい!怖いことを想像するのって楽しい。ドキドキする。気づくと怖いことを考えていて、やめられない(笑)。

〇新井:お!なんかいま、テーマらしきものが出てきたんじゃない?

〇チーム③:「コワイけど気になる」かな。

〇新井:その調子でテーマを固めてみてね。

――チーム①は新井にこんな質問をしていました。

〇チーム①:「テーマはナシ」というのはダメですか?

〇新井:大胆だね(笑)。

〇チーム①:難しい……。

〇新井:描きたいのは恐竜とレーサーの物語だよね。この物語を通して、どんなことを読者に伝えたい?

〇チーム①:うーん。

〇新井:あ、じゃあ例えばさ、アニメの『弱虫ペダル』って知ってる?あの作品のテーマは「友情の大切さ」。友達って大切だよね、というのを物語を通して伝えている。

〇チーム①:ああそっか。

〇新井:こんな感じで、もうちょっと考えてみよう!

――とこんなふうに、テーマが見つからないときは、「これはどんな物語なのか」「なんでこの物語を思いついたのか」といったことを何気なく周りの人たちと話していると、ポッと出てくるかもしれません。

新井、そしてVIVITA JAPANや世田谷区立下馬図書館のスタッフの方々は、「いまちょっと行き詰まっているかな」というときに、さりげなく話しかけることで、子どもたちや学生さんたちの作業の“後押し”をしていました。

登場人物の人数・キャラクター・名前・構成(起承転結)を考える

――その後、新井は以下の4点を解説&ご紹介しました↓

新井:登場人物には、主役・脇役・端役・エキストラと種類があります。そこをふまえて登場人物の人数を決めよう!

▼詳細はこちらのブログを参考に
これでスッキリ!人物の描き分け

 

新井:登場人物のキャラクター(性格)を設定します。キャラクターによって、言うこと(セリフ)ややること(行動)が変わります。キャラクターを設定するにあたって、「憧れ性」と「共通性」を考えてみよう!
※憧れ性は、観客が「すごいな!」と思うところ。共通性は、観客が「自分と同じだ!」と思うところ。

▼詳細はこちらのブログを参考に
脚本を面白くする登場人物の描き方

登場人物を魅力的にするポイントが、『あこがれ性』と『共通性』だという理由

 

新井:登場人物の名前はキャラクターに紐づけて考えよう!

▼詳細はこちらのブログを参考に
『やまとなでしこ』に学ぶ脚本の勉強法:登場人物の名前のつけ方

 

新井:キャラクターが設定できたら、「こんなシーン(場面)作れそうだな」というアイデアが湧いてくるので、「思いついたシーンをどう並べたらいいのか」という問題が出てくると思います。そこで構成(起承転結)を考えてみよう!

※起・承・転・結、それぞれの機能がこちら。

・起=「天(時代)」「地(舞台・場所)」「人(登場人物のキャラクター人物)」を紹介する部分。また、「アンチテーゼ(テーマの逆)」から始める。

・承=障害が発生して、葛藤する部分。障害の種類は3つ、①事実 ②事情 ③事件

・転=テーマ(この物語で伝えたいこと)を感じさせる部分

・結=テーマの定着と余韻を持たせる部分

▼詳細はこちらのブログを参考に
「文章が書けない」となる前にすべきたった1つ

――新井の説明を聞いた後、チームごとに自分が作りたい物語の登場人物の人数・キャラクター・名前、そして構成を考えていきます。皆さん夢中で休憩もとらず、作業を続けていました。

大切なのはテーマとアイデアを伝えること

――最後に、新井の話を通してどうブラッシュアップできたか、発表していただきました。

「テーマはナシでいいですか?」と悩んでいた恐竜の話を考えているチーム①は↓
チーム①:テーマは「人には良いところと悪いところがある」にしました。このテーマから出だしのシーンも考えることができました。また、起・承・転・結の機能をふまえて、具体的な内容にブラッシュアップできました。

――動物の話を考えているチーム②は↓
チーム②:最初は、「探偵のカワウソは警察からの依頼を受けて、それで事件を調べ始める」みたいな話を考えていましたが、カワウソを「優しい性格」と設定したことで、優しくて思いやりがあるから依頼を受けてからではなくて自ら行っちゃう、という流れに変えました。キャラクターを決めることで、「このキャラクターならこうするな」と考えられるようになりました。

 

――プールの話を考えているチーム③は↓
チーム③:主人公と、その友達のキャラクターを決めたら、こんな名前で、こんな顔をしていて、こんな高校に通っていて、とイメージが湧いてきました。絵本にする予定なので、イラストも描いてみました。また、起・承・転・結の機能を知ったことで、物語の展開もブラッシュアップできました。

――虫食いの葉っぱから発想して話を考えているチーム④は↓
チーム④:テーマは「世界や自分は身近なところから変えられる」です。文明はすごいけど優しさがない世界で、地球人に優しさを教えてもらう、という内容にしました。これから、テーマに沿った内容を具体的に考えていきたいと思います。

――今回、新井がお伝えしたことを活かして、少しずつ形が見えてきたのではないかと思います。新井は締めの言葉として、皆さんにこう呼びかけました。

〇新井:今日お話ししたことを通して、みんなの作品の“目指すべき方向性”は見えてきたかな、輪郭は少しできてきたかなと思います。

ただ、いまはちょっと、「こうなってああなって」と話の構造を組み立てるほうに気持ちがいっているかもしれません。でもそれはあくまでも、テーマとアイデアを活かすための「器」です。

大切なのは、テーマとアイデアを伝えること。みんなが「不思議だな」「面白いな」と感じたことから生まれたテーマとアイデアを使って面白いものを書く、ということを忘れないでね!

――今後皆さんは来年3月頃まで、「台割(本の設計図)を作る」→「原稿づくり&確認会」→「自分たちで製本」→「発表会の準備」→「できあがった作品の発表会」といったスケジュールで進んでいくとのこと。

どんな不思議な本ができあがるのか、新井とともに楽しみにしております!

※VIVITA BOOKS の今後の活動についてはInstagramにて発信予定とのことです。
こちらからご覧ください↓
VIVITA BOOKS Instagram

 

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「不思議な物語を書きたい」という方、今回ご紹介した子どもたち&学生さんたちと同じような悩みがあったのではないでしょうか。書く際の参考やヒントになれば幸いです。

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コミュニケーション力 を上げるシナリオ研修 事例まとめ

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シナリオ・センターは、1970年創立。優秀なシナリオライター・脚本家、プロデューサー、ディレクターの養成を目的に創設以来、700名以上の脚本家や小説家が誕生しています。2010年から「日本中の人にシナリオを書いてもらいたい」という思いから、小中学校への出前授業として『キッズシナリオ』プロジェクトを開始。創作を楽しみながら、想像力と表現力が身つくカリキュラムを提供しています。
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