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ストーリー性のある面白い動画を作る4つのポイント
@子ども向け動画制作スクール「FULMA」

ストーリー性のある動画を作るには@子ども向け動画制作スクールFULMA

子ども向け動画制作スクール「FULMA(フルマ)」さんにお声掛けいただき、先日 シナリオ・センターの新井が出前授業「キッズシナリオ」をオンラインで実施しました。

=今回の概要==============

・サービス名:プロの技術が学べる!シナリオ作り入門講座
・目的:登場人物のキャラクターを作って物語を書く
・対象:小学2年生~中学3年生  
・形式:Zoomによるオンライン授業
・時間:各90分

▼GIGAスクール対応プログラム「キッズシナリオ」詳細
https://sites.google.com/view/kids-scenariocenter/home

▼キッズシナリオ 事例まとめ
https://www.scenario.co.jp/online/23609/ 

====================

今回集まってくれた子どもたちの参加理由で多かったのがこちら。

・ストーリー性のある動画は作ったことがないので、シナリオ作りに興味がある。
・FULMA主催の全国小中学生動画コンテスト「FULMA Creator Awards 2025」に出して賞をとりたいので、面白い動画を作るためにシナリオの書き方を知りたい。

ということで、ストーリー性のある面白い動画を作るために大切なシナリオ作りのポイント4点、

①「主人公が△△しようとする姿を描く物語」を決める
②主人公のキャラクター(性格)を決める
③クライマックスは主人公が「△△できる」か「△△できない」か決める
④物語が始まる“スタート地点”を決める

――をお伝えしました。その模様を広報の齋藤がご紹介。
「動画を作ることはできるけど、もっとストーリー性のあるものを作りたい!」という方、参考にしてください。

シナリオ作りのポイント①
「主人公が△△しようとする姿を描く物語」を決める

今回、新井が驚いたのは、皆さんのレスポンスの早さと発想の豊かさ。
既に動画を作っていたり、「こういう動画を作りたい」という意識が高いため、新井がシナリオ作りのポイントを解説して、「ではこれを踏まえて実際に考えてみてください」と言うと、Zoomのコメント欄には沢山のアイデアがすぐに並びます。「早い!すごい!」と新井、びっくり。

そこで、こちらのブログでは新井が紹介したシナリオ作りのポイント4点とともに、特に印象的だった参加者さんの発想も併せて紹介させていただきます。

・新井:まず最初に、「主人公が△△しようとする姿を描く物語」という“シンプル一行”を決めます。
この時点で細かくいろいろな情報を付け足してしまうと、進めていくうちに混乱してしまう場合もあるので、まずはシンプルに1行で、できたら10個くらい、どんな物語を描きたいか考えてみてください。あまり深く考えないで、思いついたアイデアをどんどんチャット欄に入れてくださいね。

――すぐに「10個書けました!」という参加者さんがいたり、いろいろなアイデアがチャット欄にズラリ。
特に印象的だったのが「主人公が釣りで大物を釣ろうとする姿を描く物語」というシンプル一行。
すごく分かりやすいですよね。
こんな感じで、まずは大まかなアイデアを、シンプルな文章におこしてみます。

シナリオ作りのポイント②
主人公のキャラクター(性格)を決める

・新井:では次に、先ほど決めた「△△しようとする主人公」はどんな人物なのか、イメージを膨らませていきます。その際、わたくし新井の書著『大人になっても「書くこと」を好きでいたい君へ シナリオ・センターが伝える 14歳からの創作ノート』(KADOKAWA)のP66・67に掲載している内容をもとに進めます。

・新井:この“のっぺらぼうの図”に特徴を付けていきます。

・新井:やり方としては、いろいろな質問に対して作者である皆さんが回答していきます。

どんな質問かというと、最初は“見た目に関する質問”。「この人は何歳くらい?」「身長は?」「髪型は?」「体型は?」「目はどんな形?」「鼻は?」「口は?」みたいな感じ。

そこからだんだんと“内面に関する質問”になります。「性別or性自認は?」「趣味は?」「口ぐせは?」「口調は?」「どんな雰囲気?」「得意なことは?」「苦手なことは?」とかね。

最後は、これまで答えてきたことを踏まえて「名前」や「性格」を考えます。

「性格」は、「〇〇すぎる性格」の〇〇の部分を考えてください(※1)。

そして、「〇〇すぎる性格」を決めたら、その性格の「憧れ性」を考えます。
「憧れ性」とは、観客が「いいなあ、ああなりたいな」と思う部分です。
考え方としては「〇〇ができる」の〇〇の部分を決めてください(※2)。

さらに、「憧れ性」が決まったら今度は、「共通性」を考えます。
共通性とは、観客が「自分と似ているなあ」と思う部分です。
考え方としては「〇〇しがち」の〇〇の部分を決めてください(※2)。

例えば、「真面目すぎる性格」にするとしたら、
真面目すぎる、だから「なんでも完璧に作業ができる(憧れ性)」。
だけどそれがゆえに、「頑固になりしがち(共通性)」。
みたいな感じで考えていけばOKです。

※1「〇〇すぎる性格」詳細についてはこちらの記事を。

脚本コンクールで賞をとる4つのポイント

※2「憧れ性」「共通性」詳細についてはこちらの記事を。

脚本を面白くする登場人物の描き方

脚本の勉強法:シナリオでキャラクターを出すコツ

脚本の勉強法:魅力的な主人公の作り方

――参加者の皆さんには、主人公のイメージを膨らませていくために、25個の質問に答えてもらいました。

その中で、「どう考えればいいのか分からない……」という反応が多かったのが「〇〇すぎる性格」を考えるときでした。

前述の「主人公が釣りで大物を釣ろうとする姿を描く物語」を書こうとしている参加者さんからも、
「釣りをしすぎる性格。でもこれは性格ではないですよね?釣りをしているときは真面目だけど、それ以外は割と適当なので“まじめすぎる性格”ではないんです。肝心なときは頼りになって、行動が早い、みたいな感じにしたいのですが……」
という質問がありました。それに対して新井は――

・新井:なるほど。他の参加者さんも悩んでいる方が多いみたいですね。
「釣りをしすぎる性格」の“釣り”は「行動」なので、性格を考えるときはもっと内面的なことを考えてみてください。どんな人だから釣りを好きになったのか、とか、普段はどんな感じで釣りをしているのか、とかね。

――このアドバイスをもとに、この参加者さんは、
「やんちゃすぎる性格」だから「素早く行動できる(憧れ性)」
だけどそれがゆえに「突っ走って間違えがち(共通性)」と発想。
すごい!主人公がどんな人物なのかイメージしやすいですよね!

その他の参加者さんも新井のアドバイスをもとに、「〇〇すぎる性格」を考え直して、そこからスムーズに「憧れ性」と「共通性」を考えることができました!

シナリオ作りのポイント③
クライマックスは主人公が「△△できる」か「△△できない」か決める

・新井:シナリオ作りのポイント①のときにお伝えした「主人公が△△しようとする姿を描く物語」というフレーズ。

・新井:もしかしたら、なんで「主人公が△△する姿」ではなくて「主人公が△△しようとする姿」なんだろう?って気になった人もいるのでは?これにはちゃんと理由があるんです。

それは、主人公がどんな人物なのか、何も決まっていない段階から「主人公が△△する」と決めて物語を考え始めてしまうと、そのことにとらわれ過ぎて、途中で行き詰ってしまう場合があるからなんです。

物語を考える最初の時点では、主人公は△△できてもいいし、△△できなくてもいいんです。決めないでいい。だから「主人公が△△しようとする姿」というところからスタートします。

ただ、今の時点では、もう主人公がどんな人物なのか大体固まってきたので、主人公が「△△できる」のか、「△△できない」のか、決めます。ここが物語のクライマックスになります。

例えば、「主人公が敵を倒そうとする姿を描く物語」だとしたら、クライマックスは「敵を倒す」のか「敵を倒さない(or倒せない)」のか。でもね、クライマックスはあとで変更しても全然OKなので、現時点ではどうするのか、一旦決めてください。

――クライマックスを考えるときも、参加者の皆さんは早かった!普段から動画を制作しているので、もう皆さんの頭の中には作りたい映像が既に浮かんでいるのかもしれません。

今回ご紹介させていただいている「主人公が釣りで大物を釣ろうとする姿を描く物語」の参加者さんも、「クライマックスは大物が釣れたとき」と素早くチャット欄に入れてくれました!

シナリオ作りのポイント④
物語が始まる“スタート地点”を決める

*

・新井:さきほど、クライマックスをどうするか決めてもらいました。でも、なんでクライマックスから先に決めるんだろう?物語が始まる“スタート地点”から先に考えるんじゃないの?と思った人もいるのでは?

例えば「主人公が敵を倒そうとする姿を描く物語」を書こうとして、クライマックスを「敵を倒す」としたら。物語が始まってすぐに、主人公が敵を倒したら、観客はどう思うだろう?「えー!簡単すぎるよ!」「つまんない!」って思うよね。

つまり、クライマックスに行くまでの道のりが難しいほうが、観客は「わあ大変!この後どうなっちゃうの?」と続きが気になって、惹きこまれて、「面白い!」って感じるんです。

なので、クライマックスを「敵を倒す」にするなら、物語のスタート地点を例えば「敵をちょっと見ただけで気絶しちゃう」みたいに、主人公が「敵を倒したいけどどうしよう……」と大変になるような設定で始めてみる。

主人公が「どうしよう……」と大変なシチュエーションになればなるほど、観客は「どうなるの!」と惹きこまれます。
だから、先にクライマックスを決めて、その後に、物語が始まるスタート地点を決めるんです。
クライマックスから“遠く離れたところ”をスタート地点にしてみてください。

――「ここは考えるのに時間がかかるかもしれないかな」と新井が言っている間に、参加者の皆さんは次々とアイデアをチャット欄に入れてくれて、新井はまたまたびっくり!

前述の「主人公が釣りで大物を釣ろうとする姿を描く物語」の参加者さんも、

・クライマックス:主人公が釣りで大物を釣る
・スタート地点:船酔いがひどすぎて、船に長時間乗ることができない

――と発表してくれました。ここから察するに、主人公が狙う大物はきっと船に長時間乗らないと行けない、沖からすごく離れたところにいるんだと思います。その大物を釣りたいのに、その場所まで行けない。主人公は大変ですよね。一体どうなっちゃうのかすごく気になります!

他の参加者の皆さんも、「この設定だと主人公は大変!どうなるの!」というような素晴らしい“スタート地点”を考えることができ、今回のキッズシナリオ、大盛況のうちに終了となりました。

「クライマックス(=起承転結の「転」)」と「スタート地点(=起承転結の「起」)」の詳細はこちらの記事を。

初心者・子どもも書ける!シナリオ(脚本)の書き方

面白い物語が作れていない時は「起承転結」で考える

主人公がどうしよう……と大変になれば、観客はどうなるの?と惹きこまれる

キッズシナリオ終了後、皆さんに感想を伺ったところ、

・今回教えてもらったことを参考にすれば作れそうです!
・できそうです!
・「例え」がわかりやすくて為になりました!
・これからの動画制作に役立ててみます!

といったコメントを沢山チャット欄に入れてくれました!

そのコメントを受けて、新井は「まとめ」の意味も込めて、

・新井:主人公が「どうしよう……」という大変な状況になれば、観客は「どうなるの?」と惹き込まれます。皆さんが好きな作品を思い出してみてください。こういう構造になっているものが多いのでは?ぜひこのことを頭に置いていただき、FULMAさん主催の全国小中学生動画コンテスト「FULMA Creator Awards 2025」に挑戦してみてくださいね!応援してます!

――とメッセージ。

今回、参加者の皆さんとはチャット欄を通じてのやり取りだったのですが、最初から最後まで元気な声が聞こえてくるような熱気を感じた90分でした。是非、今回新井がお伝えしたことをもとに、ストーリー性のある面白い動画を作ってください!

※今回の模様はFULMAさんの公式サイトでも公開予定です。
公開後、ご紹介いたしますのでお楽しみに。

 

*     *     *

 

現在は動画を撮ること・編集することが大変身近になり、大人だけでなく子どもでもできる時代になりました。そういった中で、「動画を撮ってただ繋ぐだけじゃなくて、ストーリー性のある動画を作ってみたくなった」という方も多いのでは?今回ご紹介した4つのポイントを踏まえて是非、ストーリー性のある動画を作ってみてください。

そして「もっとシナリオ作りのポイントを知りたい!」ということでしたら、子ども向け創作クラス「考える部屋」もしくは、基礎講座「シナリオ作家養成講座」「シナリオ8週間講座」「シナリオ通信講座基礎科」のいずれかをご受講いただければ!と思います。

また、FULMAさんのような動画制作スクールや学校・教育関連施設の関係者の方で「子どもたちにシナリオ作りを教えてほしい!」というご要望がございましたら、講義内容もコンセプトに合わせてアレンジ可能ですので、お気軽にご相談ください。

▼シナリオ・センター
TEL:03-3407-6936
MAIL:scenario@scenario.co.jp 

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「面白い物語を作る方法をもっと詳しく知りたい!」という方は新井の著書を是非。

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※こちらのブログも併せてご覧ください
あなたのアイデアを、物語に仕上げるための『シナリオ・センターが伝える 14歳からの創作ノート』

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シナリオ・センターは、1970年創立。優秀なシナリオライター・脚本家、プロデューサー、ディレクターの養成を目的に創設以来、700名以上の脚本家や小説家が誕生しています。2010年から「日本中の人にシナリオを書いてもらいたい」という思いから、小中学校への出前授業として『キッズシナリオ』プロジェクトを開始。創作を楽しみながら、想像力と表現力が身つくカリキュラムを提供しています。
>>ご参考までにこちらの動画を。

※キッズシナリオの活動をアシストくださる方、随時募集中です!
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