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脚本の勉強法 :シナリオでキャラクターを出すコツ

「そこそこ面白い」から「飛躍的に面白い」シナリオにするシナリオの書き方を、シナリオ・センター講師浅田直亮著『シナリオパラダイス 人気ドラマが教えてくれるシナリオの書き方』(言視舎)から紹介。
今回は、テレビドラマ『カバチタレ!』から学ぶ、シナリオを書くときキャラクターを出すコツ。「よく、“強烈なキャラクター”というけど、実際はどう作ればいいんだろう…」というお悩みも解決です!

面白いシナリオにするためにキャラクターを考える

こんにちは、エンゼル浅田です。あなたのシナリオをパラダイスに導きます。

キャラクターを考える時、何を、どうやって考えていますか?

たとえば、「主人公は不倫しているんです」と言う人がいます。確かにこれは現在の境遇ではあるので、キャラクターなんですが、状況設定とも言えます。

あるいは、「高校生の時に片思いの女の子が親友と付き合い始めてしまって……という過去があるんです」と言う人がいます。これもキャラクターとも言えなくはないのですが、ドラマが始まる前のバックストーリーとも考えられます。

どちらも間違ってはいないのですが……。キャラクターを考える時に、もっともっと重要なポイントがあるんですよ。

まず、どうしてキャラクターを考えるのでしょう?

講師の先生に「キャラクターを考えなさい!」と言われるから?

キャラクターを考えておけば、まずストーリーが止まってしまって書けなくなるということが防げます。
このキャラクターなら、どう行動するだろうかと考えていけば、まったく先が見えなくなってしまうことがなくなりますし、あっちにもこっちにも進められて、どっちに進めばいいか迷ってしまうなんてこともなくなります。

さらに、普通はしないけど、このキャラクターならやるかもしれないという、キャラクターならではの個性ある行動が浮かべば、作者自身にも思いがけないような、意外性のある「面白い」ストーリー展開だって生まれるのです。

あるいは、そのキャラクターならではのセリフやリアクションなどが描ければ、「面白い」シーンにもなるでしょう。

つまり、まずは途中でシナリオが書けなくなってしまわないため、さらには、より「面白い」シナリオにするためにこそキャラクターを考えるのです。

ポイントを一つに絞ることがキャラクターを見えやすくする一番のコツ

ということは、キャラクターを考える時、どう行動するのかな、どんなことを言うのかな、と浮かんでくるようにしたいわけです。

それって何?

ズバリ、性格です。

新井一『シナリオの基礎技術』にも、すべての人物の行動は性格から生まれた結果だと書かれてあります。『忠臣蔵』の浅野内匠頭と吉良上野介の例が挙げられていて、「ある潔癖(性格)な男がいたとします。

彼は潔癖なるが故に、上役に賄賂をしません(動き)、そのため強欲(性格)な上役は、公衆の面前で彼を罵倒します(動き)、そのため彼はカーッとなって(性格)、その上役を殺そうとしました(動き)」と書かれています。

ここで注意してほしいのが、あれやこれや、いろいろと考えすぎないこと。あれやこれや考えすぎてしまうと、かえってキャラクターが見えなくなってしまいます。

たとえば、気が小さくて、冗談を言うのが好きで、周りの人に隠しているけど実は運動神経が鈍くて、子どもが好きで、働き者で…ね? 一対どんな人なんだか、どんどん、わけが分からなくなってくるでしょう?

たまに「キャラクターを考えれば考えるほど分からなくなってくるんです」と言われる方がいるのですが、ほとんどが、あれこれ考え過ぎが原因でしょう。

キャラクターが見えなくなれば、当然、どう行動するか、どんなことを言うかも見えてきません。

また、ストーリーを先に考えてからキャラクターを考えると、同じようにキャラクターが見えなくなるパターンに陥りがちです。

このシーンでは気が小さくて、このシーンでは冗談を言うのが好きで、このシーンでは運動神経が鈍くて……とストーリーや展開に合わようとしてしまうので、どうしても、あれやこれや、いろんな面を持ってしまうのです。

あれやこれや、いろいろ考えるより、むしろポイントを一つにしぼることがキャラクターを見えやすくする一番のコツなのです。

気が小さいだったら、気が小さいだけでいいのです。

その一点だけで十分。

「履歴書を作れ」という言葉がありますが、それって、どういうことかと言うと、たとえば気が小さいという一点だけで考えていくのです。

たとえば、気が小さいんだから心配性だろうな、とか、何かあるとパニクったりするんじゃないかな、とか、計画性はあるしコツコツ努力するんだけど本番に弱いんじゃないだろうか、とか。

大学に進学するとして、どんなところを選ぶんだろう? 地方の出身としたら気が小さいと東京の大学じゃなく地元の大学? コツコツ努力するなら成績はそこそこいい、けど本番に弱いなら私立より公立、それも国立というより県立大学とかじゃないかな、とか。

気が小さいと交感神経が働き過ぎて、冷え症だったり花粉症だったりするんじゃないかな、とか。

そうやって履歴書を作れば、考えれば考えるほど見えなくなるなんてことはありません。逆に考えれば考えるほどキャラクターが、よりはっきり鮮明になってきてブレにくくなり、こんな時どう行動するかな、どんなことを言うかなというのも浮かびやすくなりますし、観客や視聴者にキャラクターが伝わりやすくもなります。

なので、もちろん履歴書を作った方がいいのですが、そこまで考えなくても、特に20枚シナリオやコンクールなどの1時間ものといった短いシナリオなら一点だけ考えれば大丈夫です。

職業のイメージから性格を一点だけ考える

じゃあ、その一点を、どうやって考えるか?

性格を考えるのって、ちょっと難しかったりします。もちろん、いきなり性格を考えてもOKなのですが、職業設定から考えるのがオススメです。

職業設定だと具体的なので性格を考えるよりは、はるかに考えやすくなります。

で、その職業設定から性格をイメージしていくのです。

分かりやすい例が『カバチタレ!』の深津絵里さんが演じた栄田千春です。

『カバチタレ!』は、行政書士事務所を舞台に、毎回、法律トラブルを解決していこうとする常盤貴子さんと深津絵里さん演じる二人の女性が対立したり心通わせたりしていく友情ドラマで、マンガが原作なのですが、ドラマではメインの登場人物を男性から女性に変えています。

行政書士というのは、官公署に提出したり個人や企業などの間で交わされる法律的な書類の作成や提出を代理したり相談に応じたりする仕事で、千春のキャラクターは一言でいえば理窟屋です。

常盤貴子さん演じる田村希美と出会った時も、希美が読んでいる小説の主人公が男に裏切られる結末を最初の10ページしか読んでいないのに的中させた上に「大人しく騙されてりゃいいのに」というセリフまで言い当てます。

そして「私の方程式からいうと、あなたは数日後に、そのエロ社長から、こう言われるわ。恐ろしい女だなってね」と言い、何やら書類を作成、郵便局へ行って内容証明で郵送するように指示します。

果たして数日後、希美を解雇した社長から2ヵ月分の給料が送られてきて電話が入り希美は「恐ろしい女だな」と言われるのです。

駐車違反で切符を切られそうになった時も「今、私は便意を催したために運転の続行に危険を感じて事故回避のために駐車したんです。
これは緊急避難に準じる行為、違法性は阻却されます」と主張、トイレに入っていた証拠として壁の落書きに「幸せな女と思われたい」と書かれてあった、幸せの漢字の下の部分が羊になっていたと言い、その通りの落書きが見つかって駐車違反を免れます。

逆に、こんなシーンがあります。

会社設立の登記を担当することになったカッコイイ男から、自分ではなく希美を食事に誘ったことを聞いた時に「食事? 松茸? 嫌われた? 食事? 松茸…」と繰り返し、いぶかる男に「ちょっとコンピューターが上手く作動しなくて」「ただいまデータを処理中なので少々お待ち下さい」と答えます。

計算外のことが起こると思考が停止するのです。

自分自身でも「たとえば私が、まだ素うどんしかない昔々のうどん研究家だったとする。私は油揚げを甘く煮てきつねうどんとか、ちょっと豪華に天ぷらうどん、冬はホットに鍋焼きうどんなんかを開発していく。
でもね、私、いくら考えてもカレーうどんだけは絶対に思いつかないと思うのよ。だって、うどんにお出汁じゃなくてカレーをかけるなんて思いつかないでしょ、普通」と理窟に合わない飛躍的な発想が苦手なことを告白しています。

行政書士という職業設定から、とにかく理窟っぽいという性格をイメージし、それが優れているところ(憧れ性)でもあり、弱点(共通性)でもあるように描かれているわけです。

職業のイメージから性格を、それも一点だけ考えればいいのです。

な~んだ、そんなに簡単だったんだ! てな感じでしょ?

これで、あなたもパラダイス!

出典:浅田直亮 著『シナリオパラダイス 人気ドラマが教えてくれるシナリオの書き方』(言視舎)P13より

シナリオ・センターの書籍についてはこちらから(https://www.scenario.co.jp/book/)

ドラマ『カバチタレ!』データ

2001年1月~3月(全11話)
フジテレビ系木曜22時枠で放送
脚本:大森美香
原作:田島隆
プロデューサー:山口雅俊
演出:武内英樹、水田成英
出演:常盤貴子、深津絵里他
平均視聴率19.3%

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