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シナリオや小説についてなど、創作に役立つヒントを随時アップ!ゲストを招いた公開講座などのダイジェストも紹介していきます。

映画監督になりたい /林海象監督が語る創作と人生

2015.09.07 開催 THEミソ帳倶楽部「新井一生誕100年機縁シリーズ・林海象さん編 創作と人生―物語を作ることは必ず生きる支えと武器になる―」
ゲスト 林海象さん(映画監督)

シナリオ・センターでは、ライター志望の皆さんの“引き出し=ミソ帳”を増やすために、様々なジャンルの達人から“その達人たる根っこ=基本”をお聞きする公開講座「ミソ帳倶楽部 達人の根っこ」を実施。そのダイジェスト版を『月刊シナリオ教室』(今回は2016年4月号)よりご紹介。
2015年度に行った「THEミソ帳倶楽部~達人の根っこ」では、シナリオ・センター創設者新井一生誕100年を記念し、「新井一の生誕100年機縁」と題して、出身ライターの方々にご登壇いただきました。今回のゲストは林海象さん。
映画を作り続けることの大変さと楽しさ、創作の醍醐味についてざっくばらんに語っていただきました。林海象さんは仰います。「物語を作ることは 必ず生きる支えと武器になる」と。でも、それはなぜ? その理由を、ぜひご覧ください。

アルバイトで得た経験

僕もシナリオ・センターの出身です。ちょうど33年前くらい前に、まだ南青山に教室があったときに通っていました。

シナリオ・センターに入る前に、映画監督になりたくて東京に出てきましたけど、つてが何1つなかった。映画を作りたいんだけど、どうしていいのかまったくわからない。ちょうどシナリオ・センターの広告を見たんですね。センターに入って、同じ境遇の人と知り合いました、生まれてはじめて。

それまではどこ行ったって、「何言ってんだ?」と言われてしまう。18歳の時に「映画をやりたい」と母親に言ったら、「病院にいこう」と(笑)。精神の方の病院に連れて行かれまして「うちの子、頭がおかしいんです」と。

東京に出て来てからは、食べるためにアルバイトを20種類以上やってました。映画やりたいというと「頑張れよ」と言ってくださる方も最初の頃はいたんですけど、25・26歳になると「ちゃんと世の中を見た方がいい」と随分言われました。

アルバイトは、普通の喫茶店とか居酒屋とか、工場のベルトコンベアで物を運ぶだけとか、あとちょっとヤバいのもいろいろやりました。

板前の助手をやっていた時に言われたのが「こういういろんな仕事をやっていると、ものを書く時に役に立つんじゃないの?」と。板前の師匠に言われたんですけど、そのとき思ったのは、役に立つが訳がないと、ただただつらいだけの労働で、食べる為だけにやっていますから、身に付かない、関係ないと思っていたんです。

その後、映画監督になりました。勝手に映画を作って28歳で映画の世界に入るんですけど、物語を作るようになって、今までの経験がすごい役に立つということがわかりました。

体験したそれぞれの場所の物語というのもありますし、いろいろな職業の持っている背景とか人々の成り立ちとかがある。

何が一番役に立ったかというと、映画界の人っていうのは悪い意味ではなく、割と純粋培養の人が多かったんです。大学を出て助監督をやり……というような。映画界もすごく大変な世界だと思うんですが、世間のことを知らない。

映画の現場では弁当が出ます、ご存知ロケ弁です。普通の社会では弁当なんか出ませんよね。毎日食べさせてもらっているのに「うまくない、まずい」とか言っている。それを聞いたとき、「あっ、これは勝てるな、この人たちに」と思ったんです(笑)。

脚本上 役に立ったのは、いろいろなアルバイトに関わる専門的な事柄や、アルバイトの仲間や社員のキャラクターです。あと何よりも印象に残っているのは、冬の極寒時にホテルで皿を洗うんです、何千枚も……。その冷たさを俺は知っている。

色々な職業で夢を持ちながらやっている人がいて、夢に破れていく人たちもいる。生きている人たちがただ生きているのではなくて、それぞれみんなの人生があって、いい加減に生きている人なんていないんですよ。やはり辛くて厳しいんですね、人生ってのは……。そこがわかったことがいちばんよかった。

想像の中では何をやってもよい

現在も書いているシナリオ自体は、どちらかというと探偵ものとか、ファンタジーもので突拍子のないものが好きなんですけど、登場するキャラクターはそのキャラクターの心情というもののリアリティー、人間たちのリアリティーを持たせたい。それはいっぱいアルバイトした経験から来てるのかなと思います。

東京に来た当初は、ひょっとしたら俺行けるんじゃないかと思ってたんですね。映画界に入る前はまず生きるのがすごく大変で、生きているだけで精一杯だった。でも根拠のない自信がだんだん揺らいできた。

四畳半の部屋で、自分の未来を真剣に1人で考えてみた……真っ暗なんです。何1つ希望がない。暗闇の中でも夢があると言いますが、現実的に検証していくと何もなかったんです。

映画をやりたいという人たくさんいますよね。でもなれなくて結局田舎に帰る。親に頭を下げて、田舎で飲み屋をやったりして、だいぶ経ってから「俺、映画、昔やりたかったんだよね」とお客につぶやいている飲み屋のおやじになる。まぁそれも悪くないんですけど、それすら想像つかないくらい真っ暗な時代でした。

その時代を支えていただいたのはシナリオ・センターでした。ここにくると仲間がいて、物語が作れる、毎週毎週、みんなの前で読むことができる。

僕の同期の人がプロになったかどうかはわかんないですけど、ただいろんな方がいろんなタイプのシナリオを書かれるんですね。ものすごい顔が優しい人が、殺人事件ばっかり書いているとか面白いんです(笑)。

好きな感じというのがあって、その外面と内面の違いとか、生きていくにはどこか夢みたいに突き抜けるとこがないと、創作的には厳しい。でもそこでなら生きていくことができるんです。

例えば、街中で煙草がないからと言って、店に石を投げる、自動販売機をガンガン叩く、表参道の道に販売機を放り投げる……これやっちゃいけないですよね?

でも映画はやっていい。やっていいんです。想像の中ではやってはいけないことが何もない。これが非常に面白いとこですよね。

1人じゃない、創作の楽しさ

一番面白いなと思うのは、自分を励ましたり助けたりして創作をするってことですね。子供だって物語作りますよね、その延長線上だと思うんです。想像力というのは独りの世界なんだけど1人じゃない、あのギリギリ危ない状態ですね、1人なんだけど皆いるっていう、それが楽しくなってくるんです(笑)。

現在、京都から山形の大学に通っていて、毎週2千キロくらい通勤して、しょっちゅう移動しているんですが、東京にいる今日は1人でずっと原稿を書こうかなって思っていました。

そうするといろんなのが集まってきちゃんですよね、人間じゃないのが……すごく楽しくなっちゃって、いろいろなものが話しかけてくるんですよね。シナリオ書くってそういうものだと思います。

1人のキャラクターを書くっていう訳にいかないじゃないですか、ぼくもいろいろ書いて来て、いろんなキャラクターいますよね。もちろん自分に近い、僕だったら濱マイクとかね、年齢は下ですからある程度書きやすい。

あとマイクの妹とかね。『探偵事務所5』で貫地谷しほりさんがやったお嬢様とか出てくるんですが、高校生なんですね。それも書いていくんですよ。ものすごく気持ち悪い状態ですよね(笑)。だけどちゃんと出て来るんで、それを聞いて書いているんです。

でも僕なんて全然甘い方です。新藤兼人監督は2時間の映画は2時間で書けると……これ原理的にはそうなんですよね。これこそ達人ですよ。そこに映画が流れていて。流れているものを、2時間書き写しているだけだと言ってたんですね。ほんとかどうかわかんないですけど、理論上はそうなると最高です。

ものを作ろうとする人はちょっとそういう気があるので……ありますよね?

みんな夢想というか、想像しやすいというか、夢見がちな気があるので迫害されやすい(笑)。

「そんなものをやったってしょうがない」とか、「金にならない」とか。だけど彼らは知らないんです、これは金にならなくても面白いということを。別にお金なんか……もちろんもらった方がいいですよ、でもどっちでもいい、本当に。なるかならないかわかんないけど、ずっと考えられる自分というのが楽しい。

いつでも発動できるキャラクター

僕もいくつかキャラクターを考えてきました。例えば最初は佐野史郎さんとやった『夢見るように眠りたい』の探偵がいます。魚塚仁。

名前をどうしようかなと思った時に酒飲みの探偵なので、ウォッカとジンだということでつけたんです(笑)。それもうっすらですけど、まだいるんですよね。いつでも発動できる。もちろん濱マイクというのはいつでもおりまして、いつでも発動できます。

時代劇も昔撮った変な時代劇あるんですが、地獄極楽丸といって、右に極楽、左に地獄っていう着物を着て、刀を七本さしているキャラクターで、これもいつでも発動できる。『探偵事務所5』は40人ぐらい探偵を作ってまして、そこが面白い。

書くっていうこと自体が、どういう意味を持つのか、もちろんみなさんはプロの職業として脚本家になりたいんですよね、それは多分映画監督になろうというよりずっといいことです。

脚本家は実は著作権を持っているんです。必ず印税が支払われますし、脚本家の承諾なしに改編することができない。でも映画監督には著作権がないんですね。

僕はほとんどオリジナルストーリーを自分で書いて、ストーリーを自分で撮りたいが為にお金を集め、映画にして発表をしているんですけど、これは当然著作権があるんですけど、映画監督としては著作権がないというのに縛られてしまって。

自分でまるごとお金を出して作った最初の『夢見るように眠りたい』は著作権があるので、自分勝手にできますけど、それ以外の何本かは著作権がないんです。だから脚本家の方が絶対いいですよ。ものを書くというのは生きていく支え、武器になるんですね。

皆さんには自信を持ってほしいと思いますし、ものを書く、脚本を書くというのは、無形なものなんですけど、ものすごく実は有形の力を持ち得ると思うんですね。

物語と映像の可能性

物語と映像がくっついた状態というのはまだまだ続きますので、いままでよりも拡散する可能性があります。

大学でいつも教えているのは、映像は今やひとつの言語になりつつあるということ。映像の言語形態を早く勉強したほうがいい。もちろん今までは文字だったわけですが、映像自体が文字化している。

コミュニケーションの道具としても。今フェイスブックやツイッター、かならず写真か映像付いてますよね?

LINEはスタンプだけで会話ができますよね。映画は前からやっていることですが、可能性はまだまだあると思います。

映画『弥勒』は学生と一緒に作りまして、生演奏付きで3つの都市を回りました。楽隊と一緒に……大変でしたけどすごく楽しかった。映画の元々の状態に戻そうと思いまして、映画館2・3館でやったんですけど、製作費を回収しちゃったんですね。

それ以上する必要ない。でもやはり観ていない方が多いのでDVDだと観やすいというかたもいらっしゃるのでTSUTAYAに並ぶことになりました。嫌だったんですけど、2年間限りの契約にして……そうするとたくさんのかたが観てくださるので、それはそれで嬉しいんですけどね。

最終的には2016年からはスクリーンと音響設備を持って、生演奏は毎回やると大変なので、トラックに積んで全国を回る昔の状態ですね、そこに戻して映画を掛けようかなと思っています。

最終の行く末はネット上で無料で観せる。なるべく広くたくさんのかたに観てもらいたいので。5年計画くらいですけど、世間と違う動きをしているわけです。

それはどういうことなのか、今の映画が悪いとか言う訳じゃないんですが、30年間映画界にいてこれほど矛盾しているところはないんです、大きい映画ほど大変なことになる。染まっちゃえばいいんですけど、矛盾がすごくある。結局作ってない人たちが儲かるシステムになってしまった。

以前撮影所のシステムがちゃんと機能していた時代は、撮影所は大学でした。映画の工場であり大学、ものすごく良い教育機関があって、脚本家も育てられ、とてもいい時代だった。でも今大きな映画をやり続けるには創作とは別のところで嫌な思いもいっぱいしないと作れない。

そういうもんだと思えばいいのかもしれないですが。僕もいくつかやって、それはいい経験にはなってよかったのですが、それとは違うやり方で生み出していきたいと思っています。

生きることに役立つ脚本

今、映画では漫画原作が多いですよね。僕はまったく否定しない。漫画は昔から大好きなので。

学生にも映画を勉強するなら、「この3人だけまず読め」と言います。3人、その時によって少し変わるんですけど、絶対変わらないのが黒澤明です。

そしてスタンリー・キューブリック、ここは変わってもいいんですけど、後のひとり、手塚治虫は変わらない。「手塚を読めば映画がわかる、物語がわかる、手塚だけは絶対に読め」というくらい手塚さんを信頼、尊敬しています。ストーリーテラーとしてね。

手塚治虫の漫画は映画から起こした形なんです。アメリカのコミックとは違う。映画コンテですから、ストーリーボードの連続なので、脚本と形態がすごく似てます。

漫画が映画になるのは全然大丈夫なんですけど、なんかあまりにもそんなんばかりなので、だんだんちょっと腹が立ってきまして……ならば漫画から行こうかと思っているんです。自分で原作を書いちゃう。漫画の方が効果がある感じですよね。

この世の中で最も役に立たないのが撮らない映画の脚本、実はこれ何本もあるんですよ。だけどこれ、小説や漫画にしていれば出せるじゃないですか、潰しがきかないままじゃ、せっかくの脚本がね、ということです。

脚本を書く力があれば生きることにかなり役に立つ。物語を作る力があれば、自信をもっていいと思います。でもやめてしまえという声は、外からも聞こえますけど、一番聞こえるのは自分の中ですよね。「このままやっててどうなんの?」とか「お前才能ないよ」とか、もちろん書くのも苦しいのに、「いいか……他のことやっても」とかいろいろなことをささやく。

それに負けないこと。負けない言葉はそれぞれ持っていたらいいと思いますけど、結果的に残っていく人が、シナリオライターになったり、映画監督になっていくと思います。

随分前にも、僕がイケイケどんどんのときにシナリオ・センターで講演をしたんですけど、そのときは生意気な監督でね……「ここに500人くらい来ているけど、ほとんどが脚本家にならないから、プロってそんなもんじゃないから」って(笑)。

その中の2人くらいから、10年くらい経って「私はなりました!」って言われて「そうだね、ごめんね」みたいな……(笑)。

今は皆なれると思います。その声に屈せず、それですぐ食おうとは思わず、ある程度生活の基盤をどこかで持ち、計画を立ててやり続けていく。

最初は全員無名ですからね、ここのホームページにも書いてありましたね、「最初からプロはいない」と。ちょっと時間かかるので、その間の自分という器を持たさなくてはいけない。絶対に負けない器ね。

迷っていても5年、何かに挑んで失敗しても5年なんです。挑んで失敗した方がいいし、失敗じゃないんです、なれる可能性があると思いますから。

リアクションと起承転結は大事

映画監督にもいろいろなタイプがいまして、もちろんまったく書かなくて演出だけする分業タイプの監督もいます。

ただ今はほとんど書きますよね、自分で書いて撮るという若手が多い。自分で書いて自分で撮るっていうのはとてもいいことなんですけど、それだけだとまだちっちゃい。

人と一緒に仕事をする面白さ、意見が違う面白さというのは、作品の広がりを生む。よくやるんです、こういうの。思いついたら飲み屋でもどこでも。こんな話考えたんだけどって。それでリアクションを見る。

あと話しているうちに出来ていくことがあるんです。誰かのリアクションはとても大事です。あと応援してくれる人ですね。悪ノリをして「いいですね」とか言ってもらえると嬉しい。

その後は自分で籠ることですね。こればっかりは書き方はないので、いろんな脚本家の本を読んでみても「死ぬほどがんばるしかない」って書いてあるだけなんですよね(笑)。笠原和夫だって「ラストが見えたら親が死のうが書ききれ」とかね(笑)。そんなのばっかりですよ、「来た電車に乗れ」みたいなね。

ものを作ることは幽霊とは仲良くなりますけど、現実社会から少し離れていきます。どうしてもフラフラになる。作ったあと外に出ると、誰もいない町に1人いるような感じになる。そういう時って仲間が必要です。シナリオ・センターにいれば仲間がいるはずです。いいなと思います、応援してくれている人や、反対のことを言ってくれる人がいることは……。

シナリオ・センターで教わったことを、僕は学生に教えています。京都でも山形でもそうです。一番基本的なところでは最初に習うと思いますが、6ブロックのハコに分けた起承転結です。あれはいかなる時も有効です。僕もいつもそうしていますし、学生達にも最初に教える。

起承転結ではない話も、もちろんあるんですけれど、今は考えない方がいいです。『トイストーリー』も見事な脚本ですけど基本は起承転結。起承転結を理解した方がいい、起承転結を嫌わない方がいいし、起承転結は友達ですね(笑)。最後結んでくれないと、なんかやっぱ嫌だし、徹底的に信じてやられるのがいいと思います。

長くなった場合も、6ブロックをまた6ブロックにするとか、コマ数を増やせばいいだけですから、長いものにも有効です。特に依頼された場合はちゃんとやった方がいいです。もちろんそうじゃない映画脚本の作り方もあります。長短にもよりますけど、必ずあると思ってはいます。

『GOODYEAR』の続き

『GOODYEAR』を撮っている最中に永瀬正敏君が主演なんですけど
「海象さん、これで終わりなんですか?」
「うん、そうだよ」
「あっそうですか……海象さん前に言ってたじゃないですか、福島の3.11で水が漏れてみんなで止めにいく話」
「あったね」
「話、つながりませんかね?」
「あっ、つながるね」
「撮りましょうよ」
……今度撮るんですよ、ついに(笑)。

タイトルは『Bolt』です。

今も福島は大変なことになっているんですけど、3.11の時にですね、(フクイチの)ボルトが緩んで落ちていたんですね、山のように。それで高濃度の汚染水が漏れているからと、止めにいった人がいて、その話です。

それは東電が悪いとかじゃなく、まあ東電が悪いんですが、「漏れたものは止めなければ」ということなんです。あまりにも高線量だったので。

これはちゃんと調べないといけないんですけど、200メートルくらい離れたところにいて、走っていってナッパーかモンキーペンチかで、とにかく1人1回しか回せないんです。「回したらすぐ帰って来い」っていう指令があって、その話をやろうかなと。

それを60分くらいにして撮りたい。『GOODYEAR』は20分ですけど、くっつけて80分の映画にしようと思っているんです。それもまた作りながら出てきちゃった話です。

まだまだ映画には希望があります。デジタルで撮れるようになったので、今は無数に映画が撮られています。

若い人がいっぱい撮っていて、まだ過渡期なのでもちろん変なものもあります。ダメなものもいっぱいあるんですけど、量産の時代に入ったってことは、必ず良いものが出てくるんです。累々たる屍の中から、蓮の花のような映画が若い人間達の手で生まれると思っています。

さっき階段で煙草を吸っていたら、33年くらい前の23・24の頃の自分が横にやってきまして、そいつが言ってましたね、「よかったね……いい気になるなよ」って(笑)。

先ほども申し上げましたが、物語というのは無形なもので見えないはずなんですけど、われわれは見えないものが存在すると思う人々なんですね。

物語を作る力は、必ず生きる支えと具体的な武器になりますから、ぜひここでたくさん学んでいただいて、その武器を使ってですね、どうぞ夢をもって生き抜いて欲しいと思います。僕もそうします。

〈採録★ダイジェスト〉THEミソ帳倶楽部「新井一生誕100年機縁シリーズ・林海象さん編 創作と人生―物語を作ることは必ず生きる支えと武器になる―」
ゲスト:林海象さん(映画監督)
2015年9月7日採録
次回は3月25日に更新予定です

プロフィール:林 海象(はやし・かいぞう)

京都府京都市生まれ。映画監督、映画プロデューサー、脚本家。東北芸術工科大学教授。『二十世紀少年読本』『ZIPANG』『私立探偵 濱マイク』シリーズ、『彌勒』他、作品多数。なお2019年に、デビュー作『夢みるように眠りたい』のオリジナルフィルム修復プロジェクトを実施。デジタルリマスターに込めた林監督の想いについては、こちらのCINRA.NET記事「佐野史郎×林海象が語るカルチャー蘇生術 過去の作品を甦らせる」をご覧ください。

※今回ご紹介した記事を映像でも!You Tubeで公開中
映画監督 林海象さんの根っこ【Theミソ帳倶楽部】より

“林海象監督も最初は基礎講座からでした”
講座コースについて

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