学芸会や学校演劇の台本づくりで「この要素を入れて物語を作ってください」というお題が出たとき、
ストーリーをどう変えるべきか悩むことがあります。
実はその悩みは、登場人物のキャラクター・感情・関係性の3つを設定するだけで一気に解決します。
今回は、私立聖ヨゼフ学園小学校の6年生向けに実施した出前授業「キッズシナリオ」の様子をご紹介しながら、小学生でも使える“台本づくりのコツ”をまとめました。
聖ヨゼフ学園小学校の探究学習
聖ヨゼフ学園小学校は、国際バカロレア認定校として10年以上「探究の授業」に取り組んでいます。
5年生までの間に「自己表現領域の探究ユニット」で様々な表現方法を探究。
6年生ではその総まとめとして、「自己を表現することで他者とつながる」を探究ユニットのテーマに、クラス演劇づくりを行っています。
今回、担任の先生から、<シナリオを書くことは、自分らしさと他者理解を深める最適な学びだと実感しています。前回実施していただいたように、今回も出前授業「キッズシナリオ」をお願い致します>とのご依頼をいただきました。
=今回の概要==============
・サービス名:「登場人物のキャラクターを設定してシナリオを作ろう!」
・目的:自分らしさと他者理解の探求
・対象:聖ヨゼフ学園小学校(小学6年生)
・時間:約110分
▼GIGAスクール対応プログラム「キッズシナリオ」詳細
https://sites.google.com/view/kids-scenariocenter/home
※前回の模様はこちらから。
▼シナリオ作りを通して自己理解と他者理解を探求
https://www.scenario.co.jp/online/35747/
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登場人物のキャラクター設定が肝心
当日、講師を務めたのはシナリオ・センター代表・新井一樹。
冒頭、これまでの流れや現在の状況を皆さんに確認。
それによると、演劇台本を作るために今週はいろいろなゲストティーチャーをお迎えして学んでいるのだとか。
これまで、“お試し”として『桃太郎』のあらすじをまとめていて、その際はチームごとに分かれて、それぞれのチームに「この要素を入れて桃太郎の話を考える」という“お題”があり、皆さん一様に「難しかったです……」と口を揃えました。
〇生徒さん:私たちのグループは「希望」という要素を入れなければいけなくて、「希望」を入れるとなると逆の「絶望」も要素として入れたほうがいいかなということになりましたが、それが難しくて。
〇生徒さん:僕たちのグループが入れることになった要素は「楽しい」。「すごく楽しく鬼を倒す」という話にしようと思いましたが、そうなるとクライマックスも少し内容を変えないといけないし、桃太郎も“すごく強気な性格”に変えなきゃいけなくて、どうしたらいいか分からなくなりました。
――これを聞いた新井、「すごくいいところに気づいたね!」とニヤリ。
〇新井:「楽しい物語」にするには、どんな「性格=キャラクター」にすればいいかを考えた、というところが素晴らしい。
その通りなんですよ。どんなキャラクターにするかによって物語の内容は変わります。
皆さんの場合は、「この要素を入れて」というお題があるので、「こういう物語にするには、こういうキャラクターの登場人物」と考えますが、お題が何もない状態で物語を作るときは、「登場人物のキャラクターから設定しよう」とシナリオ・センターではお伝えしています。
キャラクターが決まると、「この性格なら、この状況でどんなことを言う?どんな行動をする?」とスムーズに発想できるようになります。
――これを聞いた生徒さん、「うんうん」と頷いてくれています。
〇新井:シナリオ・センターでは登場人物の行動を「アクション」、
反応を「リアクション」とよんでいます。
そして、この2つは、登場人物のキャラクターで発想します。
主人公はこういうキャラクターだから、
こういうときはこんなアクションをする。
こうされたときはこんなリアクションをする。
というような感じです。
さらに、この「アクション」「リアクション」は、登場人物のキャラクターだけでなく、登場人物の「そのときの感情」や「登場人物たちの関係性」も関係してきます。
それでは、この関係性を体感するため、「エアーキャッチボール」を行います!
各クラス一列に並んでください。左側を「A列」、右側を「B列」。
向かい合ってペアになってください。

体験ワーク:エアーキャッチボール
キャラクター・感情・関係性によって変わるアクション・リアクション
*

「エアーキャッチボール」では、ボールを投げることで「アクション」を、
ボールを受けることで「リアクション」を体感していただきます。
いろいろな設定で、計6回、以下のような順番で行いました。
◆1回目と2回目
「キャラクター」によって「アクション・リアクション」はどうなるか
・1回目
A列:強気なキャラクターで投げる
B列:弱気なキャラクターで受け取る
・2回目はA列とB列の設定をチェンジ
◆3回目と4回目
「キャラクター」「そのときの感情」によって「アクション・リアクション」はどうなるか
・3回目
A列:真面目なキャラクターで、機嫌が悪い、ときに投げる
B列:優しいキャラクターで、「しょうがないなあ」という思いで、受け取る
・4回目はA列とB列の設定をチェンジ。
◆5回目と6回目
「キャラクター」「そのときの感情」「関係性」によって「アクション・リアクション」はどうなるか
・5回目
A列:弱気なキャラクターで、機嫌が悪いときに投げる
B列:強気なキャラクターで、「しょうがないなあ」という思いで、受け取る
「2人は仲が良い」という関係性。
・6回目はA列とB列の設定をチェンジ。
関係性は「2人は初対面」という設定。
目に見えない感情や関係性はト書に!
エアーキャッチボールの1・2回目は、
こういうキャラクターだから、こう投げよう、こう受け止めよう。
3・4回目は、
こういうキャラクターで、こういう感情だから、こう投げよう、こう受け止めよう。
5・6回目は、
こういうキャラクターで、こういう感情で、こういう関係性だから、こう投げよう、こう受け止めよう。
と生徒の皆さんは考えてくれました。
〇新井:こんなふうに、アクションとリアクションは、
「登場人物のキャラクター」とそのときの「感情」と「関係性」によって変わります。
つまり、登場人物のキャラクターを決めて、そのときの感情や登場人物同士の関係性もきちんと設定しておけば、こんなときはどんなアクションを起こすのか、どんなリアクションをするのかが自然と考えられるようになるので、「どんな展開にしよう……」と悩まずに済むわけです。
――生徒の皆さん、「なるほど」とメモをとってくれています。
〇新井:ただ、シナリオを描くときの注意点がひとつ。
シナリオは映像にするための設計図なので、映像に映るもの・目に見えるものを書きます。
「登場人物のキャラクター」も「感情」も「関係性」も、目に見えないですよね。
だから、その「登場人物のキャラクター」や「感情」や「関係性」を表す、アクションやリアクションを文章にします。
例えば先ほど、「弱気なキャラクター」「機嫌が悪い」「仲が良い関係性」でボールを投げるという設定のとき。
ちょっとむくれた顔で、受け手のほうにちょっと近づいて、そっぽを向きながら、軽くポイとボールを投げた生徒さんがいました。
すごいなと思いました。この動作だけで、キャラクターや感情や関係性がなんとなく分かりますよね。
なので、この一連の動作や表情をシナリオの「ト書(動作・仕草・情景を表す部分)」という部分に書いてください。
――生徒の皆さん、うんうんと大きく頷いてくれています。

新井はその後、キャラクター設定のさらなるポイントやシナリオを構成する三要素「柱・ト書・セリフ」などをご紹介。
後半は、前半でお伝えしたことを踏まえて、短いシナリオを作成してもらいました。

ストーリーではなくキャラクター
*

最後はシナリオを発表。
皆さん、「登場人物のキャラクター」を自分で設定して、「そのときの感情」と「登場人物たちの関係性」も考えながら面白いシナリオを描くことができました!
最後に、新井が皆さんにアドバイス。
〇新井:冒頭に、皆さんからこれまでのことを聞いたじゃない?
そしたら、「楽しい」という要素を入れるチームは、「すごく楽しく鬼を倒す話にするにはクライマックスも少し内容を変えないといけない」と悩んでいましたよね。
ストーリーから変えていこうとするのではなくて、この要素を入れるなら、まずは桃太郎をどんなキャラクターにするか。
そして、その桃太郎が、こういう感情になったら、どういう関係性の相手だったら、どんなアクション・リアクションをするか。
と考えていけば、スムーズに物語が展開していって、「これぞ!」というクライマックスに辿り着くのではないかと思います。
「この要素を入れて」とお題が出たときは、まず「登場人物のキャラクター」「そのときの感情」「登場人物たちの関係性」を考えるところから取り掛かってみてください。
※いろいろな施設や学校で出前授業「キッズシナリオ」も実施しております。
事例をご紹介しておりますので、ご参考までにご覧ください。
楽しく創作して、視聴者・観客・読者にも楽しい!と感じてもらう為に
シナリオ・センターでは、基礎講座でも、その先のゼミナールでも、まず大切なのは「キャラクター!キャラクター!!キャラクター!!!」とお伝えしています。
というのは、今回ご紹介したように、はじめに登場人物のキャラクターをきちんと設定しておくと、「もしもこういうことが起きたら、この主人公はどんなアクションをするだろう」「こういうキャラクターの主人公なら、こういうことが起こるかも」と考えることができるからです。
このほうが「どんなストーリーにしよう」と漠然と考えるよりも楽しいですよね?
そして何より、「作者の都合で主人公が動いている」という感じにはならないので 結果、視聴者・観客・読者は違和感なくその世界観に入り込むことができます。
シナリオの技術にはこういった創作のヒントやコツが沢山詰まっています。
「もっと詳しく知りたい!」という方は、是非、シナリオ・センターの基礎講座へご参加ください。
▼詳しくは基礎講座ページへ
(シナリオ作家養成講座とシナリオ8週間講座はオンライン受講も可能です)
※シナリオ作家養成講座とシナリオ8週間講座は講座内容を少し体験していただける機会もございます。
新井一樹 著書ご紹介
★『大人になっても「書くこと」を好きでいたい君へ シナリオ・センターが伝える 14歳からの創作ノート』(KADOKAWA)

※こちらのブログも併せてご覧ください
▼あなたのアイデアを、物語に仕上げるための『シナリオ・センターが伝える 14歳からの創作ノート』
▼脚本家・政池洋佑さん流 創作術/新井一樹 出版記念対談より
・出版記念イベントとして開催した特別講義「頭ひとつ抜けた小説を書くためのシナリオ・センター式 創作術」
▼【カクヨム】アーカイブ動画&書き起こし記事
★『プロ作家・脚本家たちが使っている シナリオ・センター式 物語のつくり方』(日本実業出版社)

※こちらのブログも併せてご覧ください
▼面白い物語になっているかチェック!『シナリオ・センター式 物語のつくり方』
★『シナリオ・センター式 物語のみがき方』(日本実業出版社)

※こちらのブログも併せてご覧ください
▼コンクール前に悩まないために!『シナリオ・センター式 物語のみがき方』発売開始












