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シナリオを書き続けていたら!
第六夜:シナリオの技術「枠」は編集するときも

シナリオを書き続けていたら「いつのまにやら、映画監督。」

私は事務職をしている会社員。
時には電話対応、時にはExcelで表づくり、
時には同僚とお茶菓子をつまんだりなんかして。
家に帰って家族が寝静まった頃、
夜な夜なシナリオを書き続けていたら……
いつのまにやら、映画監督になっていたのです!

その映画とは――
2023年1/6より愛知・岐阜にて先行公開
1/13から新宿ピカデリー他、全国公開となる『ひみつのなっちゃん。』。
脚本・監督を務めたのは、田中和次朗さんです。

ぜひ劇場でご覧ください!

※ラビットハウス
映画『ひみつのなっちゃん。』 予告<60秒>

ワクワクさせる枠“ワク”の中を考える夜

私の監督・脚本デビュー作は撮影も終わり、いよいよ、編集作業に突入。
夜な夜な編集の方と、アルフォート片手に作業をします。

編集の進め方は、あらかじめざっくり繋げてもらったものを観せてもらい、気になった時にストップ。

撮影してきた素材の在庫を確認しながら再編集していきます。
それが出来たら次のシーンへ進めて、全体の90分を繋げていきます。

編集も、葛藤の連続ですね……。
シーンごとに直しても、全体を通して観ると、またテンポやらニュアンスやらが変わってくる。
良かったはずのところに、また修正を入れる。
これを延々と繰り返す作業です。

90分の映画を何度も繰り返し観る。
一見、気の遠くなるような作業ですが、編集さんと検証しながら「これだ!」と直感がシンクロすると、とても気持ちがいい。

映画づくりでしか味わえない喜びの瞬間が味わえます。
その境地に行くためにAの繋ぎ方が良いか、はたまたBパターンか。
いや、Cパターンも考えられる……可能性が、無限の森。

特に悩んだのが、ダンスシーン。
劇中ではドラァグクイーンのダンスショーが繰り広げられるシーンがあります。
ここで、“何を”繋げていくか。

撮影中は、3台のカメラで撮影。
それゆえ素材も豊かにあり、どうとも繋げることができる。

このスタッフ・キャストの想いが詰まったそれぞれのカットを、“何軸”で、繋げていけばいいの?

かっこいいところ?
キュートなところ?
ユニークなところ?

出でよ。シナリオの技術。
ここにも助けとなる技術があるに違いない。

枠 -フレーム- がものを言う

新井一 著『シナリオの基礎技術』を開けば、そこにやはり答えがありました。

それは、「枠」。カメラのフレームのことです。

<映像の枠とは、どうしても観客が見なければならないという、強制力がありますが、その機能を利用して心理描写を表現するのです>
(『シナリオの基礎技術』P138「映像の枠の利用」より)

そうだった。忘れてしまっていた。
映像には、「枠 -フレーム-」がある、ということを。
脚本を書く時、「枠の中に何を映すのか」を意識します。

人物の様子、表情、情景にしろ、小道具にしろ、枠に映った映像で、登場人物の心理や感情をのせることができる。

例えば、「畜生!」と思って怒っていることを伝えたければ、「拳が握られて、小刻みに動く」を見せることで伝わる。

例えば「全然怒ってないよ」と言っている人を映して、次のカットでコンロのやかんがピーっ!と沸騰していたら、本当は怒ってるんだな……っていうのが分かったり。

そうやって映像を通して人物の感情を追っていく。
シナリオを書く時も、そうやって、気持ちに寄り添って描いたではないか。

そうなれば、こたえは簡単。
このシーンのこたえもシナリオの中にある。

もちろん、このダンスシーンは、かっこよくて、キュート。ユニークさもある。

でも、このダンスシーンは何を見せるのか。
素敵なダンスだけど、ただただそれを見せればいいのか。
いえ、違います。

「誰のどんな気持ちを見せていくシーンなんだい?」

分かりました。
それを頼りに繋げていきます!

そうすれば……あらふしぎ。
新井一先生、狙いどおりです!

*     *     *

そのシーンの詳細は、劇場にてご確認ください。

編集もシナリオ片手に進める作業。
であれば、シナリオの技術を使わない手はない。

一見、技術って、これはできて、これはできない、と決まりのようにとらえがち。

でも、シナリオの技術は自分の発想の“ピント”が合っているかを確認する方法、そこから広げる豊かにするための起爆剤。

そう思うと、どんな創作のシーンでも活用できそうです。

次回1月6日に更新予定です

※『月刊シナリオ教室』ではこちらのブログと連動した「新人映画監督のおどおどが止まらない」を連載中。併せて是非ご覧ください!

※「枠」に関してはこちらの記事も。
「@デジタルクリエーションクラブ/③ ロング バスト アップ を意識」

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第二夜 セリフは“消えもの”だから……

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第四夜 物語の構成・起承転結の「承」を撮影中も意識

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第七夜 セミオールで甦るゼミナール

▼“困ったときはシナリオの技術をよりどころに”
映画『ひみつのなっちゃん。』脚本・監督 田中和次朗さんに聞く

「シナリオは、だれでもうまくなれます」

「基礎さえしっかりしていれば、いま書いているライターぐらいには到達することは可能です」と、新井一は言っています。

“最初の一歩”として、各講座に向けた体験ワークショップもオススメです。

※シナリオ作家養成講座とシナリオ8週間講座は、オンライン受講も可能です。
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