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しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。

困ったときはシナリオの技術をよりどころに
『ひみつのなっちゃん。』脚本・監督 田中和次朗さん

困った時はシナリオの技術を拠り所に/脚本家・監督 田中和次朗さん

映画『ひみつのなっちゃん。』。
2023年1月6日(金)より愛知・岐阜先行ロードショー。
2023年1月13日(金)より新宿ピカデリー他正月第2弾ロードショー。

脚本・監督を手掛けたのは、出身ライター 田中和次朗さん。
本作で商業映画デビューとなります。

(C)2023「ひみつのなっちゃん。」製作委員会

 

==あらすじ==
ある夏の日、元ドラァグクイーンのなっちゃんが急死する。翌日、なっちゃんが営んでいた店に集まったバージン(滝藤賢一)、モリリン(渡部秀)、ズブ子(前野朋哉)のドラァグクイーン3人は、なっちゃんが自身のセクシャリティーを家族に秘密にしていたことを知る。秘密が遺族に知られないよう彼女の家へ片付けに向かうものの、なっちゃんの母・恵子(松原智恵子)と鉢合わせてしまう。彼らは何とかその場を切り抜けるも、恵子から故郷の岐阜県郡上市に来て葬儀に参列するよう頼まれる――。

 

映画『ひみつのなっちゃん。』は情報解禁直後から大きな話題に。
12月に行われた完成披露試会は満席となり大盛況でした。

公開を記念して、田中さんにコメントをいただきましたのでご紹介。

田中さんには、本作の制作エピソードと、それにまつわるシナリオの技術に関するコラム「いつのまにやら、映画監督。」もご担当いただいています。

このコラムでも、今回のコメントからも、田中さんがシナリオを書くときも、演出するときも、シナリオの技術を“大切な軸”としていることが分かります。「映画を作りたい」「シナリオに興味がある」という方、参考にしてください。

※ラビットハウス
映画『ひみつのなっちゃん。』 予告<60秒>

「登場人物の気持ちに寄り添って」

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――今回の作品を書こうと思ったキッカケ

〇田中さん:映画『ひみつのなっちゃん。』の“素材”はお葬式。

シナリオ・センターの研修科在籍中に、「葬式」という課題でコメディを書いてクラスで発表したのですが、そのときの反響が忘れられなかったのがキッカケの1つにあります。セリフやト書を読むたびにゼミ仲間が笑ってくれて。それで、「いつかお葬式でコメディ作品を書くぞ!」と思いました。

それともうひとつ。知人から、とあるドラァグクイーンのお葬式にお仲間が参列した、というエピソードを聞いて、その一行をミソ帳(=ネタ帳)に書き込んだこと。

のちに、こういったことをプロデューサーの近藤良英さんと共有し、アイデア出しをしているときに、クライマックスシーンがふと思い浮かび、この作品を執筆することになりました。

さらに、母方の故郷である岐阜県郡上八幡をいつか舞台にしたいという想いもありました。

思い返してみれば、いろんな点と点が繋がり、この作品が生まれました。

――脚本を書く上で特に心掛けたところ

〇田中さん:心掛けたのは、それぞれの登場人物の気持ちに寄り添って書き進めることです。

それは本作に限らず、私が人物を描くときはみんな同じです。

誰もがその人生の主人公であり、特別な存在ですし、特別な存在であることは普通のことだと思っています。

そう考えれば誰もがマイノリティー。

マイノリティーであること自体マジョリティーなのだから、世の中の枠組みや垣根は意識しないで、ただこの世の中にいるかもしれない一人の人物の、ある夏のひとときを描きました。

ただ、本作はドラァグクイーンを主人公にした “業界もの”でもあるので、実際の雰囲気や世界観も大切にし、突拍子もない嘘などないか、実際に活躍されているドラァグクイーンのエスムラルダさんにシナリオを読んでいただいたり、生の声を聴きながら書き直していきました。

(C)2023「ひみつのなっちゃん。」製作委員会

「シナリオにすべて答えがあるはず、と探りながら撮影に」

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――監督としてディレクションする際、印象的だったこと

田中さん:撮影に入る前の話なのですが、主演の滝藤賢一さんと二人で台本についてお話しできた日があって、その日はとても印象に残っていますし、素晴らしい時間でした。

主人公・バージンのキャラクターや、旅をする三人組の関係性の認識をすり合わせたり、セリフ・ト書のディテール、細かいところまでしっかり事前に打ち合わせをしました。一杯のコーヒーで、昼から始めて陽が落ちる前まで話し込んだのですが、そのコミュニケーションがあったからこそ、私も演出面での軸が明確になりました。

――脚本家として、監督として、今回“発見”したこと

田中さん:“初めてづくし”なのですべてが発見でしたが、脚本を書く身としては、シナリオは本当に設計図なんだな、と体感しながら撮影に当たっていました。

監督をした身としては、シナリオにすべて答えがあるはず、と探りながら撮影に当たりました。

――最後に。「シナリオを勉強して良かった」と思う瞬間とは

〇田中さん:シナリオを読んでもらって「面白い」と言ってもらえたとき。

そして「この役を演じたい」と言ってもらえたときです。

まさか何者でもない私のシナリオが、滝藤賢一さんや、渡部秀さん、前野朋哉さん、そして松原智恵子さんなどのスターの皆さんの目に触れ、演じていただけるなんて。そんなことが人生で起こるとは思ってもみませんでした。

ご出演いただいた本田博太郎さんにも「こういう役がやってみたかったんだ」と言っていただいて。今でも思い出しては多幸感に浸る瞬間も。

書くことは時につらいこともありますが、困ったときはシナリオの技術をよりどころにして、助けてもらいながら書き続けられました。このことも、勉強してきてよかったな、と思う瞬間です。

(C)2023「ひみつのなっちゃん。」製作委員会

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『月刊シナリオ教室』2023年2月号(1月発行)には、『ひみつのなっちゃん。』のシナリオと田中さんのインタビューを掲載予定。是非ご覧ください。

※シナリオ・センター出身の脚本家・監督・小説家のコメント記事一覧はこちらで。
脚本や小説を書く とは/シナリオの技術を活かして

※本文中の「課題 葬式」に関しましては、こちらの記事も参考にしてください。
日常生活でドラマ (葛藤や変化) を生み出すなら「儀式」 

田中和次朗 さん連載コラム「いつのまにやら、映画監督。」
『ひみつのなっちゃん。』制作エピソードはこちらのブログで!

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シナリオを書き続けていたら「いつのまにやら、映画監督。」

第一夜 なぜ“形”にこだわるのか

第二夜 セリフは“消えもの”だから……

第三夜 脚本家・映画監督の才能があるのか否か

第四夜 物語の構成・起承転結の「承」を撮影中も意識

第五夜 シナリオのト書と時間経過「×××」

第六夜 シナリオの技術「枠」は編集するときも

第七夜 セミオールで甦るゼミナール

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