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シナリオを書き続けていたら!
第五夜:シナリオのト書と時間経過「×××」

シナリオを書き続けていたら「いつのまにやら、映画監督。」

私は事務職をしている会社員。
時には電話対応、時にはExcelで表づくり、
時には同僚とお茶菓子をつまんだりなんかして。
家に帰って家族が寝静まった頃、
夜な夜なシナリオを書き続けていたら……
いつのまにやら、映画監督になっていたのです!

その映画とは――
2023年1/6より愛知・岐阜にて先行公開
1/13から新宿ピカデリー他、全国公開となる『ひみつのなっちゃん。』。
脚本・監督を務めたのは、田中和次朗さんです。

ぜひ劇場でご覧ください!

※ラビットハウス
映画『ひみつのなっちゃん。』 予告<60秒>

過小ト書は“×”な夜

デビュー作となる映画の撮影も佳境に入った頃。
夜な夜ないつものひとり反省会です。

この日は、夜の大きなクラブ会場で、主人公が仲間との一時を過ごすシーンの撮影でした。

シナリオでよくある「×××(バツバツバツ)」っていう記号、あるじゃないですか。

私はなるべく書かないようにしていました。
シナリオを学んでいた時に、あまり使わないよう教わったから。

ですが、今回の撮影でよく分かりました。
「×××」を使わない方が良い理由が。

なぜなら、現場が大変になるからです。

×××は、もう伝えた気になる

「×××」は複数の意味があるのですが、その一つとして“しばらくして”という意味があります。

例えば――

〇山田家・居間
   太郎(18)ががやって来る。
太郎「ご飯できたぞー」
   一郎(12)、次郎(9)、花子(5)が集まる。
太郎「いただきまーす!」
一郎・次郎・花子「いただきまーす」
   と手を合わせる。
   ×   ×   ×
太郎「ごちそうさまでした!」
   と、手を合わせる。

――みたいな感じ。

こうすることでテンポよく、食べ終わった次のシーンへ進めることができるという、魔法の記号です。

でも、取り扱いに注意です。

この“しばらくして”は、書き手も伝わった気になっているし、
受け手も「時間経過する」というのがわかった気にはなります。

でも、シナリオは映像を描きます。
シナリオで時間経過は“映像でみせる”のが大原則。
シナリオ・センターで学んでいた頃、そう教わりました。

だから、先ほどの「例」の話でいくと、
「ごちそうさまでした」の前に、食べ終えた食器や、お米つぶを頬につけた人物等々、ト書が必要。

「×××」を使うと、過小ト書になりがち、になるんです。
過小ト書とはドラマに必要な人物・関係・小道具・リアクションを書き忘れてしまうこと。
<新井一著『シナリオの基礎技術』P191より>

今回の話で言うと、クラブのシーン。
この場所で時間が経ったことを表現したかったのですが、時間経過の「前」と「後」で過小ト書に。

案の定、「監督。ここはどんな映像を挟んで(時間経過を)表現します?」という質問が……。

本当は時間経過の前後で、

・ステージ上にパフォーマーはいるのか、いないのか。
・観客はどんな動きをしているのか。
・バーカウンターに人はいるのか。

――を書く必要があった……。
この日の撮影は大勢のエキストラの方々にご参加いただいており、配置を決めないといけなかったんです。

つまり「×××」は、「ここで時間が経ったことにするけど、どう経ったかの表現は現場にお任せします」と言っているようなもの。でもこれって比較的、シナリオライターの仕事だったりします。

今回は、その場で、口頭で、

「ショーとショーの幕間の時間なので、ステージ上には誰もいなくて、お客さんはドリンクを買いに行ったりしているから客席にも誰もいないです」

――と伝えると、現場が一気に動き出しました……。

*     *     *

時間経過がちゃんと伝わるト書を書いておけば、撮影もよりスムーズになったなぁ……。

そう反省しながらアップデートを繰り返した、撮影の日々でした。

次回12月23日に更新予定です

※『月刊シナリオ教室』ではこちらのブログと連動した「新人映画監督のおどおどが止まらない」を連載中。併せて是非ご覧ください!

※「時間経過に関してはこちらの記事も。
「シナリオがうまくなりたいならカットバック法」

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