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しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。

第17回北のシナリオ大賞 桜田ゆう菜さん 嘉山正太さん

ラジオドラマ脚本コンクール「北のシナリオ大賞」。

募集作品のテーマは、北海道をモチーフ・舞台にしたオリジナルのラジオドラマ。400字詰め原稿用紙で35枚以上45枚以内のもの。なお、大賞作品はNHK札幌放送局で制作・放送予定。

第17回目となる今回は、応募総数79本の中から大賞と佳作の2本が選ばれました。なんと、ともにシナリオ・センター在籍生の方々です!

大賞 『礼文バージンロード』 桜田ゆう菜さん(作家集団)
佳作 『サクランボ狂想曲』 嘉山正太さん(WEB研修科)

おふたりにコメントをいただきましたのでご紹介します。「映像ドラマだけなくラジオドラマにも挑戦したい!」という方はぜひ参考にしていただき、次回応募してみてください。

大賞受賞作『礼文バージンロード』桜田ゆう菜さん
映像ドラマと違ってラジオドラマは“音”でしか解決できない

==あらすじ==
礼文島の漁師、木田道夫のもとに、離婚してから離れて暮らす娘の夏来(離婚当時10歳)が、婚約者を連れてやってきた。そして「バージンロードを一緒に歩きたいから、結婚式に来てくれ」と道夫に懇願する。
夏来は、元妻・真実子が不倫の果てに産んだ子で、夏来はその事実を知らない。真実子は夏来の実の父親と再婚し、今は親子3人で暮らしている。道夫は真実子夫婦を気遣って、夏来を思う気持ちとは裏腹に、漁が忙しいからと結婚式の出席を断る。けれど夏来は納得しない。仕方なく道夫は、夏来に出生の事実を話した。そして自分は他人なのだから、もう礼文には来るなとまで言う。
打ちひしがれる夏来の様子に、血の繋がりがなくても夏来への愛情を消すことができないことに気づく道夫。式には出席できないが、バージンロードの願いだけでも叶えてやろうと、漁師仲間に協力してもらい、船を使って海上バージンロードを作り、夏来を新郎のもとへと送り出す。

――受賞の手応えはありましたか?応募する前のお気持ちと併せて受賞の感想を。

〇桜田さん:書く前は自分の中に見つけた世界があまりに混沌としていたので、受賞の手応えどころか作り上げられるのだろうかと不安しかありませんでした。

が、少しずつ全貌が見えない世界を紐解いていくと、そこにはやっぱり一つの世界が広がっていて、書き上げた時は受賞の手応えというより、「この世界を見つけられてよかった」という気持ちになって、勝手に自己完結していました。

――これまでラジオドラマを書いたことはありましたか?

〇桜田さん:1年前に5分間のラジオドラマのコンクール「北杜市シナリオコンクール」に応募したことがあります。それまでラジオドラマを書いたことがなかったのと、5分という短さだったので、練習として書いてみようと。みごと玉砕しましたけどね(笑)。

――映像のシナリオを書くときと違って何か意識したことはありますか?

〇桜田さん:初めて40~50分のラジオドラマを書いたのですが、シナリオを書く時、いつも映画を観ているような状態で湧きあがってくるので、今回はシーンの切り替えがとにかく難しかったです。映像のドラマなら、見せたいものを柱やト書で書くことで解決できますが、ラジオドラマは「音」でしか解決できないので、「何の音を使ったらいいの!」と、テクニックが全くない私にはとても難しかったです。

――受賞作『礼文バージンロード』を書いたキッカケを教えてください。

〇桜田さん:祖父が礼文島の漁師で、小学生の夏休みに昆布干しの手伝いに行ったんです。あの時の空気感をいつかドラマにしたいなとずっと思っていました。

――今回、特にどんなことを心掛けましたか?

〇桜田さん:登場人物の感情を掘り下げることです。映像のシナリオではほとんど使わないモノローグを、いかに生きたモノローグにするかはめちゃくちゃ考えました。ここに主人公の言葉にできない「思い」が詰まっているので。ただ、うまく書けた自信はあんまりありません(汗)。

――ラジオドラマコンクールで賞をとりたい方が沢山いらっしゃいます。何かメッセージをお願いします。

〇桜田さん:私の方がメッセージをもらいたいくらい、日々、頭を掻きむしっているのですが……。そうそうおもしろいアイデアが湧いてくるわけじゃないし、プロットを考えても画期的な展開とか、予想外の結末なんて思いついたことがないし、かといってすっごく興味深いキャラクターを考え付くわけでもないし。

それでも「おもしろい作品を書きたい」だけで、私は書いてます。ラジオドラマ(映像のドラマもですが)は、今までも別の賞に応募しようと思いつつ、頭が真っ白でアイデアが浮かばず、応募できなくて自己嫌悪に陥ったことが何度もありました。たぶんこれからもです。

なので皆さん、安心してください。「絶対皆さんの方が おもしろいの 書ける」、という確信が私にはあります。書き続けてさえいれば。

佳作受賞作『サクランボ狂想曲』 嘉山正太さん
奥行きのあるセリフと“映像”を意識して執筆

==あらすじ==
日本一のスキーリゾートでの暮らしを満喫していたアルゼンチン人の青年ホルヘが、突然、新型コロナの流行で職を失い、帰国することも出来なくなり、窮地に立たされる。知人の伝手で、人手が集まらず困っていたサクランボ農家・白井農園で働きはじめる。きつい農作業、食べ慣れない食事など新しい生活に馴染めず、農園の人とも距離を置く。「同僚のベトナム人リエンは農園の人達に気に入られているのに、自分は」という被害妄想も。だが、作業を続け、食卓を囲むうちに、徐々に白井家や農園の人々とも打ち解け始める。そんな中、サクランボ泥棒が発生する。ホルヘは自慢の俊足で犯人を捕まえようとするのだが……。サクランボ農園を舞台に心を通わせ合う人々の物語。

――嘉山さんは昨年シナリオ・センターの講座を受講し、約1年で今回の受賞となりました。受賞の感想とともに、この1年間の想いなども併せてお聞かせください。

〇嘉山さん:ドキュメンタリーやニュース、テレビ番組を作る仕事を海外を拠点に行っており、創作のシナリオを書くこと自体にも、元々、興味がありました。2020年の新型コロナ感染症の流行により、仕事が以前と同じように出来なくなったこともあって、空いた時間を利用して新しいことを始めてみたいと思っていました。

たまたまネットでシナリオ・センターさんがオンライン講座の8週間講座をやるという知らせを目にし、申し込んでみました。その時は、シナリオを改めて学ぶことで、自分の仕事にも良い相乗効果があるのではないかと思って受講しました。

8週間講座でのお話が面白かったこと、また新型コロナで人と出会うことも制限されていたこともあったので、オンラインのゼミで他の人の書くシナリオにも興味が湧いたのでゼミへと進みました。

所属したオンラインゼミの講師の方(渡邉講師)に非常に丁寧に、そして情熱を持って指導していただきました。講師の「熱」を強く感じ、いつの間にか、毎週の課題を書くのが楽しみになっておりました。

またシナリオは、芸事として確立しているということをゼミを通じて感じるようになりました。明確な「技術」があり、その「技術」を習得するということを目的にされているということが段々と分かってくるようになると、次第に、個人的にも古今のシナリオを研究することが楽しく感じるようになりました。

現在は研修科ですが、こちらのクラスでも講師の方(武藤講師)の指導にハッとさせられることがたくさんあり、またゼミの他の受講生の方の熱を感じ、大変刺激になっています。

――ラジオドラマを書いたのは今回が初めてですか?それとも、以前から、ですか?ラジオドラマとの“出会い”を お聞かせください。

〇嘉山さん:ラジオドラマを書いたのは、受賞作で3本目になります。一番最初に書いたのは9年前で、今見るとシナリオとも呼べない代物でした。2本目は今年の1月に書いて、創作ラジオドラマ大賞に送り、一次選考に残り大変嬉しかったです。

海外で長く生活しているため、日本のラジオ番組などで情報収集することが多いです。そのため、日常的にラジオを聴いている時間が長く、その流れで自然とラジオドラマに興味を持つようになりました。

また海外でも日本でも、最近はポッドキャストの番組が充実しているため、音声メディア自体に興味がありました。映像ではドラマ化が難しい、海外を舞台にした話や幻想的な話などを表現できるところもあり、音声ドラマは自分の柱に出来ればと考えています。

――受賞作『サクランボ狂想曲』を書いたキッカケを教えてください。

〇嘉山さん:昨年、『北の国から』を同じゼミの受講生に勧められて初めて拝見し、非常に感銘を受けました。祖父母が北海道にいたこともあり、北海道自体には何度も行ったことがあるので、この北海道を舞台にしたドラマのコンクールがあると知って、これは応募したいと考えておりました。

話自体のテーマを探すのにはかなり苦労しました。以前、ニセコという街に外国の方が多く移住するようになったという話を聞いたことがあり、コロナと絡めて書いてみようと思いつきました。

――今回、特にどんなことを心掛けましたか?

〇嘉山さん:まだ「出来ている」には遠いですが、セリフひとつのやり取り自体で、物語や背景、そして葛藤が見えるようにと思って腐心しました。奥行きのあるセリフというのを意識しました。またラジオドラマですが、映像を意識して執筆しました。

――ラジオドラマのコンクールで賞をとりたい方々へ、何かメッセージをお願いします。

〇嘉山さん:自分自身も今回の結果には非常に驚いています。今回受賞した作品は、かなり時間のない中で書いたこともあり、肩の力がいつもより抜けて書いていたということは覚えています。

また書き続けることで、シナリオの“地肩”が強くなってきていることを感じます。ですので、コンクールは、いつも以上の力ではなく、毎日の積み重ねが出てくるような気がします。そのためには書き続けること。そして、休んでもいいので、あきらめないことが大切なような気がしております。自分自身、そう思い、書くときの指針にしています。

その他、ラジオドラマ脚本コンクールの受賞者コメントも併せてご覧ください。

【創作ラジオドラマ大賞】

・「第49回創作ラジオドラマ大賞 /大賞・佳作一席・二席 受賞者コメント」

・「ラジオドラマで時代劇 /第48回創作ラジオドラマ大賞受賞 田窪泉さん」

【BKラジオドラマ大賞】

・「第41回BKラジオドラマ脚本賞 最優秀賞受賞 山本昌子さん」

・「第41回BKラジオドラマ脚本賞 佳作受賞 圡山由紀子さん」

・「第39回BKラジオドラマ大賞 最優秀賞受賞 山本雅嗣さん」

【南のシナリオ大賞】

・「第14回南のシナリオ大賞 大賞受賞 竹田行人さん」

・「第14回南のシナリオ大賞 優秀賞受賞 境田博美さん」

・「第12回南のシナリオ大賞優秀賞 山下蛙太郎さん」

【MBSラジオドラマ脚本コンクール】

・「第2回MBSラジオドラマ脚本コンクール優秀作受賞 菅浩史さん」

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過去記事一覧

  • 表参道シナリオ日記
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