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しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。

第14回南のシナリオ大賞 優秀賞受賞 境田博美さん

ラジオドラマ脚本コンクール「第14回南のシナリオ大賞」。
応募総数298編の中から、境田博美さん(通信作家集団)の『無音の伴奏』が優秀賞を受賞。
境田さんにコメントをいただきました。

「長編を書く時間がない……」「自信がない……」等々、脚本コンクールになかなか挑戦できないでいるかたは、境田さんの言葉が背中を押してくれますよ。是非、参考にしてください。

=『無音の伴奏』あらすじ=
老ピアニスト・馳慎一。3年前に脳梗塞を患い、一次は再起が危ぶまれていたが、回復し、復帰リサイタルを控えている。初心に帰って残りの人生をピアノに捧げることを誓う馳。そのためには、何を置いても弾かなければいけない特別なピアノがあった。そのピアノは、郷里の北九州・西小倉の小さなバーにある古びたアップライトピアノ。両親から医学部受験を厳命されていた高校生の馳。受験の妨げになるからと好きなピアノから引き離され、梢の経営するバーに駆け込んだのだった。バーの開店前の時間にピアノを弾かせてもらいながら、音楽への情熱を再確認した馳は、家出をしてピアニストを目指すことを決める。梢への恋心も打ち明け、一緒に上京しようと誘うが、梢は断る。「夢を叶えたら、またこのピアノを弾きにきて」と。50年越しに梢との約束を果たす馳。ピアノはすでに壊れ、まともに音も出せなくなっていたのだが……。

「受賞は期待せず、経験を積むために応募したという感じです」

――今回、受賞の手応えはありましたか?応募する前のお気持ちと併せて、受賞の感想をお願いします。

〇境田さん:手応えはまったくなかったですね。受賞は期待せず、経験を積むために応募したという感じです。

第一次選考時の講評で「平凡な話だが・・・」というコメントをいただいていますが、私自身そう思っていました。

優秀賞という評価をいただいたことにびっくりです。受賞のご連絡は電話でいただいたのですが、「日本放送作家協会の〇〇です。優秀賞に決まりましたよ」と言われ、一瞬「人違いでは?」と思いました。

――「南のシナリオ大賞 日本放送作家協会 九州支部」のHPに掲載されている受賞コメントに「ラジオのシナリオはこれまでに5本くらいしか書いたことがなく」とありましたが、今回なぜラジオドラマに挑戦しようと思ったのですか?

〇境田さん:コロナ禍で仕事が減って時間的に余裕が出来たこともあり、〆切に間に合う公募は、修行のつもりで極力出そうというスタンスです。

――『無音の伴奏』を書いたキッカケを教えてください。

〇境田さん:音のドラマなので、登場人物に楽器を弾かせたらいいんじゃないかな、という単純な発想が最初にあった上で。

私がたまにいくカフェに、ピアノが置いてあるんですけど、そのピアノがお店に持ち込まれた時のことを、常連の詩人さんが詩にしたものが、カフェの窓ガラスに書かれていたんです。その詩は、ピアノがお店の狭い入口から運び込まれようとしている光景をたまたま見た人の目線で書かれていて。その詩が印象的だったので、「主人公が、お店にピアノが運び込まれているのを見たことから始まる物語」を思いつきました。

あと私、お年寄りが出てくるドラマがなぜだか好きなんですよ。

――今回、「映像の作品と違ってココが難しかった」というところや、「ラジオドラマだからこそココを意識して書いた」というところはありましたか?

〇境田さん:映像と違って、「ナレーションを活用したほうが良い」という話を、だいぶ以前にシナリオ・センターで聞いた記憶があったので、どんどん使いました(うろ覚えですが、後藤先生が仰っていたかと思います)。

結果、映像シナリオの「絵で見せられないことを書いてはいけない」という制約から解放されたので、むしろ楽にかけた気がします。

もちろんその分、絵に描けば済むことを言葉で伝えなくてはいけなくて、頭に浮かんだ映像の文字変換に手間取った部分も、ありましたけど。(説明的になっている箇所が多いので、あまり成功していないです。講評でも、その旨、指摘を受けています)

――ラジオドラマ脚本コンクールで賞をとりたい生徒さんが沢山います。是非メッセージを。

〇境田さん:まだ私もラジオドラマを狙い始めて日が浅いので、たいそうなことは言えないのですが。

映像シナリオの公募よりも、短い枚数で応募できるものが多い印象です。だから、長編を狙うには時間的余裕がない、という人も挑戦しやすいと思います。私も今回、〆切の前日に書き始め、初稿1日&推敲1日で、〆切数分前に送信しました。(前述した通りで、完成度に納得は行っていませんが)

特に「南のシナリオ大賞」は、私も今回受賞して初めてわかったのですが、最終選考の様子がドキュメントでネットに公開されます。それを読むと「そうか、こういう点が評価ポイントになるのか、マイナスポイントになるのか」と、非常に参考になるので、応募オススメです。「最終選考ドキュメント」はPDF化して、PCデスクトップに保管させていただいています。

※なお、2021年1/10より「南のシナリオ大賞 日本放送作家協会 九州支部」のHPで『無音の伴奏』のシナリオが公開されるとのこと。

※ラジオドラマのコンクールに出したいかたはこちらのブログも併せてご覧ください

■「第14回南のシナリオ大賞受賞 竹田行人さん」

■「ラジオドラマ脚本コンクールで賞をとる2018①/山本雅嗣さん(第39回BKラジオドラマ大賞最優秀賞受賞)」

■「ラジオドラマ脚本コンクール で賞をとる2018②/菅浩史さん(第2回MBSラジオドラマ脚本コンクール優秀作受賞)」

■「ラジオドラマ脚本コンクールで賞をとる 2018③/山下蛙太郎さん(第12回南のシナリオ大賞優秀賞受賞)」 

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