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しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。

橋部敦子さんに聞く『 モコミ ~彼女ちょっとヘンだけど~』

『モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~』で第39回向田邦子賞を受賞された出身ライターの橋部敦子さん。

1993年シナリオ・センター研修科時代に、コンクール初応募作『悦びの葡萄』で第6回フジテレビヤングシナリオ大賞 佳作 を受賞。1995年『SMAPのがんばりましょう NAKED BANANAS』で脚本家デビュー。

脚本を手掛けた主な作品は、『月の輝く夜だから』 『僕の生きる道』『僕と彼女と彼女の生きる道』『僕の歩く道』(僕シリーズ3部作) 『ゴーストライター』『坊っちゃん』『フラジャイル』『A LIFE ~愛しき人~』『世にも奇妙な物語・少年』『僕らは奇跡でできている』『知ってるワイフ』、映画では『青天の霹靂』『幕末高校生』など多数。

今回は、第39回向田邦子賞で「物や植物と対話して、自分に正直に生きてゆく若い女性をためらいなく描いてさわやかな感動がある。周辺の人物も、シンプルだが優しい目線で描かれ、作品に幅と統一感をもたらしている。この安定した筆力は向田賞に値する」と評価された『モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~』について、橋部さんにコメントをいただきました。

橋部さんの“視点”から、学ぶところが沢山あります。脚本家や小説家になりたい方は参考にしてください。

私の中にあった「自分を受け入れる」というテーマ

――受賞の感想と受賞作『モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~』についてお聞かせください。

〇橋部さん:この作品では自分のやりたいことを全部やらせていただけました。だから余計、これで受賞できたのはうれしいです。

オリジナルで深夜枠、冬の放送だったので家族もののほっこりした話で、皆さんが心地よく眠りにつけるものをお届けしたかった。

萌子美は物や生物の気持ちがわかるという感覚を持っています。でも、最初はそこまでその特徴を際立たせていなかった。それが、話し合ううちに、普通にその能力が周りにわかってもいいのではないかとなった。そうすることで、もともと描こうとしていた、彼女を中心に家族たちが「自分が思い込んでいる価値観から解放されていく話」がより際立つと思いました。

――萌子美の母・千華子のキャラクターが強烈でした。娘を心配するがゆえに、彼女の個性を否定したり、何かと口出ししてしまったり。

〇橋部さん:萌子美が自分は人と違っていて、こんな自分はダメだと思いこんでいたのは、千華子の言葉がけの影響が大きい。千華子は自分が正しいと思っていて、その価値観を回りに押し付けますが、よかれと思ってやっています。程度の差はあると思いますが、こういう面を持った母親は多いと思うので、千華子の言動に胸がざわつく人が、少なくなかったんじゃないかと思います。

――萌子美の祖父・観(かん)がいろいろな場面で言う「普通ってなんだ」というセリフ。自分の “先入観”について考えさせられました。

橋部さん:ここ数年は、観ている人の視野がちょっとでも広がるといいなと思って書いています。「自分は正しい」と思っていたり、自分の置かれている環境に縛られると、それが普通と感じ視野が狭くなります。凝り固まってしまった価値観をずらしたいという想いがあります。

また、「自分を受け入れる」というテーマもここ数年、私の中にありました。でも、モコミを書き終わった時、実はそのテーマは、無意識だったけど、ずっと昔からあったことに気付きました。

――橋部さんの作品には、胸に刺さるセリフが沢山あります。いつもどうやって生み出すのですか?

〇橋部さん:キャラクターやシーンにもよりますが、あんまり考えずに書けるときもありますし、すごく考えないと書けないときもあります。よくあるのが、考えて考えて「もうダメだ!」と思って寝て、翌朝起きたら思いつくというパターンです(笑)。

――魅力的な登場人物も沢山出てきます。キャラクターを設定するとき履歴書は作りますか?

〇橋部さん:ある程度は作りますが、こういう人がこういう場面でどう反応するかは、最初に履歴書を作ってもなかなか深まらないんです。だから、私の場合は、実際セリフを書いて動かし始めないと、人物像が見えてこないですね。

――最後に、後輩たちへメッセージをお願いします。

〇橋部さん:チャンスは、いつやってくるかわかりません。そして、わかりやすい形でやってくるとは限りません。一見、チャンスとかけ離れているように感じても、実はチャンスにつながることだってあります。そこは、しっかりみてくださいね。チャンスに気付かないのは、とてももったいないです。

*     *     *

『月刊シナリオ教室9月号』では橋部さんのインタビューを掲載。シナリオの世界に入ったキッカケや新人時代の葛藤、「僕シリーズ3部作」や『僕らは奇跡でできている』についてもお聞きしています。併せてご覧ください。

※「どんな出身ライターがいるんだろう?」というかたは、こちらの「出身脚本家・小説家コメント記事一覧/ 脚本や小説を書くとは」をご覧ください。

https://www.scenario.co.jp/online/22470/ 

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