シナリオ・センターでは、学校や様々な施設で、子どもたちに向けた出前授業「キッズシナリオ」を実施しております。
先日は創立75周年を記念して学校の映画をつくりたいという、横浜市立中田小学校6年生の皆さんに向けてキッズシナリオを実施しました。その模様を、今回担当した田中がご紹介。
「子どもたちに向けた体験型イベントを何か開催したい!」「子どもたちに今この瞬間だからこそできる体験を何か提供したい!」とお考えの企業の皆さま。「創立75周年というメモリアルイヤーだからこそできる映画を作りたい!」という中田小の皆さんの様子を是非ご覧ください。
=今回の概要==============
・サービス名:「学校の創立記念に映画をつくりたい!」
・目的:総合的な学習の時間の一環としての映画づくり
・対象:横浜市立中田小学校さま(6年生30名)
・時間:90分
▼GIGAスクール対応プログラム「キッズシナリオ」詳細
https://sites.google.com/view/kids-scenariocenter/home
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“今だからできる映画”を作るために!
田中もびっくり。勉強家な中田小の皆さん。
皆さんにお聞きしたところ、
「創立75周年記念として学校に残るようなものを作りたい!何にしようか」
とみんなでアイデアを出す中で挙がったのが映画作りだったのだそう。
「映画を通していまの学校の姿を記録したい!」という皆さんのアイデア。
とっても素敵です!
でも、作るのは初めて。
担任の先生から、「映画作りには、どのような役割があってどんな手順があるのかもさっぱりで……。いちから教えてください。そして、どのようにしたら面白い映画を作ることができるのか、教えてください!」とご連絡いただきました。
そこで授業前半は、映画を作るための役割分担(※)や大切な手順(※)をご紹介。
これらをお伝えしている中で驚いたのが、皆さんの反応。
「映画を作る上での必要な役割としては、プロデューサー、脚本家……」と説明しようとしたら、
「監督! 助監督! それから美術!」と先に答えてくれたり、
「映画を作る手順としてはまず……」と説明しようとしたら、
一生懸命調べて「最初は企画を立てるところからですよね!」と答えてくれたり。
あれ、田中いらない?笑
なーんていうくらい、皆さん勉強家で
「面白い映画を作りたい!」という想いをひしひしと感じました。
“今だからできる映画”を作るためのポイント
アンチテーゼと登場人物のキャラクター設定
授業後半は、「どのようにしたら面白い映画を作ることができるのか」をご紹介。
ただ、勉強家である中田小の皆さんはもう知ってるんですよ。
面白い映画を作るためにはシナリオをしっかり書くことが大切だということを!
なので、あとは実践あるのみ!
シナリオを書いてみましょう!
ということで、シナリオ・センターオリジナルプリントを使って、
短いシナリオを書いてもらいました。
登場人物は「青山ひかる」と「赤木あきら」の2人。
この2人を通して「仲直りって素晴らしい」というテーマを伝えるシナリオを書きます。
ポイントは、シナリオの出だしは、伝えたいテーマの“反対”から始める、ということ。
これを「アンチテーゼ」(※)といいます。
シナリオを書く前に、皆さんに「仲直りって素晴らしい」の反対って何かな?と聞くと、
手を挙げるよりも前に答えがどんどん飛び交います!
「2人が喧嘩してるー!」
「気まずい感じとかー!」
「なんか話しづらい!」
「2人とも目をあわせない!」
その通り!
仲直りの“反対”を表すような状況からシナリオを始めると、
それを観た観客は「この2人、どうなっちゃうの?」と気になります。
そして、ラストに2人が仲直りできると、観客は「ああよかった!」
「仲直りって素晴らしいなあ」とじわっと感じてもらうことができるのです。
また、このように展開していけば、
登場人物にわざわざセリフで「仲直りって素晴らしいものだな」などと言わせなくても、
喧嘩していた2人が仲直りしている様子を観るだけで、
観客には「仲直りって素晴らしい」という作品のテーマが伝わるのです。
このことを伝えると、皆さんは大きく「うんうん」と頷いて、
“早く書きたいオーラ”が光り輝いています!
でも、ちょっと待って。
シナリオを書いてもらうとき、登場人物2人のキャラクター(性格)も自分で設定してもらいます。
なので、登場人物のキャラクター設定(※)について解説しました。
そしていよいよ!
「お待たせしました!ではシナリオを書いてください!」と言うと、
即座にスタタタタ!と鉛筆を滑らす音が教室中に響きました。
“今だからできる映画”を作るためのシナリオ実習
ある生徒さんは、「青山ひかる」をカリスマ的なキャラクターにして、
「赤木あきら」を明るいキャラクターに設定していました↓
冒頭、赤木から青山に話しかけます。
田中、感激です。
もうこのシーンだけで、青山と赤木のキャラクターが出てるじゃないですか!
青山は孤高のカリスマだから自分からは話しかけない。
でも赤木は明るい性格だから自ら青山に話しかけにいく。
しっかりキャラクターを考えたうえで、青山と赤木のセリフや行動を書いていますね。
そして、赤木が話しかけたときに「おまえ」と呼び掛けてしまったことで、
青山は「お前とはなんだ!」と激怒して喧嘩になってしまいます。
ここもまた素晴らしい!
きちんとアンチテーゼから入っていますよね。
そしてラストも赤木から青山に謝って、無事に仲直り。
2人が一緒に歩き出します。
セリフはなくてもこのラストシーンで田中、「仲直りって素晴らしい」って感じます!
他の生徒さんも、アンチテーゼと登場人物のキャラクターを意識した素晴らしいシナリオを書くことができていました!
このシナリオの技術を覚えれば、伝えたいことを観ている人に説明的に「伝える」のではなく、「感じて」もらえる面白い映画を作ることができます。
この調子で、創立75周年を記念する映画のシナリオを書いてくださいね。
素敵な映画ができることを、楽しみにしています!!!
* * *
「書きたい!」と思うテーマは状況や年齢によって変わります。「今この瞬間だからこそ書くことができる」というものが必ずあると思います。もっと言えば、シナリオを書くということは、今この瞬間だからできる、今この瞬間でなければできない体験なのではないかと思います。「今しかできない子ども向けの体験型イベントを実施したい!」とお考えの企業の皆さま。まずはお気軽にこちらまでご連絡ください。何かご一緒できれば!と思っております。
▼シナリオ・センター
TEL:03-3407-6936
MAIL:scenario@scenario.co.jp
※映画を作るときはこちらの書籍も参考にしてみてください↓
▼改訂版 『いきなり効果があがるPR動画の作り方』(「シナリオ教室」シリーズ/言視舎/企画・構成・著:新井一樹 /執筆:川村千重・内藤麻貴・田中和次朗)