家庭で学習するスタイル「ホームスクール」を実践している子どもたち「ホームスクーラー」に向けて、いろいろな講座や体験を提供されている団体 ポジティブラーニング推進協会さんよりお声掛けいただきまして、先日、出前授業「キッズシナリオ」をオンラインで実施しました。
今回は新井が担当。
=今回の概要==============
・サービス名:「だれでもシナリオライター講座」(全2回)
・目的:登場人物のキャラクターを作って物語を書く
・対象:ポジティブラーニング推進協会 主催のプログラム受講者
<中学1年生 2名/中学3年生 2名/高校生 3名>
・形式:Zoomによるオンライン授業
・時間:各90分
▼GIGAスクール対応プログラム「キッズシナリオ」詳細
https://sites.google.com/view/kids-scenariocenter/home
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その模様を広報の齋藤がリポートいたします。
「ホームスクールでどんなことをしよう?」とお悩みでしたら、今回ご紹介する方法を参考にしていただき、物語を書いてみてください。創作する力がメキメキと高まり、楽しみながら物語作りができるようになりますよ!
ポイントはストーリーを書く前に登場人物のキャラクターを設定すること
今回のキッズシナリオ第1回目は、シナリオの基本的な書き方「柱・ト書・セリフ」をお伝えした後、鬼3人が村を襲うための会議を開く「もしも桃太郎」のシナリオを作成。この作業を通して、登場人物のキャラクター(性格)によってセリフや行動が変わることを実感していただきました。
第2回目は、登場人物のキャラクターの作り方をお伝えした後、実際にオリジナルのキャラクターを設定し、シナリオを作成。最後に発表していただきました。
全2回の実施でしたが、短期間にも関わらず、皆さんの創作する力はメキメキと向上!
それは、「面白い物語を作るには登場人物のキャラクターをしっかり作ることが大切」というポイントをお伝えしたからです。
現に、最終日となる第二回目終了後にいただいた皆さんの感想には、キャラクター作りに関することがズラリ↓
・Aさん
この講座に参加する前に、何かストーリーを作ってみよう、何か考えておこうと思っていたんですけど何も思い浮かばなくて。でもそれは、ストーリーから考えようとしていたからで、キャラクターから考えていくと、「あれ!? 意外とスラスラ書けるな」というのが実感できて。自分にとって貴重な体験になりました。
・Bさん
物語を作るのはすごい難しいって感じていたけど、でも、最初に人物像を固めて書いていくと、案外、動画のテロップをつけるみたいな感じで作れるんだなと“新鮮味”を感じました。あと、いろいろな人のオリジナルの物語を聞けて嬉しかったです。Aさんには“フランスパンの続き”を書いてほしいです。
・Cさん
キャラクターを作るのは大事だなと感じました。
・Dさん
学べたことがいろいろあった。ストーリーを作るのではなくて、登場人物のキャラクターを先に考えていくというのはやってこなかったので。
・Eさん
最初はこういうの難しいんじゃないかなと思っていたんですけど、キャラクター作りをやってみると、自分の個性が出たいろいろなキャラが作れるし、幅も広いし、本当にいい経験だったなと思いました。
・Fさん
人物像から書くと、なんとなく設定した主人公の趣味とか好きなこともストーリーに繋がりやすくなって。この書き方を大事にしようと思いました。それから、みんなが発表してくれたストーリーは、自分では思いつかないようなことがいっぱいあって、どの作品も着眼点が良くて面白かったです。
――上記の中で、Bさんの「Aさんには“フランスパンの続き”を書いてほしいです」という文章に目が留まりませんでしたか?
Aさんの作ったフランスパンの物語、気になりません?
実はAさん、第1回目の冒頭に新井が「物語って作ったことある?」と質問した際、こんな話をしてくれました。
・Aさん
ストーリーを作るのは好きです。例えば、パンに意志があったらどうなるか。もしパンが生きていたら、どういう生活を送るのか。こんなふうに、“もしコレが生きていたらどういう生態か”というのを考えるのが好きなんです。でも、うまくストーリーが作れないんですよね……。
――このAさんが、翌週の第2回目には、「続きを書いてほしい」と言ってもらえるような物語を書くことができるようになりました。
それはなぜなのか。そして、ストーリーを作る前に登場人物のキャラクターを設定することがポイントだとしても、どのように設定すればいいのか。次の章でご紹介!
ストーリーはパターン。キャラクターは無限。
新井はストーリーについてこう説明しました。
〇新井:ストーリーというのは、ああなってこうなってという「筋」のことで、もう既に「パターン」があります。シナリオ・センター創設者の新井一は、ストーリーは「23パターン」だと言っています。例えば『ミッション:インポッシブル』は『桃太郎』型。仲間ともに敵を倒していく勧善懲悪もの。
こんなふうに、もうストーリーは決まっているので、ストーリーから考えようとすると、どこかで聞いたような話になってしまう。で、「新しい感じのストーリ―にしよう!」と頑張るけど、悩んで、ダメだ分からない、書けない……ってなってしまうケースが多いと思います。
じゃあどうしたらいいか。その解決策が、先に「キャラクター」を設定すること。
やり方としては、『大人になっても「書くこと」を好きでいたい君へ シナリオ・センターが伝える 14歳からの創作ノート』(KADOKAWA)のP66・67に掲載している内容をもとにやってみたいと思います。
〇新井:この“のっぺらぼうの図”を使って、主人公のキャラクターをどんどん目に浮かぶように具体的にイメージしていきます。
〇新井:目の前に「のっぺらぼう」がいるとします。そこに特徴を付けていきます。
「この人の身長はどのくらい?」「体型は?」「何歳くらい?」「服装は?」「どんなものが好き?」「どんな性格?」
こんなふうにどんどん、人物像を具体的にしていきます。
「こんな感じの主人公」というのが固まってきたら、次はもうひとり脇役も同じ要領で作ってみてください。
主人公と脇役のキャラクターができたら次は「主人公が〇〇しようとする物語」(※)という簡単な文章を考えてみてください。
※「〇〇する物語」ではなく「〇〇しようとする物語」を考える理由についてはこちらをご覧ください。
――上記の解説を踏まえて、作ったAさんのフランスパンの物語。あらすじはこちら↓
<主人公はカリカリのフランスパン。とても真面目なキャラクター。カリカリであることに誇りをもっています。脇役はパン屋さんの亭主。舞台は大雨が降るドイツ。大雨の中、フランスパンが店を訪れます。雨に濡れたせいで、自慢のカリカリさは見る影もない。もう一度、元のカリカリに戻るべく、フランスパンはパン屋を訪れて――。フランスパンがカリカリに戻ろうとする物語>
主人公のフランスパンの姿が目に浮かびますよね。キャラクターがしっかりしているので、作者の都合でストーリーを動かしている印象は全くなく、フランスパンの意志でストーリーが進んでいる感じがしますよね。
前述しましたが、Aさん自身も<キャラクターから考えていくと、「あれ!? 意外とスラスラ書けるな」というのが実感できました>と感想を言ってくれました。
新井は最後、皆さんに向けてこんな言葉で締めくくりました。
〇新井:どうでしたか?ストーリーから考えていたときより、作りやすくなったんじゃないかなと思います。
皆さんに覚えておいてほしいのは「ストーリーはパターン。キャラクターは無限」ということ。だからこそ、こういう物語を作りたいなと思ったら、ストーリーを考え出すのではなくて、登場人物のキャラクターから考えてみてください!
――この言葉に「はーい!」という元気な声がZoomの画面から聞こえてきました!
新井がお伝えしたことをもとに、これからもいろいろなキャラクターをたくさん考えて、面白い物語を作っていただければと思います!
* * *
恐らく最初は「ホームスクールで物語を書いて、本当に創作する力が高まるの?」と思われたのではないでしょうか?
でもご覧いただいてどうでしょうか?登場人物のキャラクターを具体的に設定していくだけで、今回ご紹介したAさんのように登場人物が動き出してストーリーが展開していくようになるのです。
このやり方を参考にしていただき、ホームスクールで創作する力をメキメキと高めていってください。そして、ポジティブラーニング推進協会さんのように「団体主催でこういった講座やイベントを実施したい!」という場合は、お気軽にお問い合わせいただければと思います。
▼シナリオ・センター
TEL:03-3407-6936
MAIL:scenario@scenario.co.jp
新井一樹 著書ご紹介
「面白い物語を作る方法をもっと詳しく知りたい!」という方は新井の著書を是非。
・2024年6月19日発売
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▼面白い物語になっているかチェック!『シナリオ・センター式 物語のつくり方』
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① シナリオ作家養成講座
② シナリオ8週間講座
③シナリオ通信講座 基礎科
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