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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

時代が変わっても

金閣炎上のチラシ

ドラマの力

シナリ・センター代表の小林です。毎日見る習慣はなかなかできないのですが、Facebookとかツイッターを読むようにしています。
とはいえ、今でも仕組みがわからなくて、どうして知らない人のブログやツイッターが勝手に入ってくるのだろうかと思いながら、「ま、いいか」と気にせず面白く拝読しています。
PCやスマホを使いこなしたいとは思うのですが、まず仕組みがわからないので、教えてもらったこと以外は何もできず、これではまずいと教室に通ってみても、聞いているそばから忘れてしまう始末なので、全然定着しないのです。
受講生の皆さんに、知識をインプットしたら、それをアウトプットしないと技術にならないと申し上げているのに、この体たらくです。
偉そうに言っているのにお恥ずかしい限り、情けない・・・。

今日Facebookを開けたら、どなたかが、天海祐希さんの主演で大ヒットになったテレビドラマ「女王の教室」のセリフが載せていました。
「日本という国は、そういう特権階級の人たちが、楽しく幸せに暮らせるように、あなたたち凡人が安い給料で働き、高い税金を払うことで成り立っているんです。
そういう特権階級の人たちが、あなたたちに何を望んでいるのか知ってる?
今のままず〜っと愚かでいてくれればいいの。世の中の仕組みや不公平なんかに気づかず、TVやマンガでもぼうっと見て、何も考えず、会社に入ったら、上司の言うことをおとなしく聞いて、戦争が始まったら、真っ先に危険なところに行って戦ってくれればいいの。」(TVドラマ女王の教室より)
このドラマは、2005年の7月期に放映されたもので18年経った今も、このセリフを言いたくなるほど、世の中は変わらない。
いや、あの頃よりひどくなっているかもしれないと、載せた方もそういう想いで載せられたのかなと。
そう、このセリフ、今もいいたい。若い人に伝えたい名セリフです。
脚本家遊川和彦さんはすごい。ドラマの力すごいです。

金閣炎上

昨日、青年座さんの「金閣炎上」を観てきました。(紀伊國屋ホール・5/12~21)
このお話は事実で、1950年に門徒である林養賢が金閣寺に放火したことを題材にしており、三島由紀夫の「金閣寺」も有名ですが、水上勉の「金閣炎上」はまったく違った視点で描いています。
水上さんの戯曲は、普賢菩薩などの六仏ができて、彼らが農民などの様々な役に変わります。
どうしてと思いながら見ていたのですが、「聖俗は表裏一体」という水上さんの仏教思想から出たものだとプログラムに書いてあり、疑問は氷解しました。
水上さん自身、確か京都のお寺で小僧さんになり、苦学の末、作家の道へと進まれたと聞いています。
実際の林養賢が何故金閣寺に放火したのかは、きちんと放火した理由を話さないまま亡くなっているので、彼の心情は推し量るしかありませんが、ご自分の経験から彼の気持ちを感じることができ、それだからこそ六仏を出すことで、林養賢の心情を浮き彫りにしようと思ったのではないのでしょうか。
お芝居を観ていて、こういうとまずいのかもしれませんが、岸田さんや安倍さんを襲った背景と金閣寺を放火した背景は、似て非なるものですが、犯人の心情は似ているような気がしました。
林養賢が、何故金閣寺に火を放ったのかは謎ですが、端的には郷土の古い因習の縛りや堕落した教団仏教に追い詰められていたからだとも言われています。
時代はもちろん違いますが、変わらないのは下層階級、社会から虐げられた人々。
思うようにならない想いを、彼らなりの正義で何かをせずにいられなかった彼らの行動は共通しているように思います。

今更理解でもないのに「LGBT理解増進法」ですら認められないお上がいる日本は、林養賢が放火した1950年となんら変わらない、若者たちの憤りがこれからどんどん溢れ出たとしても仕方がないのではないでしょうか。
大人がちゃんとした大人にならないと、今やどうにもならないところへまできている気がします。
改めて、水上勉さんの「金閣炎上」を読み直してみようかと思いました。

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