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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

想像力

ある方妃の死(劇団青年座)

芽吹き

シナリオ・センター代表の小林です。オミクロン、全国的に増えてきました。
北海道、京都など含め11道府県が蔓延防止重点措置発出になるようです。
東京の感染者9699人、明日は1万人超えるのでしょうか。
正体不明のコロナウイルスに、わけのわからないままの後手後手対策。私たちはどうすれば、何を信じればいいのでしょうね。
ああ、我慢しないで、年末に温泉行けばよかった・・・とついついため息がでちゃいます。

やたらに、個人的な動機もないのに、全く関係のない人に無差別殺傷事件やバスジャックとかなんだかいやな事件がニュースを賑やかして、ニュースを見るだけで心が萎えます。
コロナ禍で、一般の人は、コミュニケーションも取りにくく、仕事もうまくいかなかったり、なくなったりと、ほとんどの方が生活変化を迫られているので、どこかで心が病んでしまうのかもしれませんね。
変わらず上の人の尻馬に乗って居眠りしていればヌクヌクしていられるのは議員さんくらいでしょう?
デルタ株が収まったと思うと、オミクロン株が蔓延し、収まったと思うとまた違う株が出てくる感じで、この無限ループがどこまでも続いたら、人間はどうなっちゃうのでしょう。

壬寅は、芽吹きの年といわれています。ここで、芽吹くものを作らないと、先には進めません。
お上はちゃんとその場しのぎではなく、先のことに目をむけてほしいものです。あ、具体性のない夢物語じゃなくてね。
これを乗り越えには、表現する、自分の想いや考えを表現する、他人に伝えることがいいのではないかと思います。
鬱々しているのではなく、想いを表現しましょう。
楽しいことを考えましょう。つらいことを訴えましょう。なんでもいいのです、一人一人みな違うのですから、自分らしく表現すればいいのです。
きっと表現することで、新たな自分、新たな芽吹きが生まれます。シナリオ、描きましょ。

演劇の力

「なんとか芝居を繋いできた」劇団青年座の森正敏代表の年頭の言葉です。実感だと思います。
戯曲講座や舞台脚本コンクールなどをご協力いただいている劇団青年座の年明け第一弾は、「ある王妃の死」、今日が初日でした。
1月30日まで東京芸術劇場シアターウエストで上演しています。シナリオ・センター事務局でも予約承っています。

内容は、史実に基づいたちょっと固いお話で、日韓を題材にお芝居を作っていらっしゃるシライケイタさんの戯曲です。
130年前、日本の軍隊が朝鮮の王宮の壁を乗り越え王妃を引きずりだして殺害するというおよそ信じがたい事件「閔妃暗殺」を題材にしたものです。
韓国内では知らない人のいないほどの事件ですが、日本人はほとんど知りません。
何故なら事件後に多くの資料が日本側によって焼却されているからだそうです。
この舞台の日清・日露戦争の時代も、第二次世界大戦も然り、現代まで続く都合の悪い文書は破棄するという習わし(?)は、どうやら日本のお家芸らしいです。
史実と虚構の中を行き来する歴史劇は、見るものの想像力がいりますが、これにかかわった人たちは裁判にかけられたりしているのですが、なぜかみんな偉くなっているのです。うーん、どっかで見聞きしたことない?これも日本のお家芸?

日清戦争後、戦争に勝利した日本は、清から遼東半島、台湾などを割譲されます。
遼東半島を獲得した日本に対し、ロシア、フランス、ドイツの三国が返還を迫った三国干渉。
そんなロシア勢力を阻止するために親露派の閔王妃を暗殺したのがこの事件です。
お芝居は、男性が中心で、公使館女性職員に排他的な言葉も吐くなど、策略をめぐらす軍部、日本公使館の男たちの高揚する姿が見事に描かれています。
見ごたえのあるお芝居でした。
歴史は繰り返すといいますが、過去を、歴史を知ることがいかに大切かということもこのお芝居で教えられました。

シライタケシさんのプログラムの言葉です。
「歴史上の人物たちは、記録上の人物では決してない。(略)
彼らの思考や感情を知ることは常に、絶望的に不可能である。資料がいくら充実していても不可能である。
つまり、歴史を扱った作品のすべては例外なく、作者の想像の産物であると言っていい。
今作も130年前の景色に目を凝らし、その時代を生きた人物の声に耳を澄まし、ただひたすら彼らを理解しようとした作者の誠心誠意の想像力の産物である。
そして、この想像するという行為こそが、人間の人間たる所以であると思うのだ。
想像力こそが、すべての困難の突破口である。日韓関係とて例外ではない。
僕の想像力が、青年座の稽古場の想像力に繋がり、客席の想像力に繋がる。
それはいつか、何かを変える大きな力になると信じている。
それこそが演劇の力であると信じている」(抜粋)
芝居を、ドラマを創るということは、こういうことです。

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