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記者・編集者時代を経て脚本を書く
第34回フジテレビヤングシナリオ大賞

記者・編集者時代を経て脚本を/第34回フジテレビヤングシナリオ大賞

一番左が井本智恵子さん (元作家集団)、左から三番目が本山航大さん(通信研修科)

記者・編集者として活動した経験やそのときの想いを創作に活かす

第34回フジテレビヤングシナリオ大賞。応募総数1535篇(前回1978篇)。最年少応募者16歳(前回15歳)。最年長応募者70歳(前回72歳)。大賞1篇 佳作3篇を選出。

2022年11月に開催された受賞会見では冒頭、審査委員長を務めた中野利幸さん(フジテレビ ドラマ映画制作部部長職)が挨拶。

「現在放送中の木曜劇場『silent』の脚本を手掛けている生方美久さんは昨年の大賞受賞者。『silent』は生方さんひとりで書いているということもあって、今すごく注目を浴びています。そういうこともあり、今回のヤングシナリオ大賞は特に注目度が高まっていると思っております。(この会場に)ムービーカメラも入っていますし(笑)。今年、特に意識したのは、フジテレビらしい、キラキラしたドラマを選出したい、ということ。キラキラしたものを選びたいなと思って選出したのが今回の大賞・佳作受賞作品です。受賞者の皆さんが即戦力として、若手のプロデューサーたちと一緒に成長していってもらえたらいいなと思っております」と述べました。

受賞者4名のうち2名がシナリオ・センター在籍生&出身生。通信研修科の本山航大さんが『夜が明けても』で、元作家集団の井本智恵子さんが『ラストチャンス』で、佳作を受賞されました。

本山さんは元新聞記者、井本さんは元編集者。受賞会見ではおふたりとも、記者時代・編集者時代の経験やそのときに感じたことなどを振り返りながらコメントされていました。今回はその模様をご紹介。

現役の新聞記者や編集者、もしくはご経験者で、創作に興味をおもちの方は特に参考にしてください。

佳作『夜が明けても』本山航大さん
「自分が書いた文章を、自分の名前で世の中に出せるように」

=あらすじ=
性的接触に嫌悪感を持つ片桐緂(25)と小野遥(24)は「アセクシュアル(無性愛者)」。片桐にも、遥にも、それぞれ恋人がいるものの、相手の要求に応えられず別れることに。そんな二人が出会い、お互い体を求めない、求められない関係性に居心地の良さを感じ始める――。

【選考理由】
時代を感じさせる新しい恋愛作品。審査員の中でも大賞候補に挙げる人も多かった。「今」を感じるテーマを上手く恋愛ドラマに仕立てた、作者の力量を感じた。

――受賞の感想

〇本山さん:この作品は、アセクシュアルという恋愛欲や性欲がない人たちを中心に描いた話です。ラブストーリーの型にあてはめたところもあって、そういう意味では罪悪感を覚えながら書いた部分もありました。

ただ、恋愛をしないからといってアセクシュアルの方々が孤独に生きなければいけないわけではないはずです。今は「幸せ=結婚」という世の中ではないので時代に逆行するようですが、恋愛感情がなくても、ただこの人と一緒にいたい、と思える人と出会えたなら、誰かと生きるという選択肢を増やしてもいいんじゃないか、という疑問から作りあげたような作品でした。

また、地元の佐賀新聞社で記者をしていたとき、当時の上司から教えていただいた「疑問と好奇心をもて」という言葉が、今回の作品づくりの根幹になっているなと思います。

記者時代は、自分の名前ではなく、新聞社の名前に頼って世の中に文章を出しているという感覚があり、それがすごいコンプレックスでした。自分の名前で世の中にちゃんと(文章を)出せるようになりたいと思って、4年かかってやっと今回の受賞となりました。

――今後、目指すところ

〇本山さん:新聞記者をしていたときと同じように、なかなかスポットが当たらない方々に光を当てるような作品を書いていけたらなと思っています。スケールの大きな話ではなく、小さい話を書きたいです。

2年前にこのヤングシナリオ大賞で二次選考まで通過して落ちたんですけど、その後、向田邦子さんの本と出会い、真摯に人を描いて見せていくというところにすごく憧れました。

だから、小さな話だけど「面白い!」と言ってもらえるような、人をしっかりと描く、登場人物の心情を丁寧に描く、そんな書き手になりたいなと思っています。

――いろいろな媒体がある中でテレビドラマのシナリオに興味をもったキッカケ

〇本山さん:テレビドラマのシナリオに絞ったというよりも、シナリオか小説か、みたいな感じで考えました。

シナリオに興味をもったのは、新聞記者をしていたとき、新聞では小説的な文章は求められていないんだな、と感じることがあって。詩的な文章ではなく、簡潔に書くことを求められるところが、シナリオに似ているな、と。そこに親和性を感じた、というのが最初です。あと、テレビドラマや映画を観ることが子どもの頃から好きだったというのもあります。

――これまで、どんなふうにシナリオコンクールに応募してきたのか

〇本山さん:とにかく書いて、シナリオコンクールに応募して、で、自分の中の出来と周りの評価とを比べて「どうなんだろう」と自己分析を繰り返していった感じです。

『ラストチャンス』井本智恵子さん
「より一人でも多くの人に届けるためにはテレビドラマかな、と」

=あらすじ=
独身・彼氏なしの夏見聡子(43)。結婚や出産を諦めて、一人でのんびり生きていこうと思っていた矢先、まさかの妊娠。相手はズルズルと関係を続けていた元彼・佐藤涼介(43)。その日から、産むか、産まないか、の葛藤の日々が始まる――。

【選考理由】
勢いのあるキャラクターやセリフでテンポ感も良く、即戦力として活躍してくれるであろう作者のポテンシャルを感じた。この作品も審査員からの指示が多かった。

――受賞の感想

〇井本さん:7年前の第27回ヤングシナリオ大賞の最終選考に残ったことがあるのですが、その時は落ちてしまって、いま7年ぶりに応募し、昨年の“生方さん効果”で注目されている中で、今回受賞できたことをとても嬉しく思っています。作品のタイトルは『ラストチャンス』ですが、これからは“ワンチャンス”をつかんでいきたいと思っています。

――今後書きたいもの

〇井本さん:現在ライターをしていますが、もともと編集者で、そのときにホストクラブやキャバクラの取材をしていたこともあって、夜の世界のお話も書きたいですし、いろいろなジャンルの楽しいモノ“エンタメ”を書きたいと思っております。

――テレビドラマのシナリオに興味をもったキッカケ

〇井本さん:編集者時代、書籍で一番売れて35万部だったんですね。(それと比べると)テレビドラマってものすごく人に伝わるな、と思いまして。

より一人でも多くの人に届けるためにはどの媒体がいいんだろうと考えたとき、テレビドラマかなと思って勉強し始めたというところがあります。

――これまで、どんなふうにシナリオコンクールに応募してきたのか

〇井本さん:シナリオの勉強の仕方としては、シナリオ・センターに通いました。

コンクールに応募する際は、まず過去の受賞作を全部読んで分析しました。

*     *     *

今回、こちらの記事をお読みいただいた現役の記者・編集者、また、ご経験者の方。本山さんや井本さんのコメントに共感できる部分もあったのではないでしょうか。

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※フジテレビヤングシナリオ大賞に関しては、こちらの記事も併せてご覧ください。

第33回フジテレビヤングシナリオ大賞/趣味から始めるシナリオ

第32回フジテレビヤングシナリオ大賞/受賞の決め手は何か

第31回フジテレビヤングシナリオ大賞/賞をとる作品とは

第30回フジテレビヤングシナリオ大賞/どんな脚本が賞をとるのか

第29回フジテレビヤングシナリオ大賞/審査のポイントと受賞者のシナリオ勉強法

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