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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

知ること

暮らしを彩る日本の伝統『文様』のしきたり(青春新書刊)

シナリオS1グランプリ

シナリオ・センター代表の小林です。映画演劇文化協会のご担当の方がお代わりになられたので、ご挨拶に行ってきました。
映画演劇文化協会さんは、1977年から、もう46年にもわたってシナリオS1グランプリに助成金を出して下さっています。
当初は、シナリオS1グランプリという名称ではなく「シナリオ募ります」という至極単純明快なタイトルでしたが。(笑)
この当時、小説家赤川次郎さんも賞をとられて、小説家志望の赤川さんは小説家でデビューされたのも懐かしいお話です。
いくつかの変遷を経て、S1になって42回目を迎えます。
S1受賞者からプロになられた方も多く、今放映中の「しずかちゃんとパパ」(BSプレミアム・日曜22:00)の脚本家蛭田直美さんもシナリオS1グランプリの受賞者のおひとりです。

第42回シナリオS1グランプリは審査中で、6月に授賞式が行われます。
このコンクールは、大手テレビ局や映画会社などのコンクールとはちょっと違って、映像化も明文化していませんし、賞金も少ない。
「なんだ、ちっともいいところがないコンクールじゃん」(笑)のように見えますが、このコンクールに通った方は、プロとしても描ける力があるというお墨付きをもらったも同様なのです。
何故なら、センターの講師が総力をあげて審査し、きちんと隅から隅まで読んで、映像になるか、キャラクターができているか、構成は面白いかなど等、徹底的に見ていくからです。
きちんと基本ができていること、それがプロとして長続きするかどうかの大きなポイントですから。S1受賞者の方は、胸を張って次へとチャレンジしていってください。
映画演劇文化協会さんからは、ずーっとお力添えしてくださると、嬉しいお言葉もいただきましたし、頑張りましょう、プロへの一歩を。

文様のしきたり

出身ライターの藤依里子さんが素敵な本を書かれました。
「暮らしを彩る日本の伝統『文様』のしきたり」(青春新書刊)
文様というのは、暦と関わっていて節気と日本の文様は大いに関わりがあるのだそうです。
この本では、文様を通して、行事や言い伝え、しきたりなどを教えてくれます。
文様というと、すぐに思い浮かぶのは家紋ですね。
小林家の家紋は、「丸に九枚笹」です。紋付などに使いますから、知らないと恥をかいてしまうので、結婚したての時に覚えました。(笑)
実家の新井家は、赤穂浪士で有名な浅野家と同じ家紋「丸に違い鷹の羽紋」です。
手ぬぐいや焼き物、着物などに良く使われる、青海波とか市松模様などは誰もがご存じだとは思います。これも文様です。

藤さんは、文様についてのご本をたくさん出されています。
読ませていただくたびに、何も知らない自分が恥ずかしく思い、これから日本の伝統をどう繋げていけばいいのか思いを巡らすことが多くなりました。
例えば、よく見かけたことがあると思いますが、麻の葉文。
私が子供を産んだときに義母から麻の葉のおむつをいただきました。
その時は何と古臭いと思ったものでしたが、それはとても恥ずかしい、ものを知らない教養のなさを露見した若気の至りでした。
文様には、必ず意味がありご利益が込められているのです。
麻の葉は神事に持ち入れられる神聖な植物とされ、数カ月で数メートルの高さに成長する、その成長の早さにあやかって、江戸時代の頃から麻の葉文の布で産着を作り、背守りとして麻の葉を刺繍し「魔除け」としたという風習があったのです。
災難除け、魔よけとして、すくすく成長しますようにという願いが込められているのだそうです。

どんな文様にもご利益があり、縁起物として使われることが多いです。
筆者の藤さんは「身近に感じていただくために、各々の文様のご利益を書いていますが、その文様に身をつけたから願いが叶う、ご利益がえられるものではありません。
その願いに対して、文様は自分を磨く努力をする後押しをしてくれるものだと思うことが大切です」と。
その通りですね。願い事は落ちてくるのを待っているものではありませんものね。
実用書ではありますが、筆者藤さんの想い、考えがきちんと述べられていて、安心して読むことができます。

また、この本には、ご利益のある神社として、稲穂の文様がある王子稲荷神社や、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の北条家の鱗文の銭洗い弁天なども紹介されています。
文様から、神社仏閣について、歴史探訪、歌舞伎、漆や染色などひとつのことからさまざまなものへと興味が広がっていくかと思います。
連想ゲームのように広げていくとアンテナをどんどん張り巡らすことができます。
創作する者は、多くのことをまず浅く広く、それから深く重く、自分の中へと落とし込んでいくことが大事ではないかと思います。
神社仏閣めぐりが大好きな私ですが、社文、寺文のことはまったく興味をもっていませんでした。
これからはその文様も見ていくことで、楽しみが広がりそうでワクワクします。

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