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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

もっともな話

日経新聞6/5

赤川次郎さん

シナリオ・センター代表の小林です。今日の東京は一言いうと暑い!です。
今週はこの調子らしく、熱中症に気をつけての報もあり、オリンピックを開催するとすれば7月・8月の暑さに熱中症とコロナで病院はどうなるのか、これ以上の医療崩壊は起きないのか、はなはだ疑問です。

出身作家の赤川次郎さんが朝日新聞の声欄に「五輪中止を決断する道しかない」「感染拡大が進む中、開催するとんでもない国になろうとしている」と書かれて、まさにその通りと思いました。
分科会の尾身会長が「こうした状況で開催するのは普通ではない」とおっしゃって、医療関係者は諸手を挙げて賛同しているに、政府の思うような発言ではないからか、田村厚労相は「自主的研究の発表」と平気で言ってしまう。この神経が理解できません。
確か専門家として政府が起用されたのですよね。
今や、戦争につき進んだ時と同じ状態です。
オリンピックへひたすら突き進む、もう誰も止めることができないとしたら、私たちは、こうしたことの一つ一つをきちんと目に耳にとどめておきましょう。
誰が何を言い、誰がどんなことをしたのかを。
過去を、経験を、反省を踏まえない前進は、まともな道には進まないことを知りながら、今また繰り返しているのですから。
なにかあっても、同じようにお上は誰一人責任をとらないでしょう。
そして、疲弊しながらも何とかくいとめようと戦うのは医療現場の最前線の方々です。
よくインパール作戦のようだと言われていますが、ほとんどの兵隊さんが戦死ではなく餓死で亡くなられたように、コロナだけでなく他の病気になっても、病院にもいけないまま、救急車でたらいまわしにされ、治療してもらうこともできないまま、死ななければならないのは下々です。
もし一人でもそういう方がでたら(もうでているけれど)、どなたがどう詫びてもすむ話ではない、取り返しはつかないのだということを、お上には肝に命じて結論を出して欲しいものです。

脚本家の時代

日経新聞のプラス1の日経生活モニター「何でもランキング」で、5日の土曜日に「家族ドラマ、名作プレイバック」ともう一度見たい家族ドラマがとりあげられました。
私も入れていただいたのですが、大学教授の方からコラムニスト、社会学者の方など多彩なメンバー15名の方々で選ばせていただきました。
私は、最近の作品も選んだのですが、出身ライター森下佳子さんの「義母と娘のブルース」が選ばれたくらいで、多くは1970年代、80年代のドラマが多かったです。「最後から二番目の恋」も入れて欲しかったなぁ。

1位 岸辺のアルバム(山田太一・1977年)※
2位 北の国から(倉本聰・1981年)
3位 寺内貫太郎一家(向田邦子・1974年)
4位 義母と娘のブルース(森下佳子・2018年)※
5位 あまちゃん(宮藤官九郎・2013年)※
6位 阿修羅のごとく(向田邦子・1979年)※
7位 金曜日の妻たちへ(鎌田敏夫・1983年)※
8位 時間ですよ(橋田寿賀子・小松君郎・向田邦子他・1970年)※
9位 最高の離婚(坂元裕二・2013年)※
10位 渡る世間は鬼ばかり(橋田壽賀子・1990年)

いい作品ばかりで10位まで選ぶのは至難の業でしたが、選ばれたものは、むべなるかなと思う作品ばかりです。(※は私も選ばせていただいた作品です。)

70年代・80年代はたしかにホームドラ全盛期でありました。
ですが、私が気がついたのは、この作品たちが生まれたのは脚本家の時代とよばれていた時代だということです。(放送界で言われていたその時の主流の時代を指します)
選ばれた作品も、錚々たる脚本家の作品ばかりです。
多くの力ある脚本家の方々がしのぎを削っていた時代でした。
ドラマ制作の中でちゃんと脚本家が力を示すことができた、脚本なくてはドラマはできないこと、いい脚本がドラマを面白くするすべてだということを制作するすべての方々がわかってくださっていた時代だったのです。
その後プロデューサーの時代、ヒットするドラマはなにかを主体に考え、原作モノが増えました。
今はちょっとまた変わってきている気もしますが、その次がプロダクションの時代、ようは役者さんありきで、人気のある俳優、歌手、芸人さんを配役すればヒットすると考えて作られてきました。
社会が変われば、主体になるものが変わらざるを得なくなることは当たり前のことですが、やはり脚本家を養成する学校としては、悔しい気はしていました。
それでも、センター出身の脚本家の方々はもちろんのこと、脚本家の皆さんは時代に流されることなくいいドラマをたくさん作ってきました。
この地道な努力が報われてきたのか、最近のドラマを見ていると、なんだか脚本家の時代へ戻ってきたようなドラマが増えてきた気がします。
まだまだ原作もの(小説や漫画)は多いですが、脚色も実は、脚本家の切り口で原作とはまた一味違った面白さがシナリオで描くことができ、オリジナルに匹敵するのです。

70・80年代のドラマをご覧になられたことがない方は、是非ともご覧になってみて下さい。脚本の妙をつぶさに感じることができます。
2000年代、ランクに入られている森下佳子さん、宮藤官九郎さん、坂元裕二さんが活躍されていらっしゃる理由もわかります。
「ドラマはシナリオありき」です。

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