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小説を一人称で書くときⅡ

「シナリオのテクニック・手法を身につけると小説だって書ける!」というおいしい話を、脚本家・作家であるシナリオ・センター講師柏田道夫の『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(「月刊シナリオ教室」)から紹介。
今回は9月16日にブログに掲載した「小説を一人称で書くときⅠ」に続く第2弾。私・僕・俺といった一人称は、その人物に作者が入り込んで書きやすいというメリットがある反面、その人だけの動きや周辺しか描けないというデメリットもあります。そんなときはどうしたらいいか、解説いたします。

一人称手法は、いわばPOV方式

小説を書く際に重要となる「視点」、まずは一人称で書く場合のポイントを述べています。

シナリオは三人称多視点で書かれますが、実際にカメラが情景や、主人公をはじめとする人物たちをとらえていきますので、いわば神的視点ともいえます。時にカメラが誰かの目線になって見えるものを映すこともありますが。

ところでPOV(Point of View)方式と呼ばれるドキュメンタリータッチを狙う映画があります。「視点ショット」「主観ショット」と訳されますが、物語の中で登場人物が駆使するビデオの映像だけで展開する見せ方。

1999年製作でヒットした『ブレアウィッチ・プロジェクト』からで、スペイン映画の『REC.』シリーズや、やはりホラーの『パラノーマル・アクティビティ』シリーズなど。ビデオカメラの映し手が変わると、視点者も変わるわけですが、一人称で小説を書こうとする場合は、いわばこのPOV方式(それもカメラを持つのは主人公、語り手のみ)で書いていくことと考えていいでしょう。

語り手(私)の視点がカメラですから、私がいない場面は書けないことになりますし、私が見たものしか描写できません。

ただし映像の場合は見えるものや音とかはそのまま表現できますが、文章では匂い(嗅覚)や肌感覚(触覚)、味覚、さらには感情や思ったことなども文章化できますが。

ともあれ私、僕、俺といった一人称は、その人物に作者が入り込んで書きやすいというメリットがある反面、その人だけの動き、周辺しか描けないというデメリットもあって、実は難しいと認識しましょう。POV方式のみで運ぶのが非常に難しいように。

小説のイロハを学ぶのに恰好の教材『地球から来た男』

プロ作家の作品を引いてみます。

星新一のショートショート『地球から来た男』。ちなみに星さんが書かれたたくさんのショートショートは、小説のイロハを学ぶのに恰好の教材です。視点別による描き方だけでなく、設定の説明や描写、物語をおもしろく運ぶための構成、手法などなど。

気がつくと、おれは野原に横たわっていた。砂漠でなく草がはえているだけ、まだましかもしれないと思った。いや、こうして呼吸していられることに、第一に感謝すべきだろう。

からだを起こし、あたりを見まわす。小さな丘が並んで、まわりを取りかこんでいる。おれのいるのは、くぼ地というべき場所だった。どこにも人影はない。

という書き出し。タイトルのように一人称であるおれが、地球ではないどこか他の惑星で目覚めるところから始まります。そんなところに来てしまったおれの感慨が続き、一行空いておれ自身の簡単な紹介になります。

おれは小さな調査会社につとめていた。商品についての消費者の感想とか、新製品の購買層とか、地区別の好みの差異とか、経営状態とか、さまざまな依頼を引き受けて調査するのが仕事だった。

ある日、上役に呼ばれた。

「出張してくれないか」

「いいですよ」

この上役の命令から、某研究所に忍び込んで産業スパイをするはめになり、拘束され、その研究所が開発したテレポーテーション装置で、地球以外の惑星に追放されたことが書かれています。

さて、その惑星はどんなところで、おれはどうするのか? 興味のある方は読んで下さい。

出典:柏田道夫 著『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(月刊シナリオ教室2014年11月号)より

★こちらのコーナー、次回は10月の第4土曜日に更新いたします。ぜひご覧ください★

※シナリオ・センターの書籍についてはこちらからご覧ください。 

※ブログ「小説を一人称で書くときⅠ」はこちらからご覧ください。 

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