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小説書くとき 最低限 知っておくべき 一人称の書き方Ⅰ

「シナリオのテクニック・手法を身につけると小説だって書ける!」というおいしい話を、脚本家・作家であるシナリオ・センター講師柏田道夫の『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(「月刊シナリオ教室」)から紹介。
例えば、「小説書いてみたけど下手だな……」と落ち込んでいるかた。勢いのまま書いて、人称がごちゃまぜになっていませんか?「人称って何?」というかたも、今回ご紹介する小説を一人称で書くときのやり方や注意事項を参考にしてください。これは小説を書くとき、最低限知っておくべきことです。

一人称の“私”で書くと決めたら、その視点で通すのが原則

シナリオは三人称多視点ですが、小説はまず一人称か三人称で書くかの選択を作者がします。(実験小説などで“あなたは”“君が”といった二人称もあるがこれは例外とします)

まずは一人称表現について。

例えば、初心者の方が書いたもので、

【私は朝からとても不機嫌だった。天気もずっと雨で私の気持ちを晴れやかにしてくれない。そんな加世を眺めていた小野田も、ここのところずっと仕事がうまくいかずにいらついていた。加世が小野田に当たり散らしたので、彼の心はいっそうブルーからレッドに変わり、持っていた茶碗を投げつけた。私もイライラを爆発させ、包丁を投げ返した。男の胸に深々と刺さった。】

こんな文章が本当にあります。

あえて一人称と三人称もゴチャゴチャに、視点混在で書いてみたのですが、こうした書き方がされると、読者は???で小説に入っていけません。

一人称の“私”で書くと決めたら、まずはその視点で通すのが原則です。

途中から視点者を変える場合は、章を変えたり、センテンスの行を空けるなどして、視点者や人称が変わったことを読者に分からせるのが原則です。

ともあれ、“私”や“僕”“オレ”といった一人称は、書きやすい反面、難しさもあります。

“私”の行動、見たものや心理を書いていけばいいので、読者も感情移入しやすいというのがメリット。

反面、私以外の人物なりの感情や、見ている情景などを伝える方法を工夫しなくていけなくなります。

一人称で書くなら、その視点者の情報をどう伝えるかを考える

また、一人称の場合、その視点者の情報なりをどう伝えていくか、ということも考えなくてはいけません。

前回例とした表現、

【私は18歳の女の子。名前は日野真美、高校の卒業式を終えるなり、夕べの夜行バスで九州からやってきた。 私はあまりの人の多さに、大きな目をくりくりとさせて、あんぐりと口を開けた。】

は、おかしいと指摘しました。

“私”の紹介としての年齢や名前、夜行バスで九州から来たことなどは問題ありませんが、次の“あまりの人の多さに、大きな目をくりくりとさせて、あんぐりと口を開けた。”は、私には自分の顔や表情は見えませんのでおかしいのです。

一人称で書く初心者には、こうしたちょっとした描写のミスはひんぱんに見られます。

他にも多いのは“私はひどく動揺し、真っ青だった。”といった表現。

例えばこういう場合は、“私はひどく動揺していて、鏡に映る顔は真っ青だった。”とか、“私は動揺した。きっと真っ青な顔をしているに違いない。”というように書かなくてはいけないわけです。

上記も“あまりの人の多さに驚いた。私は人から目も口も大きいと言われるけど、その目は見開かれくりくりと回り、口はあんぐりと大きさが増していただろう。”というような。

私以外の人物の心理などを描く場合も同様です。

私である真美の横に、一緒に上京してきた岡崎ミドリがいたとして、“隣に立つミドリもバクバクと高鳴る心臓を抑えていた。”と書くのは視点混在となります。

“ミドリも同じに違いない。胸に手を当てているのは、高鳴る心臓を抑えようとしているのだ。”とか、“私は隣に立つミドリの手をとった。ミドリの心臓の高鳴りが私にも伝わってきた。”といった表現ならば、私の一人称視点が通されていることになります。

出典:柏田道夫 著『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(月刊シナリオ教室2014年10月号)より

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