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審査員が推したくなる作品を書く!
第54回創作ラジオドラマ大賞にみる

審査員が推したくなる作品を書く!/第54回創作ラジオドラマ大賞

日本放送作家協会・NHK 共催「第54回創作ラジオドラマ大賞」

応募総数315作品(前回280作品)の中から大賞1作品、佳作1作品、奨励賞2作品が決定。

なんと受賞者は全員シナリオ・センター出身生・在籍生の方でした!
おめでとうございます!

☆大賞
『キラキラ。』松平節さん

☆佳作
『階段』津田純子さん

☆奨励賞
『明かりの下でファッションショウを』宮崎和彦さん
『新しい光』池﨑彩子さん

先日開催された授賞式の審査員講評で、最終選考を担当された脚本家・吉村ゆうさんが「佳作・奨励賞の3作品はそれぞれ強く“推す”審査員の方がいました」と仰っていました。
審査員が推したくなる作品が賞を取る、ということがこの講評から分かりますよね。

では推したくなる作品とはどのようなものなのか。こちらの記事では、審査員講評詳細のほか、受賞作品のあらすじ、そして受賞者スピーチもご紹介いたします。

次回の創作ラジオドラマ大賞に応募される方、また、その他シナリオコンクールで賞を取りたい方も是非参考にしてください。【広報:齋藤】

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審査員講評/次回応募される際の注意点も

*

授賞式では最終選考を担当された脚本家・吉村ゆうさんが講評を述べられました。

〇吉村さん: 今回はすごくレベルが高くて、審査員の皆さんとも「本当にいい作品が集まったね」「毎年こういうバラエティに富んだ作品が集まるといいよね」と話しておりました。最終審査では、佳作と奨励賞は本当に拮抗しました。

応募作品で少し気になったのは、川端康成の『雪国』が引用された作品があったこと。著作権の関係でラジオドラマ化して放送することがなかなか難しいということで、そこがネックとなり、賞に届きませんでした。ですので、次回応募される方はこういった点に気をつけていただければと思います。

佳作を受賞された津田純子さんの『階段』、奨励賞を受賞された宮崎和彦さんの『明かりの下でファッションショウを』、同じく奨励賞受賞 池﨑彩子さんの『新しい光』はそれぞれ、「この作品のこの部分を推したい!」と強く“推す”審査員の方がいました。自分の作品を推してくれる人が一人いるだけで、書く励みになるのではないかなと思います。

特に『階段』。最初の審査投票ではそれほど票は集まらなかったのですが、ものすごく推された方がいまして、この作品の魅力を熱弁されました。すると他の審査員の皆さんも「なるほど!そういう捉え方・考え方もあったのか!」と、それこそ階段を上がるように、佳作まで上がっていきました。

大賞を受賞された松平節さんの『キラキラ。』は、審査員の中で一人だけ「タイトルが……」という意見があったのですが、とはいえ、審査員一同、それぞれが気に入った“展開”があり、大賞に選出されました。

僕はテレビドラマでデビューして、その3年後ぐらいにNHKのラジオドラマを描かせていただきました。
でも、どう音声表現したらいいのか、書き方が本当に分かりませんでした。
初稿を書いたとき、ディレクターに言われたのが「これはラジオドラマとは呼ばない」と。

当時はテレビドラマを書く感覚では書けなくて、「ラジオドラマだからこうしなきゃいけない」という想いにとらわれていたように思いますが、いま思えば、そうじゃなかったんだなと。別に「ラジオドラマだからこうしなきゃいけない」という書き方はないかなと。

ただ、ラジオドラマは音声表現なので、その点は少し工夫が必要。
次回応募される方は、「その工夫をどうするか」ということを少し考えていただければと思っています。

受賞作のあらすじ&受賞スピーチ

☆大賞『キラキラ。』松平節さん

あらすじ
普通でいたい――。中学三年生の伊庭加奈子は、網膜の病で目が見えにくくなっており、高校からは盲学校をすすめられるほどだった。しかし受け入れられてはおらずにいる。母・ひろみ、同級生で起立性調節障害を患っているけいこ、そして学校の担任・広田先生。それぞれの思いや観点が交差する中、競泳スクールの小柳コーチの助言もあり、半信半疑ながら加奈子は彼女なりに前へ進む決心をする。中高生のキラキラはあるのか、ないのか。いつかキラキラをつかみたくて。最後まで全力を尽くして、その燃焼感からくるキラキラをつかみたい。こわいけれど、泳いでいる水の中で私は自由だ、と加奈子は思った。そんな、とある夏の出来事。

〇松平さん:この作品は私の実感と少しの実体験をもとに書いた作品です。

わたくしには子どもが3人おります。そのうちの1人が、中学に入ってからすぐに体調を崩しまして、3年間具合が悪い中、学校に通いました。

この作品では、「目が見えにくくなっていく加奈子ちゃん」を主人公に描いております。うちの子は目のことではないのですが、誰しも生きていれば、思いがけない逆境に立たされることがあります。そのとき、本人はどう向き合うのか。周りはどう寄り添っていくのか。今回はこれをテーマに書きました。

特に、目の前の誰かが逆境に陥ったときにどう寄り添えるか。普段、つい流してしまいがちなプロセスや瞬間、心の小さな動き、背景。こうした肌感覚のスピードや温度感、表現が、人と共生していくという意味でより大きなことになっている気がします。

今後も「明日も頑張ろうかな」「今週も頑張ってみようかな」と思えるような、少し目線がスーと上がるような作品を作っていきたいと思っております。これからだ、と思っておりますので、このご縁を大事に、今後とも宜しくお願いいたします。

☆佳作『階段』津田純子さん

あらすじ
五郎(70)は目と足を患い、旋盤工の職を失う。さらに、住み慣れた古い団地の退去期限も迫り、気の重い毎日を送っている。そんなとき、未来(7)という妙に大人びた少女に出会う。寂しい家庭環境にも関わらず、笑顔を絶やさない未来が愛おしくなってくる五郎。同時に色褪せた日常に心地よい風が流れ始める。しかし、別れはやってきた。団地の階段下で未来は10年後にここであおうと約束するが、五郎は10年後にはこの団地は建て替えられているし、自分の目も足もダメになってしまっているかもしれないと弱音を吐く。すると未来は、「アホンダラ!」と一括。約束の日はずっと先だけど、今日を生きる力になる!と明言を残す。その言葉に五郎は、病んでいる左目を塞ぎ、まだ見えている右目に人生の光を見つけ、自分の足にも「頑張れ!」と声をかける。そして叫ぶのだった。「待ってるからね、階段で!」。

〇津田さん:受賞のお電話をいただいたときに、コンクール詐欺かなと思いまして。
いまシナリオ・センターの作家集団に在籍しているのですが、そのメンバーが「ロマンス詐欺とかあるから気をつけてね」と。そうしましたら、このお電話は本当だったということで、作家集団の大前先生から「そういう“入り方”は津田さんらしいね」と(笑)。

友人・知人・シナリオの仲間、さらには犬仲間からもお祝いの言葉をもらい、久々に舞い上がってしまいました。「おめでとう」なんていう言葉は本当に何十年ぶりで、それがひたすら嬉しくてありがたいと思っています。

ちなみに、タイトルの『階段』について。『ばけばけ』が記憶に新しい今、「かいだん」と聞くと「怪談」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、単純に、古い団地の「階段」のことです。おじいちゃんと小さい子のお話を書きました。

シナリオを学び始めた頃は、描くことが楽しくて、楽しくて、作り出すキャラが勝手に動いてセリフを次々と言い出すほどでした。でも近頃は「創作」意欲がすっかり萎えてしまって、そろそろかな……なんて気弱な気持ちになっていました。

ところが、なんと!この受賞です。選んでいただいて本当にありがとうございました。

☆奨励賞『明かりの下でファッションショウを』宮崎和彦さん

あらすじ
昭和20年春、東京都立川市。背は人より高いが、学徒勤労では役立たずで怒られてばかりいる女学生・中野時子(16)は勤労からの帰り道にイブニングドレスを拾う。しかしご時世的に許されない洋服であったため、時子は夜こっそりと自室で来て1人で楽しんでいたが、そこに空襲警報が鳴り響く。慌てた時子は着の身着のまま家を飛び出し、母親と近所の目を避けて町外れの防空壕に飛び込むが、そこには栗原ハナ(16)が1人でいた。ドレス姿を見られ、万事休すの時子だが、ハナはまた空襲警報が鳴ったらここに来てほしいと言う。それから2人は警報が鳴るたびに防空壕に集まり、ハナが持参した洋服で秘密のファッションショウを重ねる。そのうち時子はマネキンガールに、ハナはデザイナーになることを夢見るようになるが、戦火が2人を引き裂いていく。時代と大人たちに翻弄されながらも、夢とおしゃれを諦めなかった少女たちの希望の物語。

〇宮崎さん:私もお電話をいただいたときに「これは詐欺かな?」と思って(笑)。最近のスマホは留守電の音声が文字になるので、それを見て「あ!マジか!」と。慌てて掛け直しました。

この作品は、「戦火でのファッションショー」というイメージから始まり、「厳しい統制下でできる場所は?防空壕か?でも光がないところでは撮影はできない。できたとしても華やかに魅せられな……ラジオドラマならいける!」という流れで書くことができた物語です。

「防空壕の中でファッションショーをしよう。でも主人公の女学生を働かせないといけないな」と考えていたときに、うちの近くに「立飛」(たちひ:かつて存在した航空機メーカー「立川飛行機」の略称)があることを思い出しまして、ここに昔は飛行場があったので、そういったことも調査して書きました。

かなり短いスパンでしたが、とんとん拍子にバッと書くことができて、「自分も力がついているのかな」とちょっと嬉しく思っております。

「ラジオ」で言うと、私は“ハガキ職人”をずっとやっております。ハガキ職人として心を救われた恩返し、という想いも込めて、これからもラジオだからできる、ラジオでしかできない物語を書いていければと思っております。

☆奨励賞『新しい光』池﨑彩子さん

あらすじ
九州のとある児童相談所の一時保護所。そこで働く木下咲希(24)は、人材不足のため忙しさに追われ、子どもと向き合えない現実に悩んでいた。そんなある日、反抗的な被虐待児・白川乃愛(16)が入所してくる。ある夜、自傷行為をしようとしたところを咲希に見とがめられた乃愛は、保護所を飛び出す。追いかける咲希、真っ暗な道を二人きりで歩き続けることになる。最初は心を閉ざしていた乃愛も、親の虐待や児相職員に対する失望を語り始める。咲希も虐待に苦しむ幼馴染を助けられなかった罪悪感を打ち明ける。だが傷ついた乃愛にどんな言葉をかけたらいいか分からない咲希は、自分の無力さ痛感する。やがて海に辿り着いた二人は、水平線から昇る朝日を目の当たりにする。夜明けの光の中で、咲希は無力な自分でも、ささやかな喜びを分かち合い、ともに歩むことはできるのだと気づく。新しい一日の始まりを前に、二人は静かな希望を見出していく。

〇池﨑さん:前々回の創作ラジオドラマ大賞で、小鳥のインコが主人公の作品を応募し、ファイナリストになりました。贈賞式にお招きいただきまして、その際、審査員の先生方から「インコじゃなくて人間を描いてほしい。もっと人間を大事にしてドラマを描いてほしい」という講評をいただきました。

そこで今回は思い切って、登場人物が2人きりで延々と喋り続けるというチャレンジに挑みました。人間同士をぶつからせ、互いに深く踏み込んだ先に何が見えてくるのか。とことん描いてみようと思いました。人間をしっかり描こうと思い、取材もしました。

いま思うと、セリフが練れていなかった部分もあるし、いろいろ足りないところがいっぱいあると思うのですが、今回「奨励賞」という“励ましの賞”をいただくことができたので、本当に大いに励まされて、これからもずっと書き続けていきたいなと思いました。

最後に、長崎県・諫早市立諫早図書館のシナリオ講座の諸先生方に心から感謝申し上げます。このシナリオ講座がなければ私はたぶん、こうやって受賞もしていないし、ラジオドラマというものを書かなかったんじゃないかなと思います。私にラジオドラマを教えてくださったその講座に感謝いたします

*   *   *

なお、創作ラジオドラマ大賞では、これまでもシナリオ・センター在籍生&出身生の方が受賞されています!
コチラの記事も併せてご覧ください。

第53回創作ラジオドラマ大賞/表現したいことをコンクール応募作で

第52回創作ラジオドラマ大賞/書く事をやめないために

第50回創作ラジオドラマ大賞/物語を書くときの発想パターン

第49回創作ラジオドラマ大賞/賞・佳作一席・二席の受賞者全てがシナリオ・センター出身生

第48回創作ラジオドラマ大賞/ラジオドラマで時代劇

第47回創作ラジオドラマ大賞/書きたいものを書いて賞をとるには

次回、第55回創作ラジオドラマ大賞に応募される方へ

今回ご紹介した内容および注意点を念頭に置きながら、応募作品を書いていただければと思います。

第55回創作ラジオドラマ大賞は、7月30日(木)に応募が開始され(応募サイトオープン)、10月1日(木)正午〆切とのことです。

詳細は日本放送作家協会公式サイトでご確認くださいませ。

また、「この賞に応募したいので、まずはシナリオの書き方を学びたい!」という方は
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過去記事一覧

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