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書きたいもの を書いて賞をとるには/第44回創作テレビドラマ大賞より

脚本コンクールで賞をとりたい脚本家志望者の中には、

「書きたいものを熱量をもって書くことが大切とよくいわれているけど、一次審査も通過しない。何がいけないのだろう?」とお悩みのかたもいらっしゃるのでは?

そのお悩みを解消できるポイントが、先日開催された第44回創作テレビドラマ大賞(主催:日本放送作家協会・NHK/後援:NHKエンタープライズ・放送文化基金)授賞式での審査員のコメントにありました。

それは、
①名作といわれている脚本を沢山読んでいるか。
②書きたいテーマと構成術が組み合わさっているか、かつ、 “よくあるテーマ”になっていないか
③「今こそコレをやるべきだ」という“今性(いませい)”があるか。
――の3点を自分はできているか、を確認すること。

この3点は審査員である脚本家・プロデューサー・ディレクターの方々が特に注目していることです。

そのことがよく分かるコメントを今回はご紹介したいと思います。

加えて、
・第44回創作テレビドラマ大賞・審査経過
・『星とレモンの部屋』で大賞を受賞された8週間講座修了生 佃良太さんのコメント
・『もやすゴミの日』で佳作第一席を受賞された元本科 富安美尋さんのコメント
・授賞式当日、ともに“お祝い“を実施した第47回創作ラジオドラマ大賞(今年3月に贈賞式のみ実施)において、『盆の空に跳ねる』で佳作第四席を受賞された大阪校作家集団 岩中栄美さんのコメント
――も併せてご紹介いたします。

第44回創作テレビドラマ大賞・審査経過

第44回創作テレビドラマ大賞の応募総数は957本(昨年は810本)。その中から大賞1本、佳作2本が決定。

審査経過について日本放送作家協会は、
【今回は募集要項を変更し、「プロの映像ドラマ脚本家として活躍したいかた」という応募資格で募集をかけたところ、昨年度より150本以上多い応募をいただきました。ものすごくいろいろなテーマの作品が集まりまして、審査は「あれがいい」「これがいい」と意見が分かれましたが、最終選考に残った8本の中から、「この言葉は私には書けない」「この感覚は絶対捨てがたい」という講評のもと、特にこの3本の力が強く認められ、今回の受賞が決まりました】と報告しました。

審査員コメント
名作といわれている脚本を沢山読む 脚本家 吉田智子さん

〇吉田さん:創作テレビドラマ大賞の最終審査に参加させていただきました。

佃さんの『星とレモンの部屋』は私の中ではすごく迷った作品で、何回も何回も点を最も直した作品でした。「迷う」というのは、頭とか心に残る・ひっかかるから。だから、こんなにも自分は悩んでいるんだと思いまして、最終的に私はこの作品を1位に選ばせていただきました。

皆さん他のかたの作品も、個性はあったと思います。ただ、私たちの世代よりももっともっと前の名作といわれる脚本が沢山ありますので、そういった作品をもっとご覧になったほうがいいのではないかなとちょっと思いました。基礎をしっかり固めた上で、皆さんの新しい感覚や若い感覚をのせていけば、非常に面白いものになっていくと思います。

書きたいテーマと構成術が組み合わさっているドラマを
NHKエンタープライズ 制作本部 ドラマ番組チーフ・プロデューサー北野拓さん

〇北野さん:今回初めて創作テレビドラマ大賞の三次審査から参加させていただきました。

皆さん色々な作品を書かれていたのですが、書きたいテーマと構成術が組み合わさっているドラマが少なくて、「書きたいものはあるんだけど構成がうまくいっていないもの」と、「構成はうまいんだけどテーマ的にはよくあるもの」みたいなことに結構分かれていたなという印象でした。

今回の受賞者の方々は若いかたが多く、僕自身もまだプロデューサーをやって2年くらいなので、一緒に新しいドラマを作れたらいいなと思っています。

「今こそコレをやるべき」という“今性(いませい)”
脚本家 藤井香織さん

〇藤井さん:創作テレビドラマ大賞の三次審査と、創作ラジオドラマ大賞の最終審査に参加させていただきました。

嬉しかったのは我が班の一押しだった『星とレモンの部屋』が大賞をとったこと。セリフも良かったので、押してよかったなと思います。放送するにあたっては、なにがしか直しがある台本なんじゃないかなとは思ったんですけれども、それはそれで新人が書けるフレッシュなところだと思います。

ラジオの方はすごく難航しまして。というのも、皆さんのアベレージがとすごく高くてですね、どの作品を選ぶのかというときすごく議論になりました。

今回は残念ながら大賞がなく佳作が4作。

その中で佳作第一席となった美濃洋平さんの『ごらん、花々の彩りを』は、ディレクターの吉田浩樹さんが「“今性(いませい)”がある」ということをすごく仰っていました。おそらく、今性があるかどうかを基準に普段からドラマを作られているのではないかなと思います。

今日ご出席されている受賞者やファイナリストの方々は、色々なかたと名刺交換をされると思うんですけど、そのとき「今性のある企画があります!」ということを押していったらいいんじゃないかなと思います。私も、今性をずっと探しています。一緒に頑張りましょう!

※なお、藤井さんはシナリオ・センター出身。2011年に第39回NHK創作ラジオドラマ大賞で佳作を受賞。2012年には第37回NHK創作テレビドラマ大賞で大賞を受賞されています。

受賞者コメント
第44回創作テレビドラマ大賞・大賞受賞『星とレモンの部屋』
8週間講座修了生 佃良太さん 

――受賞のご感想を。
〇佃さん: まず、ほとんどワンシチュエーションで展開する会話劇なので、「大賞」と聞いた時は驚きました。

嬉しいより先に「映像化するのか…」という衝撃が強く、それと同時に、こんなにも映像化が難しそうなシナリオを大賞に選んでいただいた審査員の皆様の「漢気」に感激してしまいました。

どんなにセオリーから離れたシナリオでも、真摯に向き合って書けば肯定してくださる方がいる。この結果は自分の中でとても大きなものになっています。

受賞後に大きく変化した事は今の所ないですが、やはり自分の中で自信にはなっていると思います。

――受賞作『星とレモンの部屋』は、引きこもり歴25年の里中いち子と、マッチングアプリで出会った同じく引きこもりの矢木涼との物語。なぜこの作品を書こうと思ったのですか?

〇佃さん: 元々引きこもりの方々にシンパシーを感じていたので、わりとすんなりと「この題材でいこう」と書き始めました。

心がけた事は、やはり真摯に書こうということです。巧く構成しようとか、気の利いたサプライズをしようとかは考えず、引きこもりの方々の気持ちと、他人に対する自分の思いをなるべく正確に、汚い部分も逃げずに書こうと努力しました。

書いていて思ったのは、やはりどんな主人公も自分のことを投影してしまうなぁということです。書きながら、自分の思っている事や苦しい事を、主人公と一緒に考えるような、そういう風な執筆でした。

――シナリオ・センターでコンクール受賞を目指す生徒さんにメッセージをお願いします。

〇佃さん:メッセージ…どうしよう…あまり言えることがないのですが…

受賞してから多くの方に言われるのは「ここからが大変だよ」ということです。脚本家志望の同志の皆さん、当たり前ですがコンクールでの受賞はゴールではないようです…笑

なので受賞後も僕は、相変わらず次のコンクールシナリオの執筆、企画書の考案に明け暮れています。全然やっていることが変わらなくて、せっかく受賞したのにがっくりくる部分もあります。

ですが1つだけ変わったところを挙げれば、「1人で書く」という時間は少なくなったかなということです。

企画書は多くの人に見てもらえるようになり、シナリオも一定の期待値を持って読んでもらえます。逆に言えば、「1人で書ける」贅沢な修行時間は終わり、外に向けて書かなければならなくなったという事でもあるかもしれません。

なので、メッセージというとおこがましいですが…受賞するまでは、「1人で書ける」贅沢な時間を大切にし、いざ開かれた時に、揺るぎのない矜持で周囲と接することができるように、自分を鍛えておく必要があると(あったと)思いました。

※『星とレモンの部屋』はドラマ化され2021年春にNHK総合で放送予定。

第44回創作テレビドラマ大賞・佳作第一席受賞『もやすゴミの日』
元本科 富安美尋さん

――受賞の報せを聞いていかがでしたか?

〇富安さん:コンクールでの受賞は今回が初めてだったので、やっと人に読んでもらえるレベルになったのかという安心感が一番最初にやってきました。次に、大賞に届かず、映像化までいけない悔しさ。そしてこの後に、やっと喜びが遅れて小走りで来ている様な気持ちです。

受賞前も後も、感覚的にはあまり変わりありません。課題はたくさん残っていますし、より面白いもの、求められているものをいかにオリジナリティと共に具現化できるかは常に考えていなければならないと、改めて思っています。

今回の受賞を自信に変えるには時間がかかるかもしれません…。

――受賞作『もやすゴミの日』は、女子高生の楓と清掃員の但野が、自分たちの怒り・痛みをないがしろにした世界へ、小さな復讐をする物語。なぜこの作品を書こうと思ったのですか?

〇富安さん:思いついたきっかけは、サイゼリアで友達と呑んでいる時でした。

最近、自分には関係ない事に対して人々が怒るのが早すぎること。そしてそのほとんどに悪気はないこと。むしろ正しいと思ってそうしている。そういった事が、なんか怖いよね…という話をしていたのが元になっています。

義憤とか正義とかの危うさや、被害者や加害者本人の気持ち置いてけぼりになる不条理さを描けたらと思って書きました。

とにかく書くことに必死だったので、誰かに読んでもらえるかな、伝わるかな、どうか届いてくれ…という心掛けというよりは祈りに近い感じだったと思います。

――シナリオ・センターでコンクール受賞を目指す生徒さんにメッセージをお願いします

〇富安さん:今回初めて授賞式で、審査員の方々と直接お会いした時、まるでオズの魔法使いに会ったような、集められた作品を読み、審査してくださる方々が本当にいらっしゃるんだなとやっと実感しました。

コンクールに何度も出して落ちると、誰も読んでないんじゃないかと、暗闇に作品を投げ込んでる気分になるかもしれませんが、丁寧に吟味しながら読んでくださる方は実在しますので、挫けず頑張っていただければと思います。

ラジオ受賞者コメント
第47回創作ラジオドラマ大賞 佳作第四席受賞『盆の空に跳ねる』
大阪校作家集団 岩中栄美さん

〇岩中さん: 私が初めてラジオドラマを聴いたのは中学生の頃だったと思います。音から紡がれるドラマの世界、その世界にじわじわと没入していく感覚が今も変わらずとても好きで、ラジオドラマならではの特別な魅力を感じています。今回の受賞により、今後も創作を続けていく希望のようなものを与えていただきました。

今年の5月に佳作第一席の作品が、その4か月後の9月に佳作第二席の作品が放送されました。ですので、その4か月後となる来年1月に第三席の作品を、そのまた4か月後の5月に私の作品を放送していただけると(笑)。

やはり放送されないと作品が最終的に生きないなと思っていまして、すごく悔しい気持ちがありますので、まずは来年5月の放送を目指して頑張り、まだまだこれからも書き続けていきたいと思います。

『月刊シナリオ教室 2020年1月号』に受賞作シナリオ掲載

佃さんは高校生の頃から脚本家を志し、初めてコンクールに出し始めてから9年で今回の受賞に至ったとのことです。

「脚本コンクールに応募するのもうやめようかな…」というかたは諦めずに、今回ご紹介した審査員の方々のコメントを参考にぜひもう一度応募してみてください。

また、『月刊シナリオ教室 2020年1月号』(2019年12月末発行)には、佃さんと富安さんの受賞インタビューと受賞作のシナリオを掲載予定です。そちらも併せてご覧ください。

※第48回創作ラジオドラマ大賞の応募締切は2020年1月10日(金)正午まで。今回から応募は郵送でなく、インターネットを通じた投稿(アップロード)のみ受け付けることになったとのこと。詳細はこちらから。

※前回第43回創作テレビドラマ大賞の模様は、こちらのブログ「脚本家になるには “出し続ける”/第43回創作テレビドラマ大賞にみる」をご覧ください

 

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