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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

時代

俳優座劇場

俳優座劇場

シナリオ・センター代表の小林です。朝出ようとしたら、バケツをひっくり返したような豪雨にびっくりさせられ、夕立のようにさっと上がった合間を見て出社しました。これが線上降水帯なのでしょうか。

私の大好きな錦織選手が、1年8ケ月ぶりの復帰第1戦で、見事なストレート勝ち。嬉しい!!
世界ランキング4位だった彼も今はランキング外。すぐに4位に戻るのは難しいでしょうが、元気な姿でジョコビッチ選手みたいに頑張ってほしいです。

俳優座劇場が2025年4月をもって閉館されるのだそうです。
この劇場で数々の演劇を堪能したことを想い出します。
一番印象に残っているのは、たぶん小学生の時に見たチェーホフの「桜の園」。
子供だったので、内容などわからず観ていたと思うのですが、俳優座の名優東山千栄子さんの気品ある、まさにロシアの没落貴族ラネーフスカヤ婦人の「さようなら」のセリフと、佇む姿は目に焼き付いています。
「桜の園」は俳優座だけでなく、三谷幸喜さんとか様々な形で上演されていますが、60年以上たった今も、東山千栄子さんほどの気品あるラネーフスカヤ婦人は見たことがありません。
仲代達也さんの「ハムレット」も素敵でしたし、「人形の家」「三文オペラ」「幽霊はここにいる」等々。
亡くなった出身ライターの森治美さんの最期の作品も俳優座劇場で上演され、その時、この劇場の片隅で、訃報を知らされ、愕然としたことを想い出します。
私にとっても俳優座劇場は、幼い日、青春の日々を彩ってくれた、たくさんの舞台を観せてくれた大事な場所でした。
演劇の良さは劇場の空間で味わうもの。貴重な劇場が消えていくのは、大事な歴史が消えていくようで残念です。
シナリオ・センター主催舞台脚本コンクール、是非挑戦してください。6月26日(月)19:00説明会があります。

橋本忍

山田洋次監督が、朝日新聞に連載している「夢をつくる」でこんなエピソードが書かれていました。一部を抜粋してみました。
山田洋次監督は、脚本家橋本忍さんの助手をされていたそうです。
「毎朝10時、小田急世田谷代田駅から15分ほどの橋本さん宅へうかがう。「おはようございます」
2階の座敷にあがり、橋本さんと向かい合って座って仕事が始まる。大きな紙に構成の図面を書いて検討する。何日もかけて構成が決まると「箱書き」に移る。
ケント紙に升目を書いて、その升目の一つ一つにシーンの内容とポイントになるセリフを書く。何度も書いては消し、書いては消しを繰り返す。2週間ほどかけて箱書きがだいたい決まると、執筆に移る。
箱のワンシーンを僕が原稿用紙に書いて師(橋本さん)に渡す。師が黙って原稿用紙を突き返すときは、もう一度他のやり方で書いてみろということだから、懸命にまた書く。
師が受け取って「次に進んで」というと、僕は次の箱に挑戦する。師も何度も何度も書き直している。無駄話は一切しない」
「僕は師に『シナリオを描くのはなにか工場で働く労働者の気分です』というと師は『いや、お百姓に近いな』。
毎日畑に出て作物の成長を確かめ、水をやり肥やしを与え雑草を抜きながら実りを待つ。
『辛抱が大事なんだよ。必要なのは才能より忍耐力だよ』。そういえば師の名前は『忍』です。
橋本さんほどの作家がこんなに苦しみ抜いていることも驚きでした」
「洋ちゃんなあ、苦しまずに脚本が書けりゃこんなにいいことはないよ。きっとそのほうがいい脚本になる。しかし、難しいからと言ってやめるのはプロのやることじゃない。
脚本で飯を食っていくならどんなに高い壁も乗り越えなきゃ、そのために技術というものがあるんだ
究極は「シナリオの技術」推して知るべしです。

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