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ミステリー書きたい人“あるある”/ 3行ストーリー大賞2022より

ミステリー書きたい人“あるある”/ 3行ストーリー大賞2022より

第2回目となる「3行ストーリー大賞 2022」。応募総数は540本(前回820本)。今回も発表会をYouTubeでライブ配信しました。

メンバーは、(画像左から)企画・進行役の新井、企画・審査委員長の柏田道夫講師(脚本家・小説家)、審査員の萩原恵礼さん(柏田クラスOG・脚本家・『月刊シナリオ教室』編集部)。柏田講師と萩原さんが特に気になった作品31本を読み上げ、その中から、最優秀賞・柏田道夫賞・はぎわらちゃん賞を決定。

萩原さんは、<今回の募集テーマは「ミステリー」。柏田講師はミステリーのプロですが、私は全くの素人。「こんな奴に審査されたくないよ」って皆さんきっと思われるんじゃないかなと。そう言われることを想定して、そもそもミステリーとは何なのか、ちょっと勉強してきました>ということで、ミステリーの定義やルールをまとめた資料(通称「萩原パワポ」)を何枚も準備してくれました。

また、審査を通して萩原さんが感じた「今回の応募作“あるある”」の資料も公開!

この“あるある”資料は「トップシーン脚本大賞2022 春」のときも作成してくださり、視聴者から「勉強になった!」と大きな反響がありました。

「トップシーン脚本大賞2022 春」の模様はこちらで。

 

このブログでは、受賞3作品の受賞理由の他、萩原パワポ「今回の応募作“あるある”」の一部と、柏田講師の「こういうケースが多かった」というコメントを併せて、広報の齋藤がリポートいたします。

題して、ミステリー書きたい人“あるある”。

今回の応募作を通して、ミステリーを書きたい人がやってしまいがちなこちらの3点、

①こすられすぎている要素(=以前から何度も使われている要素)を使いがち

②傑作・名作に似た作品を書いてしまいがち

③アイデアがふんわりしがち

――をご紹介。「ミステリーを書くとき、どんなことに気をつければいいの?」という方、参考にしてください。

①こすられすぎている要素を使いがち

 

――萩原パワポでは、今回の“あるある”として「こすられすぎている要素」を挙げていました。それがこちら。

・サイコパス(ソシオパス)
・パラレルワールド
・仮想空間(メタバース)
・バーチャル〇〇
・地下アイドル
・覆面YouTuber
・犯人がAI
・小説の内容通りの殺人

〇萩原さん: こういった要素は、テレビドラマでも映画でもアニメでも小説でも、何度も使われてますよね。

〇柏田:あと、「タイムループ」「誰かが亡くなって、何かが遺されて、そこから秘密や謎が明らかになっていく」「失踪した人間が戻ってきて、何かが起こる」というものも多かった。べつに悪くはないし面白いんだけど、これまで沢山使われてきているパターンだから、これまでのものとは違う、なにかプラスアルファをもってこないとね。

〇萩原:以前、パラレルワールドの企画に参加したことがあるんですけど、表を作って、ココとココをあわせてっていう“辻褄合わせ”がものすごい大変だったんですよ。だから、パラレルワールドものにチャレンジするなら、今までにない作品になるよう考えて、なおかつ、辻褄もあわせなきゃいけないので、ちょっと覚悟した方がいいんじゃないかなと思います。

②傑作・名作に似た作品を書いてしまいがち

*

〇柏田講師:ミステリーって難しいのが、トリックや設定で「過去にこういうのあったよ」って言われることが結構あるんですよ。例えば、ミステリーの小説コンクールだと、一次選考とかで審査を担当する“下読み”の人がむちゃくちゃ詳しいから。

「こういう設定の作品は他にもあるけど、この切り口は新しい!」みたいな、そういうところまで描けていれば全然OKなんだけど、そこまでいくのが結構大変なんだよね。

今回の応募作でいうと、ある苗字の人が殺され続けるという作品がありました。これ何か思い出さない?山田悠介さんの小説『リアル鬼ごっこ』。勿論、設定は全然違うんだけど、どうしても思い浮かべちゃう。

それから、きのこが増殖して襲ってくるという作品があったんだけど、真っ先に思い浮かんだのが映画『マタンゴ』。あとね、島田荘司さんの小説『占星術殺人事件』と映画『象牙色のアイドル』のことも思い出した作品がありました。

こんなふうにね、過去に似たような作品が必ずといっていいほどあるんですよ。だから、それを一応調べないと。特に名作・傑作といわれているものと似ているなら、「どうすればそれと違うパターンにもっていけるか」を考える。それプラス、「どうすればその作品を超えられるか」っていうところまで考えることができれば、面白い作品が生まれると思うんだよね。

〇萩原さん:でも、どんな過去作があるのか、どうやって検索すればいいか……。柏田講師みたいにミステリーへの造詣が深ければ「あ!あれに似てる」って検索キーワードがパッと分かると思うんですけど、私みたいにあまり詳しくないものからすると、なかなか過去作調べは難しい。

〇柏田講師:たしかに。最近の言葉で検索しても出てこないしね。例えば「人体 つなぎ合わせ」とかさ(笑)、そういうキーワードで検索してみるとかね。

〇新井:難しいね。そういう意味ではミステリーって敷居が高い感じが作り手としてはあるかもしれないね。

③アイデアがふんわりしがち

*

〇柏田講師:3行ストーリーだし、しかも60~80字以内というルールがあったから難しいとは思うんだけど、応募作には「ある秘密」「ある画像」「見てはならぬもの」みたいな、そういう書き方のものが多かった。「ある秘密って何よ?」ってなっちゃう。ニュアンス的な部分だけでもいいから、具体性を出してほしかった。

〇新井:これは企画を考えるときにやりがちなことかもしれないね。アイデアをぼかしちゃう、みたいなね。

〇萩原さん:アイデアがふんわりしていると、「そこまでは考えてないんだな」って思われちゃうから、企画書を書くときは要注意ですね。

“具体性”の話で言うと、柏田講師から以前お聞きした「三億円事件をモチーフにした小説を書いたら」っていうエピソードを思い出しました。

〇柏田:その作品で賞をいただいたんだけど、週刊誌の記者から電話がかかってきて、細かいこといろいろ聞いてくるのよ。だから「もしかして僕のこと、犯人だと思ってます?三億円事件のとき、中学生で鹿児島にいました」って言ったら「ああそうですか、すいません」って。犯人に間違えられた(笑)。犯行のディテールをいっぱい書いたから、「なんで知ってるんだ?」ってことになって。調べたら出てきたことを書いただけなんだけどね。

〇新井:具体的に書くとそれだけリアルになる。具体性って大事ですね。

受賞3作品の受賞理由

*

――ここまでご紹介してきた“あるある”を見事クリアし、柏田講師と萩原さんが「続きが読みたい!」と絶賛したのがこちらの受賞3作品です。

☆最優秀賞:あきさん『不可逆的密室』
窓もドアも開いている部屋、そこで彼女は殺された。誰にでも犯行可能な状況下。集められた容疑者達は口を揃えてこう言った。「あの部屋は密室だった」と。

〇柏田講師:これだけ本数がある中で、萩原さんと意見が一致しました。「お!これどうなるの?」っていう面白さがある。ミステリー界では「密室トリックはもう出尽くした」といわれているのですが、このトリックがうまく成立したら、“新たな密室もの”ができると思います。頑張って作品にしてください。

☆柏田道夫賞:モガさん『コオロギ100匹』
コオロギが100匹届いた。表伝票にそう書かれている。中にコオロギが?パンドラの箱を手にした気分だ。100匹?僕は誤配送された箱を正しい住所へ届けることにした。

〇柏田講師:こういう変なの好き(笑)。“変さ”が面白い。たぶんね、まだ中を開けて見てないんだよね、主人公の彼は。でもたぶん音はしてると思うんだ、ガサガサガサッとか。この先どうなるの?(笑)。届いた荷物がコオロギ100匹っていう、この“困るシチュエーション”がウケました。

〇萩原さん:おそらくそんなに制作費はかからないと思うので、ご自身でショートフィルムを撮ってみると面白い作品ができるんじゃないかなと思います!

☆はぎわらちゃん賞:ムラカミホタカさん『追う栞』
古本屋で漫画を買った拓実。家のベッドで仰向けで漫画を開くと、顔に一枚の紙が落ちてくる。紙には「今から殺しにイクヨ」と書かれ、GPSチップが貼り付けられていた。

〇萩原さん:古本屋の漫画というアナログ極まりないアイテムに、GPSチップという最新アイテムがくっついているというアイデア。誰にでも起こり得る、突然舞い込む恐怖。この恐ろしい設定の見事さ。タイトルも、映像としても面白い。印象に残りました。

物語にミステリーの要素を入れてみる

――今回の賞品は、「最優秀賞」は図書券5,000円を、「柏田道夫賞」は柏田講師の著書『ミステリーの書き方』(言視舎)を、「はぎわらちゃん賞」は萩原さんの著書『裁判はドラマだ!~シナリオを書きたいあなたのための笑いと感動の裁判傍聴ガイド』(言視舎)を進呈。また各賞の受賞者は、柏田講師の「アイデアを“魅力的な企画に変える”企画書講座 2022」を無料受講できる特典も付与。

〇柏田:皆さん、『裁判はドラマだ!』を読んで、裁判所に行ってみてください。裁判所はミステリーネタの宝庫ですからね。

〇新井:柏田講師の『ミステリーの書き方』も是非お読みください。そして今度、柏田講師が担当する「ミステリーの書き方講座」も実施予定ですので、こちらにも参加していただければ。

〇柏田:ミステリー書いてみてくださいね。ミステリーのコンクールはものすごく沢山あります。一番売れるのがミステリーなので、ミステリーを書ける人が求められているんです。

あと、シナリオコンクールだと、受賞作の大半がヒューマンドラマですよね。勿論、それが王道ではあるんですけど。でもあんまりミステリー設定のものってないじゃないですか。

例えば、ホームドラマを描くにしても、そこにミステリーの要素を入れてみる。家族の誰かが何かを遺して亡くなって、そこから謎を探っていくってするだけで、俄然面白さが増す気がするんだよね。そういう風にミステリーを使うと結構いろいろ広がるんじゃないかなって思います。

だからミステリーでコンクール、是非チャレンジしてください!

*     *     *

※「3行ストーリー大賞 2022」発表会全編は現在もご覧いただけます↓

※ミステリー小説を書きたい方はこちらの記事もご覧ください。

「ミステリー小説を書くときに注意すべき視点」

※3行ストーリーについてはこちらの記事も是非。

「3行ストーリー大賞 2021結果・講評」

「3行ストーリー 書けますか?」 

「シナリオは、だれでもうまくなれます」

「基礎さえしっかりしていれば、いま書いているライターぐらいには到達することは可能です」と、新井一は言っています。

“最初の一歩”は、各講座に向けた体験ワークショップもオススメです。シナリオ作家養成講座とシナリオ8週間講座は、オンライン受講も可能です。

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