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トップシーン脚本大賞2022 春/シナリオの勉強を始めるキッカケに

トップシーン脚本大賞2022 春/シナリオの勉強を始めるキッカケに

(左から)企画・司会進行役の新井、企画・審査委員長の柏田講師、審査員の萩原さん

「シナリオって敷居が高いんだよな」を払拭!

シナリオ(脚本)というと、「自分には文才がないから書けないな…」「文章を書くのは苦手だからな…」と思ってしまうかたもいらっしゃるのではないでしょうか。

シナリオに対するこういった“敷居の高さ”を払拭したい!

この想いから生まれたのが「トップシーン脚本大賞」です。「短ければ、とりあえず書けるんじゃない!?」ということで、このコンクールでは140文字以内で、「タイトル」とイメージをかきたてる「トップシーン」を書いてもらいます。

前回 第1回目は1323本のご応募をいただき、今回 第2回目「トップシーン脚本大賞2022 春」ではなんと応募総数1569本。4月2日に発表会を開催し、YouTubeでライブ配信。当日は、特に気になる25作品を発表し、その中から「最優秀賞」「柏田道夫賞」「はぎわらちゃん賞」の3本を決定。

前回に引き続き、シナリオ・センターの新井が企画・司会進行役。出身ライターでもある柏田道夫講師が企画・審査委員長を務めます。

そして今回は、お題が『恋愛もののトップシーン』ということもあり、より広い視野で審査ができるように萩原恵礼さん(柏田クラスOG・出身ライター・『月刊シナリオ教室』編集部)も審査員に!

なお、賞品は「最優秀賞」は図書券5,000円を、「柏田道夫賞」は柏田講師の著書『改訂版 小説・シナリオ二刀流奥義』(言視舎)を、「はぎわらちゃん賞」は萩原さんの著書『裁判はドラマだ!』(言視舎)を進呈。

ライブ配信した発表会では、受賞3作品が決まっただけでなく、「どうすれば人に伝わる面白い作品を書けるのか」といったことも、柏田講師と萩原さんにお話ししていただきました。

こちらのブログではそのダイジェスト版として主にこちらの3点に絞って、広報の齋藤がリポートいたします。

・タイトルについて
・“今回の応募作あるある”からみる「こういうことに気をつけよう」
・受賞3作品の受賞理由

「シナリオのことはよく知らないけど、ちょっと書いてみたいな」という方、参考にしてください。今回ご紹介するポイントを押さえて書いてみると、「シナリオって書くの楽しい!」と身近に感じてもらえるのではないかと思います。

タイトルはすごく大切

*

〇柏田講師:前回の発表会のときも言ったと思うんだけど、また今回も「タイトルってすごい大事だよ」っていう話をしたいなと。新聞広告の切り抜きを持ってきました。この前、全世界同時配信されたNetflix映画『桜のような僕の恋人』。原作者の宇山佳佑さんは、以前ぼくの作家集団のクラスに在籍していました。

『桜のような僕の恋人』ですよ。このタイトルのうまさ!タイトルのセンスというか、すごいよね。タイトル見ただけでイメージがかきたてられる。

この他にも宇山さんの小説のタイトルは、『今夜、ロマンス劇場で』『君にささやかな奇蹟を』『この恋は世界でいちばん美しい雨』『恋に焦がれたブルー』『ひまわりは恋の形』などなど。すべて恋愛モノで、内容も甘くて、私が描く世界とは全然違うなと思って(笑)。

タイトルは“作品の顔”ですからね。長くてもいいし、逆に単語ひとつの短いものでもね、けっこうハマるといいですよ。

ちょっと気をつけてほしいのが、今回の応募作品にもあったんだけど “内容そのままのタイトル”というのがあって。これだと、せっかくトップシーンが面白くても「ああ、やっぱりそうなんだ……」ってなっちゃうじゃない。だから、言葉の語順をちょっと変えてみるとか、内容がらみのタイトルにしてみるとか、そうするともっと良くなるんじゃないかなと思います。

――チャットにコメントを入れてくれた視聴者の方からは、「個人的にはタイトルは簡潔が好みです」「タイトルが長いと本文が減るので悩みました」「タイトルはけっこう悩みました」「同じ言葉でも語順を変えるだけで印象が変わるんですね」といった書き込みがありました。やはり皆さん、タイトルは悩みどころのようです。今度タイトルをつけるときは、柏田講師が指摘した部分をぜひ意識してみてください。

奇をてらい過ぎると伝わらない原因に

――今回の発表会、前回と大きく違ったのは“ハギワラ資料”があったこと。

〇新井: 今回の審査を経て、萩原さんが「今回の応募作のあるある」とか「伝わらない原因」っていうのをシートにまとめてくれたんですよね。この“ハギワラ資料”、無料のライブ配信で公開しちゃっていいのでしょうか(笑)。

〇萩原さん:1569本も読めば、まとめたくもなる(笑)。

〇柏田講師:まとめる余裕もなかった(笑)。

〇萩原さん:今回の応募作で多かった“あるある”のひとつが、「スマホ(LINE)の画面にショックを受ける主人公」。例えば、スマホに「別れよう」みたいな衝撃的なニュースが入ってきて、それを見た主人公がリアクションするっていう。視聴者の気持ちを考えると、「さあ、観るぞ!」っていうときにスマホの画面がいきなり映るとすごく目がチカチカするし、人物の動きも見えないので、ちょっと分かりにくいっていうか、あんまり引き込まれないかもしれないなって。

〇柏田講師:僕はシナリオ作家養成講座も担当しているんだけど、生徒さんから「スマホ(LINE)の文字をシナリオでどう書けばいいんですか」っていう質問をよく受けます。連ドラでもけっこうこういう場面があるし、別にやっちゃいけないわけじゃなくてね、「文字」をシーンとしてうまく使えればいいんだけど、画面の文字情報ってすごい見づらいでしょ?だから、使う善し悪しがある。映像になったときのことをよく考えてから使ったほうがいいかなって思います。

〇萩原さん:あと、やっぱり「張り手型」からはじまる作品が多かったですね。

〇柏田講師:「張り手型」というのは物語の入り方の1つで、「え?何が始まったの?」と視聴者を驚かせて、疑問をもたせて、グイッと引き込むやり方です()。

〇萩原さん:例えば、「ビルや学校の屋上から飛び降りる寸前に誰かから声を掛けられる(駅のホームのパターンもあり)」というトップシーン。この描き方が良いとか悪いというわけじゃなくて、ものすごく多かったんです。だから、珍しい発想ではない、ということが私も勉強になりました。みんなが考えつくんだなぁって。

〇柏田講師:雰囲気のいい作品もあったんだけどね、シチュエーションとしては多かったね。

〇萩原さん:それから、「唐突に結婚しようと言われビックリ」という作品も多かったですね。恋人でもない人から言われたり、幽霊から言われたり、たまたま通りかかった人から言われるというのもありました。たぶん皆さん、「張り手型」を意識して考えてくださったと思うんですけど、こういうふうに急に来られると視聴者はビックリしちゃうというか、感情移入しづらい。心の準備ができていないまま驚かされたというだけで、物語の“先”がそんなに気にならないかなっていう。

〇新井:ラブストーリーというお題の難しさもありますよね。しかも140文字以内で書かないといけないから、どうにか“フック”をつくろうとする気持ちも分かる。でも、そこに自分ならではの工夫がないと、誰もが思いつく“あるある”になっちゃうんですね。

〇萩原さん:それに「視聴者に伝わらない原因」にもなる。登場人物がすごく突飛な行動に走っただけで、「結局、この人は何したかったの?」っていうシーンになっちゃう。

〇新井:なるほど。これは長編作品を書いて、コンクールに出すときにも気をつけたほうがいいかもね。あまりにも奇をてらい過ぎると、審査員も「え?」ってついていけなくなっちゃう。

〇萩原さん:そうですね。「登場人物が突然、意味不明の行動に走る」というシーンはやっちゃダメ!というわけじゃないんだけど、ちょっと気をつけたほうがいいかなと思います。

「張り手型」について、そして、もう一つの入り方である「撫ぜ型(順序良く物語が始まっていくやり方)」について、こちらの動画を参考にしてください。
▼「受け手の心をどっちでつかむ?ファーストシーンの書き方/ヒント

恋のはじまりを予感させる3作品が受賞

*

――受賞3作品の発表は、「はぎわらちゃん賞」からスタート。その前に萩原さんが選考のポイントを解説。それがこちら↓

・“脚本大賞”なので小説のような書き方(=ト書が“過去形”になっている等)はNG
・140文字に無理やり詰め込んでいないか。
・コース料理でいえば、ステーキじゃなくて前菜でいい(この先“お楽しみ”があるかどうか)
・自然なキャラクターから出てくる自然なセリフが◎
・スマホを見ている人物じゃなく、動いている人物が見たい

 

〇新井:これらのポイントを踏まえて、はぎわらちゃん賞の作品はこちらです!

 

☆ハギワラちゃん賞:『いくつになっても』こまだまこさん(WEB本科)

◯片桐家・居間
   手鏡を見ながら頬のシミに手を   
   当てる片桐シズ江(82)。
   それを困り顔で見守る片桐さち(50)。
シズ江「施設に入る前にこれ取りたいんだけど」

 

〇萩原さん:82歳のシズ江さんがこれから老人介護施設に入るにあたり、シミ取りをしたいと言っている話なんです。「準備万端で入居するわ!」っていう、こんなにヤル気満々なおばあさんって面白い。生命力あふれるというか、すごくキャラクターが出ていると思うし、この後、老人介護施設でいろんな出会いがあって、たぶんすぐ入居者の方とのラブストーリーが始まるんだと思う。

シナリオはすごくシンプル。そんなに変わったことやってないし、出てくる人物も二人だけだし、シズ江さんの“お相手”も出ていないんですけど、この後の盛り上がりがものすごく期待できるなと思ったので選ばせていただきました!

〇柏田講師:うん、すごくイイと思います。

〇新井:シズ江さんのこのパワフルさはたぶん、既に入居している人たちを圧倒するだろうし、だから絶対そこで同世代の人たちと軋轢を生むでしょ(笑)。こうやって、この後の展開を勝手に考えたくなっちゃう。

〇萩原さん:いまの時代、こういうシニアの恋愛ってすごく面白い素材だと思います。ぜひ長編にしてもらいたいなと思いました!

〇新井:じゃあ次は「柏田道夫賞」の発表です。

〇柏田講師: セリフがなくてト書のみ、っていうセリフのないシーンにチャレンジしている作品が今回けっこうありました。その中でも、この作品はすごく綺麗で好きです!

 

☆柏田道夫賞:『春音』髙橋美樹さん(作家集団)

〇雪の部屋・内
   窓から河原と桜並木が見える。    
   外からトランペットの音。    
   寝巻でピアノの前に座る花宮雪(18)。
   雪、『早春賦』を弾き始める。
   トランペット、ピアノの伴奏に合わせ早春賦を奏で始める。
   笑顔の雪。

 

〇萩原さん:「音」が聞こえてくるし、奥行きも感じられるし、すごく綺麗。季節感が感じられるのもすごくいいですよね。

〇柏田講師:桜の情景が浮かんで、ピアノの音楽「早春賦」が流れてきて、外から聞こえてくるトランペットと合致して、っていう「撫ぜ型」()の入り方。これからまさに恋愛が始まる、という入り方がすごくいい。雪はトランペットを吹いている人の姿をまだ見ていないんじゃないかな。たぶんお互い、見てないんだと思う。だからこの後、二人がどう出会っていくんだろうって気になる。長編にしてほしい。「どうやって出会わせるのか」がポイントになると思うから、その点をぜひうまく考えていってほしいです。

〇新井:では、いよいよ最優秀賞の発表です。

〇柏田講師:萩原さんと意見が一致したこちらの作品。これもセリフがなくてト書のみでした。

 

☆最優秀賞:『指先の恋』丸山華乃さん(シナリオ作家養成講座)

〇美術予備校
   鏡を手に自画像を描く音波鈴(18)、デッサンはまだ途中。
   鏡を調整するフリをして、斜め後ろで描いている生徒の手元を映す。
   こっそり画用紙をめくると下の紙に骨張った青年の手のデッサン。
   鏡に映る鈴の顔、赤くなる耳。

 

〇柏田講師:自画像を描いているんだけど、その前のページには好きな男の子の手が描いてあって、それを盗み見ている。

〇萩原さん:つまり、彼女は恋をしている自分の顔を描いているわけですよ。

〇新井:ああ、そうか!

〇萩原さん:女性って男性の手、好きなかた多いですよね。それを絵で描いているというところに愛を感じちゃった。シーンが目に浮かぶように描かれていて、相手の顔も映ってないし手だけなんですけど、女子の秘められた恋心みたいなものがすごく分かる。小道具もすごくうまく使っているし、映像としてすごく面白い。

〇柏田講師:タイトルもいいし、絵を描く指を強調しているというディテールもいいし、これからの恋のはじまりも予感させる。これを長編にするときは、この男の子をどううまく出していくか。ぜひ考えてみてくださいね。

*     *     *

最優秀賞を受賞された丸山さん。シナリオ作家養成講座にご出席された際、ミニ表彰式を開催し、担当の河合講師やチューターの田中、そして講座生の皆さんでお祝いしました。また、受賞作『指先の恋』も発表していただきました↓

このコンクールがシナリオを書くキッカケになれば

*

〇新井:受賞3作品の共通点だと思うんですけど、「映像的にイメージが広がる」というところと、「これからどうなるんだろう?」って視聴者の気持ちがのっていきやすい作品が受賞したのかなと思います。

〇柏田講師:萩原さんも「選考ポイント」で言ってたけど、応募作品の中には雰囲気はすごくいいのに小説っぽい作品がいっぱいありました。「シナリオの形式で書くには何が必要なんだろう?」というところを“入口”にして、シナリオを書いてみてくれればいいなと思います。

〇新井:そうですね!応募してくださった皆さんにとって、今回がシナリオを書くキッカケになれば!と思っています。ぜひこれからも書いてくださいね!

*     *     *

今回、ダイジェスト版をお読みいただいて、「こういうところを注意すればシナリオって書けるんだな」とちょっと身近に感じていただけたのではないでしょうか。トップシーン脚本大賞についてはこちらの動画&記事もご覧いただき、もし第3回目があるときはぜひご参加ください!

▼「トップシーン脚本大賞2022 春」発表会

「トップシーン脚本大賞2022 春」概要

▼新井のnote
トップシーンだけで競う『トップシーン脚本大賞』の攻略ポイントと作った経緯

第1回目「トップシーン脚本大賞」結果・講評

 

※発表会の最後、チャットに「3行ストーリー大賞はありますか?」という質問が。「夏ごろにやりましょうかね」と新井&柏田講師。もしかしたら第2回目となる3行ストーリー大賞、やるかもしれませんので、そのときのために前回の模様をチェックしてみてください↓

「 3行ストーリー大賞 」結果・講評

「シナリオは、だれでもうまくなれます」

「基礎さえしっかりしていれば、いま書いているライターぐらいには到達することは可能です」と、新井一は言っています。“最初の一歩”として、各講座に向けた体験ワークショップもオススメです。

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