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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

捨てたもんじゃない

横濵短篇ホテル

ウクライナを想う

シナリオ・センター代表の小林です。昨日今日と東京は初夏を思わせる暖かさ。コロナもちょっと減って来て、いい春を迎えられるかも・・・と思いたい。
でも、侮らない、侮らない。まだまだ三寒四温を繰り返すし、桜ももう少しでしょうし・・・。
それ以上に、ウクライナに注目し、傷つき殺されてしまった人々を想い、戦争終結への道を、世界中の人々が祈るような気持ちで見つめています。
春はまだまだ遠いのでしょうか。

人はみな違いますから、それぞれの視点でそれぞれの考えや意見を言い合うのは大事です。
ただ、自分の意見を押し付けようとするだけでなく、相手の意見を聞く耳をもつことが一番大切なことではないかと思います。
感情のまま、他人にぶつけたりののしったりするだけでは、お互いに通じ合えませんものね。
自分の意見や想いを言う時は、常に相手のことも考えて伝えなくてはいけないと思います。
これは想像力です。
空気を読むということとは違います。
他人のことを想像することで、自分自身の視野が広がるのです。
どちらの意見も考え方もお互いを理解しようという気持ちで接しなければ、何事も前へは進みませんから。

横濵短篇ホテル

金曜日に、劇団青年座さんの「横濵短篇ホテル」を観てきました。
横浜の老舗ホテルを舞台に、1970年から40年近く経ったある年の夏までの7つの物語が展開するというマキノノゾミさんの連作です。
1970年、女子高生が映画監督とプロデューサーのいるホテルの一部屋に侵入します。そこから40年の物語を紡いでいきます。
17・8歳の彼女と私は私の人生はほぼリンクしているので、歳を共に重ねていくことができて「そうそう、そうだったわね」と共感を多く重ねながら観劇しました。

この時代は、戦後の高度成長、バブルへと昇っていく良い時代でした。
敗戦から日本復興を目指してみんなが頑張り、結果が出ていた時代・・・多分今青春を生きている若者からしたら信じられないほど、誰もが常に好きに新しいチャレンジができる申し訳ないくらい楽しい時代だったのです。
5年ごとのオムニバス形式。
40年の長い歴史を超えての設定は、その時代を知っている観客とバブルも知らない観客では、時間を共有する、しないではずいぶん違うと思ったのですが、マキノノゾミさんと演出の宮田慶子さんは、各時代を、短い中に登場人物の切なく、おかしく、胸キュンのひとつのラブストーリーを描いて、誰もがどの時代も楽しめるように作っており、さすがだなぁと思いました。
でも、やっぱりその時代その時代の共有が多い分、私の方が得した気がしますけど。(笑)

お芝居を拝見して、新井一がトップシーン以前の話を考えろと言っていたことはこれだなあと思いました。
前のことがきちんとあるから、次の芝居が生きるのです。
描かない部分であっても、きちんと登場人物の人生を考えていないと、その人物の人生は場当たりな話にしかならないのですね。
マキノノゾミさんのうまさは、それぞれの人生を、このお芝居が始まる前の登場人物を、ご自分の頭の、心の中にちゃんと描けているからにほかならないと思います。
演出の宮田慶子さんの『「いいことばかりじゃないけれど、でも、そう捨てたもんじゃないよ、生きてるって・・・」とみていただいた皆さんとともにうんうんとうなづき合えたら、私は幸せだ』とプログラムでの言葉が印象的でしたが、「うんうん」とみんなうなづいていましたよ。
ちょっと嫌な現実を忘れて、懐かしさと気持ちよさに浸れた2時間半でした。

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