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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

想いを馳せる

消えた歌の風景PART2(清流出版)

人助け

シナリオ・センター代表の小林です。バイデン大統領の来日で、都内は検問だらけです。岸田首相は、防衛費増額を決めたそうです。
どこまでもキナ臭くなる世界情勢に、武器を持てば安心という単純な発想はやめた方がいいと思うのですが・・・。
気に入らない人を排除する、力で押さえつける、それよりも「北風と太陽」ではありませんが、やさしくする、暖かくした方が、ゼッタイいいと思うのですが、どうでしょう。

日本人の慎み深さ、やさしさは、世界で評価されてきたように思うのですが、なにかというと武器を持とうとしたがるところを見ると、案外好戦的な民族なのかもしれませんね。
日本という国の特質なのか、日本人の性格なのかわかりませんが、知らない人を助けるという気持ちがどうも少ないようです。
世界人助け指数というのがあるそうですが、それでは日本は最下位です。
「この1カ月に見知らぬ人を助けたか」「見知らぬ人へ寄付をしたか」「見知らぬ人へボランティアをしたか」の3項目で採点するのだそうですが、ウクライナへの寄付とか東日本大震災などの災害でのボランティアなど結構しているように思えるのですが、人助けしている人は20%いくかいかないかです。
そんなことないはずだけどなと思いますが、この10年ちょっと、特に「人助け指数」の落ちは顕著かもしれません。
だって、お上からして自分のことしか考えない、自分だけが大事になっていますから。
他人のことを想う心、想像力を持ちたいものです。

消えた歌の風景

内館牧子さんが「消えた歌の風景」(清流出版)という本を出されました。
童謡、唱歌をもとに歌の情景や忘れてはいけない日本の心を綴ったエッセイです。
本を読んでびっくりしたのは、今の若い方(どのくらいの年齢までなのか・・・)は、もう童謡とか唱歌を知らない人の方が多いのだそうです。

「消えた歌の風景」PART1では、「懐かしい21の童謡・唱歌と」として、
はじめの「船頭さん」「朧月夜」「さくら貝の歌」「みかんの花咲く丘」「箱根八里」「蛙の笛」「汽車ぽっぽ」「この道」「蛍」「われは海の子」「見てござる」「風」「虫のこえ」「叱られて」「故郷の空」「冬の星座」「もずが枯れ木で」「冬景色」「お正月」「冬の夜」
PART2は「忘れたくない21の童謡・唱歌」として、
「ないしょ話」「思い出のアルバム」「どこかで春が」「青葉の笛」「やさしいおかあさま」「野ばら」「てるてる坊主」「たなばたさま」「浜辺の歌」「宵待ち草」「五木の子守歌」「里の秋」「月」「山のロザリア」「とんぼのめがね」「やぎさんゆうびん」「たきび」「ふじの山」「雪の降る街を」「春よ来い」「四季の歌」

今「表参道シナリオ日記」を読んでくださっている方の中で、どのくらいの方がこの中の歌をご存じでしょうか。
団塊の世代は「童謡・唱歌を知っている最後の世代」だと内館さんはおっしゃっていますが、そんなものなのかもしれませんね。
歌詞をよんでいると自然と口ずさんでしまっていた私ですが、初めて「そうだったのか」と歌詞の意味や想いを内館さんに教えてもらったり、行間に描かれた背景につくづく感心したりしながら、楽しくも寂しく読ませていただきました。

時代のというのはもちろん変わっていくのですが、端的によくわかるのは、PART1で初めに内館さんが取り上げた「「船頭さん」。
「今年60のおじいさん」という歌詞は、歌が作られた昭和16年では60歳は「年をとってもお舟をこぐときは、元気いっぱい 艪がしなる」と描かれるほどの年よりなのですよ、100歳寿命時代の今では考えられないことですよね。
「赤とんぼ」はほとんどの方がご存じだとは思うのですが、「ねえやは15で嫁に行き・・・」今ではまったく考えられません。
その時代背景を知りながら、行間に漂う隠れた意味をきちんと感じていけるようになるのは大人になってからかもしれせんが、子ども心になんとなく感じるものを持っていると大人になっても想像力が違うような気がします。

平易にわかりやすくはシナリオ・センターのモットーですが、教え方はそれでいいのですが、「なんでも平易にわかりやすく」してはいけないのではないか改めて感じました。
例えば、今は長寿で有名になられた小説家佐藤愛子さんのお兄さんでいらしたサトウハチローさんの作詞「もずが枯れ木で」は、さりげなく反戦をしめしています。
1「もずが枯れ木で 鳴いている
 おいらは藁を 叩いてる
 綿引車はおばあさん
 コットン水車も まわってる」
2「みんな去年と おなじだよ
 けれどもたんねぇ ものがある
 あんさの薪割る 音がねぇ
 バッサリ薪割る 音がねぇ」
3「あんさは満州へ いっただよ
 鉄砲が涙で 光っただ
 もずよ寒いと 鳴くがええ
 あんさはもっと 寒いだろう」

昔の童謡には、目に浮かぶように描かれた歌詞がたくさんあります。
「歌は世につれ、世は歌につれ」といわれます。世の中のあり様も分かってきます。
作詞というのもドラマ作りです。
童謡・唱歌、昔から歌い継がれてきたものを、ちょっと訪ねてみませんか。
ドラマが見えると思います。

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