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シナリオや小説についてなど、創作に役立つヒントを随時アップ!ゲストを招いた公開講座などのダイジェストも紹介していきます。

5枚の短編小説 で読者を得られるか?

「シナリオのテクニック・手法を身につけると小説だって書ける!」というおいしい話を、脚本家・作家であるシナリオ・センター講師 柏田道夫の『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(「月刊シナリオ教室」)からご紹介。
今回は「20枚シナリオのレッスンを小説レッスンに応用しよう!」という話。「面白い短編小説を書きたい」「長編が書けないからまずは短編から始めたい」というかた、実践してみてください。

フィクションとしての小説を書く

小説レッスンとして故宇野千代さん提唱の方法、“たった5枚か10枚の短編小説を書く。最初は、昨日何をしたかではなく、昨日何を考えたかということを書く。”の実践方法について()。

ブログの延長で「昨日何をしたか?」、あるいは「それで何を感じたか? 考えたか?」といったことを書くのは日記、もしくはエッセイです。エッセイと小説の違いはあいまいですが、基本的には、エッセイは実際起きたこと、体験を書きます。これに対して小説はフィクションです。つまりそこに嘘、虚構性を加えて物語とする。

小説も〝私は〟といった一人称で、作者自身の体験や日常を綴る(あるいは読者にそう思わせる)私小説的なジャンルもありますが、それはひとまず目指す方向とは別ということで除外します。

ここで追求するのは、「フィクションとしての小説を書く」ということ。ともあれこの考え方が、本コラムのタイトルともなっている「シナリオ技法で」とつながります。

読み手(観客・読者)を想定する

シナリオ・センターでは基礎講座を終えると、ゼミや通信で20枚シナリオの課題をこなしていきます。そこで書くのは、作者自身の体験(それを素材、ヒントにすることはあるにしろ)ではなく、フィクションの物語です。これを映像をイメージしながらシナリオの書式で書いていく。

20枚シナリオのレッスンでは、「小説のショートショート的なオチをつけて終わらせたり、ストーリーを優先させるような作品を(なるべく)書くな」。あるいは、「できるだけいいシーンを作る」「おもしろい局面を描く」さらには「登場人物を魅力的、立体的に造形する」で、「人物(主人公)がイキイキとする場面、ト書やセリフになるように描くことを心がける」といったことが講師から示されるかと思います。

ですので、20枚が長い作品の【起】の部分となっても構いませんし、クライマックスでもいい。ただ、それでも20枚の中で【起承転結】はありますし、シークエンスとしての終わり(区切り)をつけるようにします。

これを小説レッスンに応用するのですが、上記の原稿用紙5~10枚というのは、枚数的にはペラ(200字詰め)10~20枚に相当します。ただ、シナリオは余白が多いですし、ト書も簡潔に人物の行動や描写だけですので、小説の文章とする場合は、もう少し書き込みが必要となるでしょう。

また小説の場合は、ショートショートも形式のひとつですし、400字詰めで5枚や10枚の短編小説としても成立しますので、この枚数で物語が完結して構いません。

むしろレッスンであっても、当初からおおよその枚数を決めた上で、その中で【起承転結】があり、読み手に何らかの余韻なり感慨、さらには感動を与えるフィクションを目指します。そう、もうひとつシナリオレッスンと共通する重要項目こそ、この「読み手(観客・読者)を想定する」ことです。

ゼミでは、習作の20枚シナリオを朗読し、他受講生の感想を聞くのですが、この試練を受けることで、「独りよがりにならない」「観客に理解してもらえるか?」「作者が書こうとしたテーマや狙いが伝わっているか?」といった検証がリアルにできます。

シナリオは特に、総合芸術のベースになりますので、こうした客観性なり、他者の評価を獲得しなくては成立しないので、ゼミでのレッスンが効果を発揮します。小説も(たとえ私小説であっても)より多くの読者を得るべきですし、それがないと世に出ないのですから。

出典:柏田道夫 著『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(月刊シナリオ教室2018年10月号)より
次回は3月6日に更新予定です

宇野千代さんが提唱している方法は、こちらの記事「宇野千代 流 短編小説を書くレッスン/昨日考えたことを書いてみる」をご覧ください。

※要ブックマーク!これまでの“おさらい”はこちらで↓
小説家・脚本家 柏田道夫の「シナリオ技法で小説を書こう」ブログ記事一覧はこちらからご覧ください。比喩表現のほか、小説の人称や視点や描写などについても学んでいきましょう。

※シナリオ・センターの書籍についてはこちらからご覧ください。 

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