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シナリオや小説についてなど、創作に役立つヒントを随時アップ!ゲストを招いた公開講座などのダイジェストも紹介していきます。

宇野千代 流 短編小説を書くレッスン/昨日考えたことを書いてみる

「シナリオのテクニック・手法を身につけると小説だって書ける!」というおいしい話を、脚本家・作家であるシナリオ・センター講師柏田道夫の『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(「月刊シナリオ教室」)からご紹介。
小説を書いてみたいと思っていてもなかなか実行に移せないかたは、宇野千代さんのアドバイス&柏田道夫講師の解釈をもとにしたレッスンを始めてみませんか?日記を書くように、毎日少しずつ「あること」を書いてみるのです。

宇野千代さんから学ぶ、短編小説を書くレッスン

故・宇野千代さんは初心者に向けて、このようなアドバイスをしています。

“臆せずに毎日机の前に座って下さい。それから偉大な小説ではなく、たった5枚か10枚の短編小説を書いて下さい。座ったら集中して書いて下さい。最初は、昨日何をしたかではなく、昨日何を考えたかということを書いて下さい”

この心得の第一は、“毎日机の前に座って下さい”で、すなわち、1日の内に、「小説を書く時間を作れ」「1行でもいいので書きなさい」ということ。

これによって書く習慣をつける、それができるようになれば、確実に「作家への道」が拓けるということ。逆にいうと、たまに思いついて小説らしきものを書いていたのでは、作家になるのは覚束ない。(思っているだけで1行、1枚も書かないよりは、可能性はありますが)

次に“偉大な小説ではなく、たった5枚か10枚の短編小説を書いて下さい。”

初心者がいきなり「偉大な小説を書こう」と思っても続かないし、当然力も及ばずに、挫折するのは目に見えています。まずはレッスンとして、書きやすい短い小説を書く。それによって、小説のスタイルや文章表現を身につけることができてくる。

これは小説家に限らず脚本家も同じですが、ほとんどの皆さんが「一時も早くデビューしたい」と思う。その気持ちは分かります(私も同じでしたから)。ですが、作家として認められるのは簡単ではありません。

コンクールに挑戦しても一次で落選し続ける。あるいは運よく現場と関わることができたとしても、(当たり前ですが)ボコボコに叩かれる。それで「やっぱり才能ないや」「向いていなかったんだ」とあっさりと諦めてしまう。そういう初心者を山のように見てきました。

宇野さんのおっしゃることは、そのまま20枚シナリオのレッスンに当てはまることがお分かりでしょう。基礎講座を終えてのゼミのレッスンは、まさにいきなりの偉大なシナリオではなく、まずはデッサンとしてのシナリオをたくさん書くことの大切さと同じです。

「何を考えた」かを書くことで日記からエッセイに

若干精神論になってしまったので話を戻すと、次の“最初は、昨日何をしたかではなく、昨日何を考えたかということを書いて下さい”という点。これはどういう意味なのでしょう?

この点について詳しく書かれていないので、以下は私の解釈ですが、要するにこれは「日記ではなく、小説を書きなさい」ということではないか。

ここでも何度も書いていますが、近年特に、本(小説)はさっぱり売れないのに、作家志望者は少しも減らない、もしくは増えているように思えます。

その要因のひとつは、明らかにネットでしょう。誰もがSNS、ブログやツイッターで日々の出来事、どこに行ったとか、何を食べた、誰に会った、まさに「昨日何をしたか」ということをアップするようになり、パソコンやスマホで書くという行為が日常化している。

この延長で作家に、と思う人が増え、実際ネットから作家になったという人も出てきています。むろん、宇野さんがこの文を書かれた当時は、まだSNSなんてなかった時代でので、私の拡大解釈ですが。

ただネットならば、読んでくれるのは知り合いとかで、昨日のあなたの報告にイイネ!を押してくれる。でもほとんどは、ただの日記なり報告、発言に過ぎません。これに「何を考えたか」ということまで踏み込めると、もうひとつ上の段階、例えばエッセイ(随筆)を書くことにステップアップするはず。

さらにエッセイと小説は違います。この境目ははっきりしていないし、定義は難しいのですが、それはまた今度。

出典:柏田道夫 著『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(月刊シナリオ教室2018年8月号)より
次回は11月7日に更新予定です

※要ブックマーク!これまでの“おさらい”はこちらで↓
小説家・脚本家 柏田道夫の「シナリオ技法で小説を書こう」ブログ記事一覧はこちらからご覧ください。比喩表現のほか、小説の人称や視点や描写などについても学んでいきましょう。

※シナリオ・センターの書籍についてはこちらからご覧ください。

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