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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

台詞は台詞

45周年のハジメちゃん

足踏みさせて

シナリオ・センター代表の小林です。東京アラートが解除されたら、昨日は20人、今日は25人とまた感染者20人越え・・・。ステップ3に移行って大丈夫なのでしょうか。
大変申し訳ないのですが、私は国や東京都のコロナ対策よりも、現場で戦っている医者の友人の話を信じて、考えています。
病床に余裕があるといわれても、病人に向き合っている医師や看護師の方々は疲弊し、人数も足りないし、医療機器も防護服もいまだ足りないのが現状のようですし。
「事件は、会議室で起きているんじゃない。現場で起きているんだ!」
踊る大捜査線の青島刑事ではありませんが、お上はいつの世もどこも変わらないようです。
少なくとも赤字の日本国の役員にあたる議員さんにボーナスをだせる税金があるのなら、必死で危ない場所で、私たちのために働いてくれている、守ってくれている方々へお出しするのが筋だと思うのですが。経営者は赤字であったら、社員にはボーナスを出しても自分はもらわない(もらえないけど)ものだと私は認識していますけれど。
コロナ禍で、大変な方がたくさんいらっしゃるのに、平然と私たちの税金からボーナスをもらう人たちを私は信じません。
あ、違う方向へいってしまった。ついつい・・・。
私が今日言いたかったことは、シナリオ・センターは、今月もステップ3ではなく、足踏み状態ですがご容赦くださいと申し上げたかっただけなのです。
よろしくご容赦のほどお願いいたします。

 

台詞は嘘つき

先月「20枚シナリオ 新井一賞」が締め切られ、935編もの20枚シナリオが集まりました。ありがとうございます。
今は1次審査に進んでいます。2次、3次審査と進み、ジェームス三木さん、柏原寛司さん、清水有生さん、岡田恵和さんの各先輩たちの最終審査を経て、発表は、月刊シナリオ教室11月号の予定にしています。
コロナ次第ではありますが、審査してくださる出身ライターの方々をお招きして授賞式ができると嬉しいのですが。

昨日、三谷幸喜さんの新聞連載のエッセイを読んでいたら、もうちょっと早く三谷さんが書いて下さっていたら、「新井一賞」の課題「セリフは嘘つき」のヒントになったのになあと思うことが載っていました。なので、ちょっと抜粋させていただきます。

向田邦子さんのドラマ「冬の運動会」(77年)の話でした。
「何が凄いかって、登場人物たちの心情がとてつもなく重層的なのだ。皆が心の底に別の感情を抱えている。その上での会話なので、とにかく面白い。
表面上のストーリーとその裏のストーリーが同時進行で進んでいく。ホームドラマなのにサスペンス映画よりハラハラする」
と、三谷さんに言わしめたセリフは、夫婦の会話。
「加藤治子さん扮するお母さんが木村功さん扮するお父さんに、彼の友人の奥さん(市原悦子さん)について話すシーン。
その友人はすでに亡くなっていて市原さんは独り身。そこでお母さんはいい縁談があると、お父さんに伝える。
一見普通の夫婦の会話に見えるこの場面。実はとんでもなく深い。
お父さんは市原さんのことが好きなのである。亡き親友の妻ということで、なにかと世話を焼いているが、いつからか彼女を愛するようになり、彼女も悪い気はしていない。
そのことにお母さんは気づいている。そのうえで彼女に縁談を持ってきて、お父さんに相談している。
お父さんはこの話に乗り気でない。そして、お母さんはそのリアクションを楽しんでいる。
どうすればこんなに面白いシーンが思いつけるのだろう。」
「縁談の話しを振られたお父さんのリアクションは、『うむ、いやー(別にかまわないよ)』
それに対するお母さんの台詞は『―こんないいご縁もったいないわよ』
これだけの会話でそれだけのことを表現する。まさに神業である。」
「役者さんは二本の「—」に込められた脚本家の意図を理解して演じなければならない。
大変だけれど、きっと楽しかっただろうな。こんなに演じ甲斐ある台詞、そうはないから」

セリフは嘘つきって、嘘つきゃいいってもんじゃなく、心と裏腹であることをどう表すかは、本当にテクニックがいります。
三谷幸喜さんですら、向田さんのドラマにはまりながら、学んでいらっしゃるのです。
私たちも、一昨日も書きましたが名作から学んでいきましょう。
向田邦子さんのシナリオ集などもでていますから、読んでみるのもいいかもしれません。
巧い台詞とは、そこに至る葛藤が描かれていなければ利きません。巧い台詞にならないと言うことです。
うまい「―」「・・・」を書ける脚本家を目指してください。

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