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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

新しい力との出会い

上映後の監督・出演者インタビューの川上信也監督

ndjc合評会

シナリオ・センター代表の小林です。今日は、ndjc(若手映画作家育成プロジェクト)の合評会に出かけてきました。
このndjcは、文化庁が肝いりで映画産業の復興組織として創られたVIPO(映像産業振興機構)の中の事業の一環で、新しい才能を発掘して作品の発表の場を提供することで日本映画の活性化を目指しています。
毎年、各団体から推薦された方々が、このプロジェクトのワークショップを経て、作品を作り、発表します。
今年は80名の応募があり、シナリオで選考された15名がワークショップに進み、そこから5分の作品を作って審査され、5名の方が晴れて30分の映画を創ることができます。
シナリオ・センターからは、ここ3年連続ワークショップを経て作品を創っています。
今年は、川上信也さんが、「最後の審判」という映画を創られました。
今日はその5作品の合評会で、東映の映画館で講評者並びに、一般の方々が鑑賞しました。
会場あふれるほどの盛況で、熱気ムンムン。始まる前にお会いした川上さん、緊張しきっていらっしゃいました。 なので、私も一緒になって講評者として緊張しちゃいました。(笑)

素敵な映画

5本の映画は、例年の作品から比べてもとても安定した素晴らしい作品ばかりでした。5本を通してみるのはなかなか大変なのですが、楽しく拝見することができました。
川上作品はラスト上映でしたが、こういっちゃうとなんですが、欲目ではなく、川上さんの作品「最後の審判」は、ずば抜けてよかったと思いました。
5作品のうち、4作品が家族のお話でしたが、川上さんの作品は、日本最高峰の美大を受ける5浪の受験生の一日。
5年目を迎え、最後の挑戦と決めている稲葉は、2日間にわたる人物着彩の試験の1日目、独特の雰囲気でとてつもない画力をみせる初音の前に、己を失ってしまいます。
そして・・・。
しっかりしたキャラクターづくり、主人公の心の叫びの出し方、奇をてらうことなく、シーンシーンが無駄がなく、小気味よいセリフにテンポもよく最後まで魅せられました。
5作品の中で一番違っていたのは、ストーリーではなく人間が描かれていたことだと思いました。
目の前で突然父親が死んだ洋平は、父親の死を受け止めきれず不思議な現象が見え始める。自分の半身を探し続ける家族の物語「サヨナラ家族」
夫婦喧嘩の末、雲隠れした妻と家族のつながりを描いたコメディタッチの「うちちうちの面達は。」
25年前に生き別れた父が認知症となり、生活保護扶養照会が家族のもとにきて家族たちのそれぞれの想いを描いた「くもりときどき晴れ」
新しい男と生きることを選んだ母親に、実家に置き去りにされた小学3年生のサーヤが、失くしたいものを願うと叶う不思議な箱を手に入れるファンタジー作品「はずれ家族のサーヤ」

4作品もどれも力作ではあるのですが、共通するのは、ストーリー運びに懸命で、背景事情などキャラクターを形どるものが描かれていないので、観客が感情移入できにくい気がしました。
その点、川上さんの「最後の審判」は、受験という一瞬切り取ってストーリーではなく、主人公の心の軌跡を描いていました。
キャラクターの大切さを実感しました合評会でした。

この感想は、あくまで私の主観ですので、3/28東京有楽町スバル座で、3/814名古屋ミッドランドスクエアシネマ2で、3/1621大阪シネ・リーブル梅田で、連日1800前後から上映されますので、ぜひとも見ていただきたいと思います。
ご覧になってぜひともご感想をお寄せください。
映像界へ新しい波を起こしてくれるに違いない若い方々の力を応援していきたいと思います。

今年のnjdcへ応募されたい方は、推薦させていただきますので、ご相談ください。

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