感想文が書けない!そんな時に有効な感想文の書き方とは
感想文が書き方がわからない…全然書けない…
そんなお悩みを持つお子さんは、たくさんいるかと思います。
そんな時に「いいから読んで、書きなさい!」
と、言ってもお子さんが書けるようになるわけではありません。これ、断言できます。なぜなら、わたくしシナリオ・センターの新井自身がそんな子どもだったからです。
なんせ小学3年生くらいの時に、「トム・ソーヤの大冒険」を読んで(読んだことにして)書いた感想文が、『トムの大冒険はすごかった。僕も、トムのような大冒険をしたい』の1行で終わってしまったからです。先生に怒られたのは、言うまでもありません。
「感想文書けない!」と言われたらすべき4つアドバイス
では、お子さんが「感想文が書けない!」といったら、どうすればいいのか。
書けない原因は、大きく二つあります。
・そもそも作品自体をうまく読めない。
・うまく読めないから、結果どう書けばいいかわからない。
なので、まずはどう読めばいいか、お子さんへアドバイスをしてあげてください。
その時のポイントは、作者の頭の中にそって考えること。これができれば、実は感想文が、チョー簡単に!書けちゃいます。
※実際にこのコラムをもとに実施したイベント報告
>>学校では教えてくれない 読書感想文 の書き方
これは、感想文の書けなかった新井式ではありません。赤川次郎さんや鈴木光司さん、柚木麻子さんなど、多くの小説家や、毎クール連ドラの7割以上を執筆する脚本家を養成してきたシナリオ・センター式ですので、ご安心を。
感想文の書き方のポイントはこちら。
・キャラクター軸で考える
・主人公が何に困っているか、考える
・クライマックスで主人公が変化する場面を探す
・言いたいことを、一つに絞る
この4つ。この4つさえ押えちゃえば、ダラダラあらすじを写すとかズルをせずに、少なくとも原稿用紙3枚は書けます!というか、たぶん書くの楽しくなります。是非、お子さんへのアドバイスの参考にしてください。
※書くのが好き!というお子さんには、>>2つのポイントで脚本を書けば、ずーっと書いていたくなる!をお読みいただけると、より創造性を伸ばすると思います。
感想文は、主人公のキャラクター軸で考えると書ける!
ドラマとは、登場人物(特に主人公)の成長や変化を描くものです。これ、当たり前すぎで忘れがち。
なので、作者がどんな主人公の、どんな成長や変化を描きたいのかが読み取れればいいわけです。
そこでまず注目したいのが、主人公。
選んだ作品を読むときのポイントを、押えましょう。
ずばり、
①どんな主人公が
②どうなるのか
が、掴めてしまえば、感想文はこっちのものです。
しかも、①のどんな主人公なのか
については、小説でも、映画やドラマでも、作者は早めに書きます。
なぜなら、起承転結の「起」の機能は、天地人の紹介だからです。
天:時代の紹介
地:場所の紹介
人:人物の紹介
なので、最初の10ページも読めば、主人公のキャラクターは掴めます。最初の10ページですよ!楽ちんです。
まずは、どんな主人公か、そこだけを意識して作品を読んでみましょう。
>>小説の書き出し のコツ。「天・地・人」を書く
もっと具体的にキャラクターを掴む方法
主人公のキャラクターをより掴みたいという方は、二つの面を探してください。
ひとつは、憧れ性。
もうひとつは、共通性です。
作者は、主人公を魅力的に見せるために、この2つの面を作ります。
なぜなら、読者が思わず主人公をかっこいい、ステキと憧れてしまうようなすごい面と、自分とおんなじようにダメなところや、苦手なものがあるんだな…と思うことで、読者は登場人物に感情移入するからです。
例えば、「ドラえもん」。
何でも完璧にできる『出木杉くん』に、感情移入はしにくいですが、情けないところがあるけど優しい面のある『のび太』には感情移入してしまいます。
主人公に感情移入をして、どんどん先を読んでもらいたい作者は、この二つの面を書いています。これも、作品の序盤から描かれます。
「主人公のどこがすごいと思う?」
「主人公のだめな部分ってどこだと思う?」と聞いてあげてください。
さらに、主人公の二つの面に対して、自分と比べたりしたら…感想文の書くネタになります!
「主人公の○○の部分は、とてもすごいと思った。自分は××だから、特にそう感じた」
「主人公の△△の部分は、自分と同じだと思った。私ももしかしたら、主人公のようにしてしまうかもしれない」や「私もがんばれば、主人公のようにできるかもしれない」とか…
主人公が困っていることを探す
小説でも、ドラマや映画でも、読んでいて(観ていて)ハラハラドキドキするのは、主人公がいろんな問題にぶつかって、困って、それを解決できるかどうか・・・です。
作者は起承転結の「承」で、主人公を困らせまくります。
どんな風に主人公が困り、どんな風に主人公が乗り越えるのか、ココを押させておくと、あとあと感想文が書きやすくなります。
例えば、「○○に主人公が困っていて、それを△△に乗り越える姿に感動した。もしも自分だったら××にしてしまうと思う」と書けます。○と△の部分を、読み解いて、あとは×を考えるだけ。ほら、簡単。
クライマックスで主人公が変化する場面を探す
ここまで来たら「転」を意識します。クライマックスといいます。
クライマックスは、主人公が最大のピンチを乗り越える場面だと考えてください。主人公はココで一番頑張ります。だから、ある意味わかりやすいと思います。主人公が一番頑張っているところを探してください。
クライマックスってどんな感じ?という方は、こちらを参考にどうぞ。>>脚本で魅力的な クライマックス を書く方法
200ページの物語だとしたら、170ページから190ページあたりでしょうか。
ここがわかると、
①どんな主人公が
②どうなるのか
の、②の部分がわかります。
例えば、人はいいけど、いつも積極的に行動できない主人公だったら、最大のピンチをどう克服したいのかに注目していくと、②の部分を掴むことができます。
書きたいことを、一つに絞る
最初の10ページ「起」で、主人公のキャラを掴み、
真ん中のページ「承」で、主人公がどう困っているか、
最後の30ページ「転」で、最大のピンチをどう乗り越えたかを掴む
ことで、
①どんな主人公が
②どうなるのか
が掴めます。映画やドラマの場合は、ページ数を時間に変えれば、ほぼ一緒です。
あとは、一言でいうと何が言いたいのかを考えます。
たとえば、「かっこいいと思った」でも「信じられないと思った」でも「すごいと思った」でも「自分にはできないと思った」でも構いません。
絞った言葉に繋がる主人公の行動や考えに対して、自分がどんな風に思ったかを書いていけば、いっちょあがりです!
これで、原稿用紙3枚はうまるはず。
お子さんが作品をどうとらえ、どう感じたのか、ちゃんと感想文になってでてきますよ。
どうしても、本を読むのが苦手…というお子さんには
原作がある映画を観て、感想文を書くのも手かもしれません。考え方は一緒ですので、感想文の書き方として、ブログの内容を是非、参考にしてください。
もし、書くのが好き!映画が好き!というお子さんがいらっしゃれば、キネマ旬報社さんが実施している「映画感想文コンクール」という取組みもあります。こちらに挑戦してみるのも、いいのではないでしょうか。
詳しくはこちら>>映画と育む、コトバとココロ。映画感想文コンクール2018