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小説は地の文で「天・地・人」を表現

シナリオは「柱・ト書・セリフ」で、小説は「地の文・セリフ」で構成されているため、「天・地・人」を表現する方法も異なります。今回はこういったシナリオと小説の基本的な表現の違いを確認。「シナリオのテクニック・手法を身につけると小説だって書ける!」というおいしい話を、脚本家・作家であるシナリオ・センター講師柏田道夫の『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(「月刊シナリオ教室」)から紹介します。

小説は地の文とセリフで書く

小説の文章、表現について述べていきます。
シナリオはまず、○柱で、場面(シーン)の指定と、そもそもは照明のためである時間指定(昼は省略し、朝、夜、深夜など)をします。
小説にはこの柱指定がなく、シナリオのト書にあたる地の文とセリフで書いていきます。あるいは人物によるセリフ部分を、まるっきりの語り文として地の文的に書いていったり、書簡小説のように手紙文で書いていくといった手法もあります。

またシナリオのセリフは、

真美「私をどこに連れて行くの?」

というように人物指定をしますが、小説は「」でくくるだけですから、地の文で誰が喋っているかを分からせなくてはいけません。
あまりにも当たり前の違いですが、初心者の小説、あるいはシナリオ表現に慣れ過ぎた人の小説を読むと、こうした違いを理解しないままで書いている作品にたびたび出会います。

小説も書き出しが重要

さて、シナリオ、小説に限りませんが、物語は始まりのパーツ、【起承転結】の【起】で、天地人を明らかにしなくてはいけません。
いつの時代の(天)、どこが舞台で(地)、誰(人=主人公)の話なのか?といったことを読み手(観客、読者)に伝えなくていけない。
それが見えないままだと、読み手は描かれている世界に入っていけません。シナリオの場合はわりと簡単です。

〇渋谷スクランブル交差点(夕)
   日野真美(18)が人混みにとまどいながら渡る。

本来の「天地人を描け」というのは、ただ明らかにすればいいという意味ではなく、例えば「人」ならば、主人公など主要人物の人となり、キャラクターとしての魅力や人物像、境遇や抱えている事情などなど、きちんと表現しろという意味です。

それはともかくこの上記の文章でとりあえず、現代の渋谷の夕方頃で、日野真美という18歳の女性が物語の(たぶん)主人公であろう、ということは分かります。

小説の場合は、柱がないので地の文で描いていくわけですが、どう表現していくかは書き手次第になります。

まず選択しなくてはいけないのが人称と視点ですね。
“私は”という一人称だと、私が日野真美という名前や年齢、性別といった情報を、どう読み手に伝えるかを考えなくてはいけません。三人称の場合は“真美は”で展開させますので、とりあえず視点者が真美という名前なのだということは分かります。

問題は年齢であったり、真美の容姿や事情といった人物情報などをどう表現して伝えていくか?
シナリオ表現も同じなのですが、小説も書き出しで物語の世界に引き入れつつ、人物の紹介をして、どういう舞台で展開する物語なのかを、できるだけすみやかに読者に示すことが求められます。

脚本は最初のシーンと書き出しのト書を、小説の最初の一行目の文をどう書くか?
書き手は必死に、全精力を注ぐくらいに考えるべきです。

ともかく、物語(ストーリー)を進行させながら、そうした情報をいかにも説明ではなく伝えるか?
どう表現すれば、的確にかつ小説世界に読者を導けるか?

出典:柏田道夫 著『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』
(月刊シナリオ教室2014年7月号)より
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