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構想はあるのに形にできない時
第25回テレビ朝日新人シナリオ大賞より

構想はあるのに形にできない時/第25回テレビ朝日新人シナリオ大賞

第25回テレビ朝日新人シナリオ大賞。応募総数825篇(前回は957篇)。募集テーマは「ミステリー」。
先日、授賞式が開催され、大賞1篇、優秀賞2篇が決定。
近藤佳菜子さん(シナリオ作家養成講座 修了)の『告解』が大賞に輝きました!

こちらのブログでは近藤さんの受賞コメントとともに、選考委員の井上由美子さん、岡田惠和さん、両沢和幸さんの講評を広報の齋藤がリポート致します。

お読みいただくと、

・構想を練っている企画がなかなか形にできなくても諦めないこと。
・最後の最後まで視聴者を飽きさせない構成を考えること。

――この2点が大切なんだ!と感じていただけるのではないかと思います。

「構想はあるのに形にできない……」「どう仕上げていけば賞をとれるんだろう?」とお悩みの方は是非参考にしてください。

大賞『告解』 近藤佳菜子さん
「今回のテーマがミステリーだったからこそ書き上げることができた」

*

〇近藤さん: 私はずっと小説を書いてきたんですけれども、プロットがちょっと甘いのかなということを感じていまして、昨年思い立ってシナリオスクールに通いました。ちょっとやってみたら、シナリオってすごく面白いなと思って、できるだけチャレンジしてみようと思ってコンクールに応募するようになりました。

今回の『告解』という物語は「自分の正しさのために正直でいる人間」と「正しさのために嘘をつく人間」という2人の対比を描きたいと思い、ずっと構想を練っていました。「いつかミステリーにしよう」と思いつつ、なかなか形にできずにいたのですが、第25回テレビ朝日新人シナリオ大賞のテーマが「ミステリー」ということを知り「これはいいチャンスだ!」と思い、応募に至りました。

今回のテーマが「ミステリー」だったからこそ書き上げることができましたし、今この場に立たせていただけているので、いろいろなタイミングが重なったことも私にとってラッキーだったなと思っています。

シナリオを書き始めるまでは結構 一人で家で孤独に書いていましたが、シナリオスクール()で一緒に高め合える仲間が沢山できました。その方たちに良い報告ができるかなと。それから、長年創作を応援してくれた友人と、きっと大喜びするであろう家族にも伝えたいなと思っています。

長年、創作を続けてきたんですけれども、プロの方に自分の書いたものを読んでいただけるというのは、本当に私にとって夢のまた夢のような出来事でした。また、今日ここへ来て、自分のシナリオを読んでくださった方が確かにいるんだということを改めて実感できて、感謝と嬉しい気持ちでいっぱいです。いただいた賞を励みに、今後も精進していきたいと思います。

近藤さんが学ばれた「シナリオ作家養成講座」についてはこちらを。
体験ワークショップも実施しております↓
https://www.scenario.co.jp/general/writer/ 

審査講評:井上由美子さん
「大賞と優秀賞の差は本当に僅かでした」

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〇井上さん: 最終選考はいつも3人でやっていますが、全員推す作品がぴったり一致することはほとんどなくて。我々は結構温厚なほうなので揉めるようなことはありませんけど 笑、でも意見が分かれることで緊張感が漂う場面も時にはあります。特に今年の審査は僅差でした。最終的に何度か投票し、意見交換して、また投票したうえで受賞作を決めました。

私も最後まで迷いましたが、近藤さんの『告解』を一番に推しました。
派手な仕掛けはありませんが、しっかりとした軸のある物語で、現在捜査中の事件と過去の父親の事件が合わせ鏡のようになっているところが、「松本清張+北欧ミステリー」のようで魅力を感じました。登場人物の心情を丁寧に追いかけているところも、とてもいいなと思いました。

『盗作者たち』(寺井靖博さん作)はトリッキーな設定を活かした心躍る作品でした。登場人物全員に次々と盗作疑惑が出てくる構成。あるようでないお話で、とても工夫を凝らして書かれていて見事でした。いい意味で人物がシリアスになり過ぎていなくて、全体のタッチにエネルギーを生んでいると思います。作者の寺井さんには、どんな作品も書ける資質を感じました。

『清らかな慕情』(藤代耕平さん作)は「ミステリーという枠組みの中で夫婦を描こうとしている」という点にとても心惹かれました。他の作品が“重みのある犯罪”をメインにしている中で、“人の心の中のミステリー”に着目している本作は、個人的にとても推したいと思いました。また、「作者自身が書きたかったことを書いている」という点については、最終選考で残った作品の中で随一だったかもしれないと思います。

大賞と優秀賞の差は本当に僅かでした。いずれも「ドラマを描きたい!」という想いが詰まっており、そういう作品を受賞作品に出来て良かったと思っております。お三方とも、ドラマ界を底上げしてくれるような豊かな才能をお持ちだと思います。

脚本家は、この場では語り尽くせないくらいしんどいことが沢山あるんですけれども 笑、
それを補って余りある小さな喜びも時々ありますので、そういう瞬間を目指してこれからも頑張っていただければと思います。

審査講評:岡田惠和さん
「大賞『告解』の脚本は、すぐにでもプロになれるレベル」

*

〇岡田さん:レベルの高い選考で、3作品とも個性的でとても優れていると思っております。

大賞『告解』は、すぐにでもプロになれるレベルで、すごくよく推敲されている脚本だなと思いました。そして、俳優さんが「演じてみたい!」と思う脚本だと思います。選考委員の中で、少しだけ議論になったのはエピローグです。ヒロインが自分の命をダムに落としてしまうというラストシーンがちょっと、正しいような、勿体ないような、どっちなんだろう、ということを話し合いました。でも、現実的に映像ドラマとして観たい脚本になっていると思います。

優秀賞の『盗作者たち』は、「ミステリー」というお題だとどうしても人の命とかそういうことが題材になりがちなんですけど、「マンガの盗作」というネタ1本で、しかも、警察だとか組織だとか探偵だとかそういう役もなく、漫画家たちと編集者しか出てこない。すごくユニークな構成で、時間の飛ばし方もうまくて、本当によく出来た脚本だと思います。作者の漫画に対する愛情みたいものも描かれていたり、この道で働いている人のダメっぷりもなかなか爽快で、ステキな脚本でした。

同じく優秀賞の『清らかな慕情』は、なんとなく作者ご本人のキャラクターを彷彿とさせる、少しちょっとなんというか、チカラのない主人公というか……笑。最終に残った10作品の中で、一服の清涼剤というか、唯一 幸せに向かって行くミステリーでした。亡くなった妻が残していったミステリーを夫がだんだん知っていくという構成になっておりまして、非常に好感度の高いミステリーで、読んでいて楽しかったです。主人公のダメっぷりも含めて。
審査員の中で少し議論になったのは、“妻が残した手紙は、夫がある現実までちゃんと辿り着いたら読める” という仕掛けになっていること。「メッセージとして ほぼ届かないんじゃ……」という感じがちょっとだけあって、そこをもう一工夫できていたらな、と思いました。でも、読んでいてとても楽しい脚本でした。

審査講評:両沢和幸さん
「最後の最後まで緻密な構成で描き切ったところが大賞受賞作品の良さ」

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〇両沢さん: 井上さんが仰ったように意見が三人一致するということはあまりないのですが、大賞の『告解』は、実は3人とも点数が高かったです。非常に重層的な作りで、複数のストーリーが進行して、それが最後に結びついて、事件が解決する。構成の緻密さに非常に感心いたしました。
岡田さんが仰ったように、俳優さんがやりがいを感じられる役が沢山出てくるし、映像化したら観てみたいなという作品でございました。ラストシーンでちょっと意見が分かれたというのは、僕がハッピーエンドが好きなのでハッピーエンドにしてほしかったなあ、という個人的な感想でございます 笑。

『盗作者たち』は漫画家の盗作の話なんですが、ご本人は漫画家を目指いていたのかな?ああやっぱり。
現代の漫画事情が詳しく書かれていて、例えばアナログの漫画家とデジタルの漫画家が出てきて、要はGペンやミリペンで紙に直接描く人と、ペンタブレットやパソコンのソフトで作っていく人が出てきて、今は後者のデジタルの人が多いらしいんですけど、そういう内部事情がみたいなものが良く分かりました。ただ、割と早い段階で「犯人はこういう男だろう」ということが分かってしまうところがちょっと残念でございました。

『清らかな慕情』は亡くなった奥さんが実は不倫をしていたんじゃないかと疑惑を持つところから始まります。ミステリーといっても、“いい夫婦の話”という感じで、軽妙で、セリフもすごく良くて、前半は非常に面白かったです。後半の “落としどころ”については、先ほど岡田さんもチラリと触れていましたが、奥さんが残した手紙で全て判明してしまうんですけれども、そこがもう一工夫あるといいなと思いました。

3作品を比べてこういうことを言うのはなんですが、大賞と優秀賞の作品にもし差があるとするなら「最後の最後まで緻密な構成で描き切った」というところ、それが大賞をとった作品の良さかなと思います。他の2作品は、前半は非常に面白かったのですが、後半にもう一捻りというか、“最後の詰め”をもう少し考えていただけるとより良かったんじゃないかと思います。

*     *     *

 

次回の第26回テレビ朝日新人シナリオ大賞への応募を考えている方は、今回ご紹介した模様に加えて、これまでの「テレビ朝日新人シナリオ大賞」受賞者コメント&講評も是非参考にしてください。

第24テレビ朝日新人シナリオ大賞/物語の中で漫才シーンや歌うシーンを描くとき

第23回テレビ朝日新人シナリオ大賞/恋愛ものを書くときの参考に

第22回テレビ朝日新人シナリオ大賞/視聴者を惹きつける“もう一捻り”

第21回テレビ朝日新人シナリオ大賞/応募するならクライマックを意識

第20回テレビ朝日新人シナリオ大賞優秀賞受賞 長島清美さん/テーマ“25歳”で書いて

第19回テレビ朝日新人シナリオ大賞にみる/どんな脚本が賞 をとるのか

第18回テレビ朝日新人シナリオ大賞 映画部門・優秀賞受賞 川瀬太朗さん

第18回テレビ朝日新人シナリオ大賞にみる①/脚本コンクールで賞をとるには

第18回テレビ朝日新人シナリオ大賞にみる②/映画・テレビドラマ・配信ドラマの部門について

「この作品面白いな、できれば映像になったものを観てみたいなと思いました」

このコメントは、「第22回テレビ朝日新人シナリオ大賞」の審査講評において、大賞作品の受賞理由として、シナリオ・センター出身ライターの岡田惠和さんが述べられた言葉です。

審査員にこのように評価していただける作品を書くためにも、まずは土台となる“基礎”をしっかりと身につけていきましょう。
シナリオコンクールの受賞者の9割が、シナリオ・センターの受講生・出身生です。
受賞を狙っている方は是非、シナリオ・センター講座をご検討ください。

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