先日、シナリオ・センター代表 新井一樹 新刊『シナリオ・センター式 物語のみがき方』(日本実業出版社)の発売を記念して、出身ライターである土橋章宏さんとの対談イベント「物語のアップデート術 ― 『シナリオ・センター式 物語のみがき方』からひもとく土橋章宏の創作のリアル」(@ブックファースト新宿店)を開催しました。その一部を広報の齋藤がリポートいたします。
「物語を書き上げるだけでも大変なのに、直しの作業のことなんて考えられない……」という方。
今回ご紹介する模様をご覧いただくと、その意識がガラリと変わるはず!
是非参考にしてください。
物語を書き上げたら “ラッピング”を!
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〇新井:今回上梓したのはタイトルにもあるように磨き方の本なので、今日は「土橋さんは初稿をどうやって磨いているのか」というところを深堀りさせていただければと思っています。

〇土橋さん:この本を送っていただいたとき、ちょうど小説や脚本を書いていて、早速使わせてもらったんですよ。「主人公のキャラクターはこうだよね」とか、僕にとっては復習的な内容なんですけど、でも新しくバージョンアップされたシナリオ・センターの方式も書かれていて、「この本自体がよく磨かれているな」と感じました。
シナリオの作り方に関する本はいろいろありますけど、磨き方の本はなかなかないと思うので、作家になりたい方はこの本を使って自分の書いた作品を添削して、完成にさらに近づけていくとコンクールにも通りやすくなるんじゃないかなと思います。
〇新井:うわー!嬉しい!ありがとうございます。
〇土橋さん:物語を作っても、最後に“ラッピング”と言いますかね、ちゃんと綺麗に出来ていないと誰も買ってくれないということがやっぱりあるので。原石のままでは売れないから、自分が「いいものを書けたな」と思えば思うほど、ちゃんと最後まで磨いておいたほうがお客様の手に取っていただきやすくなる。物語が出来たからといって気を抜かずに、もう一回叩いてみる。直せば直すほど良くなっていくというのはすごくあるので。
〇新井:初稿を書き上げた後、自分で読み返して直す場合と、誰かに読んでもらって感想を聞いてから直す場合もありますよね。でも、人に見せて、いろいろ言われるのはイヤだという方もいらっしゃると思うんですけど、土橋さんは人からのアドバイスを聞くのはそれほど苦ではないですか?
〇土橋さん:はい、結構 素直なほうです 笑。じゃあ、ちょっとそうやってみるか、と。
ただ、自分が考える方法で進めたらどうなるか、みたいなこともあって。
こういうことは割と現場でやっていて、「どうしても自分の方法でやってみたいです」ってお願いしてやってみて「やっぱりダメだった」みたいなときもあるし、うまくいったときもあるし。そうやって実験していかないと正解が分からないので、何事も試さないと、という感じですよね。
一番良くないのは、書いたけど全然人に見せないこと。これが一番重症だと思います。ちっとも進歩しない。最初から上手く書けるわけないんだから。「人に見せれば直すチャンスが出来るぜ!」って、むしろ失敗したらラッキーくらいに思わないと。
〇新井:僕は、人に見せるのが苦手とか恥ずかしいっていう気持ち、分からなくもないんですよね。
でもやっぱり直すことは大切なことだから、「直すキッカケになれば!」という想いと、「直すことって楽しいんだよ!」という想いを込めて『シナリオ・センター式 物語のみがき方』を書いたんです。
〇土橋さん:やっぱり直すことで完成に近づいていくので。
それに、自分が描いた世界というのは、自分の描きたい事なわけだから、その世界がもっと良くなっていく作業は楽しいですよ。刀だって最後は荒くない目でしなやかに仕上げていくとピカッと光るじゃないですか。その瞬間が気持ちいい、という感覚と同じだと思うんですよね。
〇新井:そうなんですよね!そういう感覚を味わっていただきたくてこの本を書いたんです。だからタイトルを「直し方」じゃなくて「みがき方」にしたんです。ピカッと光らせてください!という想いを込めて。

物語を磨くポイントは俯瞰すること
〇新井:参加者の皆さんからご質問をいただいております。
Q:物語を磨くためにはまず「ここはあまり良くない」「ここを直す必要がある」と自分自身で気づかなければいけないと思うのですが、その能力はどのように磨くことができるのでしょうか。
土橋さん、いかがでしょうか。
〇土橋さん:俯瞰すること。なんですけど、今日はマル秘のテクニックを。
〇新井:え!すごい!何ですか!
〇土橋さん:大抵いまはパソコンで書くじゃないですか。で、書いた後、そのまま見直すのではなく、紙に印刷して見直すと、俯瞰しやすくなります。さらに、そのときに文字のフォントを変えてみるんですよ。そうすると他人の作品に見える。例えば、ギャル文字にして印刷するとかね、「あ、これギャルが書いたのか!」って客観的に見える 笑。
〇新井:明朝体とかゴシック体とかそういうレベルじゃなくて 笑。
〇土橋さん:それでもいいんですけど、なんか雰囲気をガラリと変えるとね、俯瞰しやすくなるから。
〇新井:おもしろい。すごくいい方法ですね。
〇土橋さん:あとは、書いたら、時間を置くことですよね。1~2日寝かせると、自分が入り込み過ぎているときは脱却できるので。一週間寝かせる余裕があるとさらにいい。ただし寝かしすぎると忘れます。
でも一番いいのはやっぱり人に見てもらうこと。シナリオ・センターには有料ですけど「シナリオ診断」というのがあるから。僕も『超高速!参勤交代』のときに先生にみてもらいました。先生のアドバイスのおかげで上手くいった経験があるので、やっぱり人の声は大事だなって思います。

〇新井:あと、ひとつお聞きしたいことがあって。どのタイミングまで磨くか。どの時点で磨き終えるか。締切日がある場合は、その日まで、ということもあるとは思うのですが。
〇土橋さん:直しはループするときがあるんですね。例えば、直していて気づいたら、「A」と「B」を繰り返していた、とか。そこまでいったらストップします。もうAでもBでもどっちでもいい、という感じですね。
あと、物語の場合はあまり直し過ぎるとね、自分の話に飽きちゃうので、ほどほどにしておいたほうがいいときもあります。10回も20回も読んでると「あれ?つまらないかも……」と思ってしまうときがあるので。
だから、直しは自信をもってやればいいと思います。つまらなく思えてきても「何回も読んでるからそう思えてきただけで、最初読んだときは面白かったんだ!」と思ってやれば、いいタイミングで直しを終えられるかなと思います。
〇新井:それでは最後に、「物語を書きたい!」という方に向けてエールをいただけますか。
〇土橋さん:物語を書くというのは、作家になるということだけじゃなくて、普段の生活でもすごく役に経つんですよね。
以前、売れっ子のホストさんを取材したときに「なんでそんなにモテるんですか?」って聞いたら、「常に相手を喜ばせようとしてる」って。これは、物語を書くこと、特にエンタメを書くことに通じるんじゃないかなと。
エンタメを書こうと思ったら、普段の会話で「なにかひとつ面白いことを言おう!」「相手を喜ばせよう!」とか、そういう視点になると思うんですよ。そうやって日常でちょっと気にかけるだけで、「あいつ面白いじゃん!」って、周りの自分を見る目も変わるし、自分の人生も豊かになっていくと思うんですよね。
だから、物語を書いて、作家を目指してもいいし、作家にならなくても人生が豊かになっていくので、楽しんで書いていくのがやっぱりいいかなと思います。決して苦しいことではない。「書くのも楽しいし、そのあと磨くのも楽しいぞ!」って。ただの趣味で書いてたら、賞を取ってしまって作家になるパターンもあります。
〇新井:そうですよね。物語を作りたいと思っている皆さん。土橋さんが仰った「いかに日常の中で相手を楽しませるか」ということを、『シナリオ・センター式 物語のみがき方』の中では「エンタメ化への地図」というカタチでお伝えしていますので、ぜひその部分もチェックしてみてください。
〇土橋さん:で、本に書いてあるのは「理論」ですからね。物語を作るには「理論」と「実践」が肝心になります。ということで、シナリオ・センターに通って「実践」(※)のほうも笑。
シナリオ・センターに行けば、講座やゼミで磨いてもらえるし、創作仲間もできるし、日常がすごく楽しくなるんじゃないかなって思いますね。
※シナリオ作家養成講座とシナリオ8週間講座はオンライン受講も可能です。詳しくは講座のページへ。
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終了後はサイン会を実施。

サインの列には中学生の男の子の姿が。なんと小学生・中学生向け創作教室「考える部屋」のメンバーでした!
聞くところによると、これまでの創作経験を活かした大学受験を検討しているとのことで、それに向けて「創作コンクールにも挑戦してみたい。でもそのためには書き上げた作品をもっと磨かなければ!」という想いで、今回お母様とともに参加してくれたのだそう。その経緯を聞いて新井、感激!
また、土橋さんにもサインをしていただける絶好のチャンスとあって、『号外! 幕末かわら版』『水上のフライト』『いも殿さま』『身代わり忠臣蔵』などの土橋作品を手に、サインの列に並ぶ方々が沢山いらっしゃいました。中には、「今日のお話を聞いて、こうやって磨いているから、土橋作品は心に残るんだなあと改めて感じました」とお話ししてくださる方も!
本当に、今回のイベントは物語を書く楽しさと磨くことの大切さを感じることができた貴重な機会になったのでは、と思います。
「面白い物語を書きたい!」という方は、今回ご紹介したコメントとともに、新井の『シナリオ・センター式 物語のみがき方』を参考にしてください。そして、その“磨く”という研鑽がどのように結実するのか、その代表例として土橋作品を堪能していただければと思います。
新井一樹 著書ご紹介
――物語をブラッシュアップする方法はこちらで是非↓

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▼『シナリオ・センター式 物語のみがき方』(日本実業出版社)
※こちらのブログも併せてご覧ください
▼コンクール前に悩まないために!『シナリオ・センター式 物語のみがき方』発売開始
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▼面白い物語になっているかチェック!『シナリオ・センター式 物語のつくり方』
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▼物語を書き出せない方・挫折してしまう方も書きたくなる!/『シナリオ・センター式 物語のつくり方』刊行記念対談より
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▼あなたのアイデアを、物語に仕上げるための『シナリオ・センターが伝える 14歳からの創作ノート』
▼脚本家・政池洋佑さん流 創作術/新井一樹 出版記念対談より
・出版記念イベントとして開催した特別講義「頭ひとつ抜けた小説を書くためのシナリオ・センター式 創作術」
▼【カクヨム】アーカイブ動画&書き起こし記事
「物語を書きたい!」と思ったらまずは基礎固めを。
「基礎さえしっかりしていれば、いま書いているライターぐらいには到達することは可能です」と、新井一は言っています。“最初の一歩”として、各講座に向けた体験ワークショップもオススメです。
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