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しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。

落選・駄作・グダグダを経て賞をとるまで
日テレシナリオライターコンテスト2024 受賞者に学ぶ

落選などの試練を経て賞をとる/日テレシナリオライターコンテス2024

今年で開催2回目となる「日テレ シナリオライターコンテスト2024」。

応募総数954作品(前回1040作品)の中から、大賞1作品、準大賞1作品、佳作1作品、特別賞4作品が決定。そのうち、シナリオ・センター出身のこちらの3名の方が受賞されました。

☆大賞
『モスト・ワースト・ファーストラブ』瀬戸大希さん(元本科)

☆特別賞
『骨から愛して』豊田滋さん(元研修科)
『ジャック!』藁品優子さん(元研修科)

受賞のコメントをいただきましたのでご紹介。

シナリオコンテストで賞をとって脚本家になりたい。

だけど

・落選が続いて落ち込んでいる
・駄作ばかり書いているような気がする
・グダグダしていて書く気が起こらない
――という方、必読です!

お三方の言葉を参考にしていただき、シナリオコンテストの応募を続けてください。
(広報:齋藤)

大賞『モスト・ワースト・ファーストラブ』瀬戸大希さん
「たくさんコンクールに出して、たくさん落選して」

=あらすじ==
モテたことのない杉山正宗(25)。趣味や同期とのつながりがなく、友人は大森太のみ。ある日、年収を偽ってマッチングアプリで出会った美女・川崎彩子(24)とデートすることになるが人生初のデートということもあり大失敗に終わる。その帰り道、彩子は通り魔に刺殺され、最後を看取ったことで、正宗は彩子の両親から彼氏だと勘違いされてしまう。実際はデート中に彩子は友人の滝口真亜子に「キモイ」「死ね!」などとメールを送っており、最初で最後にして最悪のデートだった。だが、悲しむ両親を見て本当のことを言い出せない正宗は葬式に出席。後日、勇気を出して真実を話すが、両親からは親戚もいる手前、面目を保つためにも、四十九日の法要までは彼氏でいてほしいと説得される。彩子の両親は、娘とは一切会話もせず、自分たちの世間体しか考えていないダメ親だった――。

――受賞のご感想

〇瀬戸さん:「日テレ シナリオライターコンテスト」は前回も応募しましたが、1次審査に残っていません。

今回の『モスト・ワースト・ファーストラブ』は、初めて自分の魂をこめて書くことができた作品で、すごく愛着もあったので、選考途中で「もしかしたら……」「あわよくば……」「まさか!」と期待はしていました。

とはいえ、大賞を取れると思っていなかったので受賞は驚きました。

――本作を書こうと思ったキッカケ&作品に込めた想い

〇瀬戸さん:「まっすぐではない歪んだ愛情表現があったら……」と思ったからです。

理由は、自身の恋愛経験です。相手にされず音信不通になった女性のことが気になり、その子のことをもっと知りたいという不思議な感情を持ったことがあって、その出来事をかなりデフォルメすることで、今までにないドラマを描けるんじゃないか、と思いました。

――今回、挑戦したこと&こだわったところ

〇瀬戸さん:冒頭のインパクトやラストシーンだけを決めて、そこに自分なりの辻褄、自分なりの正しさ、面白さ、が乗るように構築しました。

いわゆる3幕構成や脚本構造を頭には入れつつも、そこに固執しすぎずに書いたことは挑戦でした。

こだわった点は、サブキャラクターを印象的にみせることです。主人公が理屈ではない行動を取るので、サブキャラがそのバランス(客観的、一般的な視点)を取るような役割にしました。

――シナリオ・センターで学んだことで今回役に立ったこと

〇瀬戸さん:ゼミの課題は「20枚シナリオ」なので、短い尺のシナリオを書くわけですが、「短尺の中でいかに最短でゼミ生の関心を惹くか」「どのゼミ生にも伝わるようなキャッチーなものを作ることができるか」といった意識づけをすることができ、本作を書く上で非常に役に立ちました。

――受賞がキッカケで生まれた想いや今後の展望

〇瀬戸さん:今回の受賞はスタートラインだと思うので、ここで得た出会いやキッカケを大切にして、まずは1作・1話を手掛けられるようになりたいです。

テレビドラマを中心に映画やアニメなどさまざまなジャンルの物語に携わっていければと思っています。

将来的にはオリジナル10話をひとりで書き上げたい!

また、男性主役のラブストーリーやヒューマンストーリーも作ってみたいですし、ミステリーや医療ものもやってみたい!!

それから、地元・富山の話も書きたいです!!!

――脚本コンクールで賞をとりたい方に向けたメッセージ

〇瀬戸さん:たくさんコンクールに出して、たくさん落選した私でも賞を取ることができました! 

シナリオ・センターに通っている皆さんなら絶対チャンスがあると思います。

特別賞『骨から愛して』豊田滋さん
「駄作をいっぱい書けと言われ、駄作をいっぱい書きました」

=あらすじ==
骨に過剰なまでに意識を向けることで、人間を骨の集合体、つまり、物体と捉える「骨マニア」の接骨院の院長・楠本。美しすぎる「骨」と出会い、挫折、失敗を経て、人間という物体を支配する「心」の存在に気付かされ、「愛」に目覚めていく。そんなストーリー。

――受賞のご感想

〇豊田さん:前回は応募していないので、このコンクールは今回が初めてになります。

びっくりしたというより、意外でした。短期間で勢いで書いた作品だったもので。

他者から評価されるされないは別として、書き終えて、自分の中では確かに、面白いモノが書けた、という感触はありました。

――本作を書こうと思ったキッカケ&作品に込めた想い

〇豊田さん:自分が住む街の駅前商店街が、残念ながら寂れたシャッター通りと化しています。そこを舞台に書いてみようというのが発端です。

一軒の全く流行らない接骨院がそこにあり、そしてその接骨院の院長が、極端な変わり者……という風に、イメージを積み重ねていきました。

作品に込めた想いは後付けになってしまいますが、こだわりや思い込みや執着を捨てると、新しい世界が開ける。ということになろうかと思います。

――今回、挑戦したこと&こだわったところ

〇豊田さん:先ず設定からして挑戦でした。真面目にお仕事をされている接骨院の経営者の方々から、お叱りを受けるのではないかと。

登場人物もまた、一風変わった人ばかりです。よって、コンクールの最終選考の面談の際、「どんな変わったヤツが現れるのか」と審査員のプロデューサーの方々は思ったそうです。

話は逸れましたが、その分ストーリーはオーソドックスに、普遍的なハッピーエンドを目指しました。

――シナリオ・センターで学んだことで今回役に立ったこと

〇豊田さん:教えるというよりも、気付かせる。今振り返ってみると、シナリオ・センターの方針とはそれだったのかと思います。

「駄作をいっぱい書け」と言われました。その通り、駄作をいっぱい書きました。

結果、駄作を積み重ねた果ての、今回の受賞作です。

――受賞がキッカケで生まれた想いや今後の展望

〇豊田さん:歳も歳ですので、展望と言っても限度がありますが、今はとにかく面白いモノが書きたいです。

書くことに無しに、展望は開けないと考えています。

――脚本コンクールで賞をとりたい方に向けたメッセージ

〇豊田さん:たまたま一度賞を獲ったぐらいで、偉そうに言えることなど何もありません。

たった一つだけ、あえて言わせてもらえるならば、諦めずに書き続けることだと思います。

宝くじは買わなきゃ当たらないのと一緒です。

特別賞『ジャック!』藁品優子さん
「どうにか見出してもらえるように書いて書いて書き続けよう」

=あらすじ==
家族を事故で亡くし、大学を中退した吉住朝陽(21)。闇バイトで出会った神崎辰也(24)とともに指定された家に赴くと、男の遺体と金庫を発見する。そこへ来栖玲(14)が現れ、遺体を処分すれば純金のインゴットを渡すと取引を持ち掛ける。頭の切れる玲に振り回される形で吉住と神崎はそれを承諾。かくして男の遺体を乗せて、3人の逃避行が始まる――。

――受賞のご感想

〇藁品さん:このコンクールの応募は初めて。

シナリオを書き始めてから10年ほど経つのですが、ここ数年モチベーションが保てず筆をおいていた時期がありました。

グダグダしていたある時、偶然シナリオ仲間に出会う機会があり、「書き続けないともったいないです!」と励まされ、今年の春からコンクールへの応募を再開し、その流れで今回応募しました。

上手く書けたとか、自信のある作品ではなく、かなり荒削りな作品だと思っていたので、受賞のご連絡をいただいたときは本当に驚きましたが、今はその“粗削り”な部分がよかったのかもしれないとも思っています。

――本作を書こうと思ったキッカケ&作品に込めた想い

〇藁品さん:当時、娘が大学受験を控えており、やきもきしつつ、ただ見守るしかない時間を過ごしていました。

感染予防のため、旅行や飲み会なども控えていたので、ストレス発散のためにできるだけ派手で、あちこち移動する話にしようと思い立ち、テーマを「逃避行」に決めました(笑)。

主人公の吉住の抱える秘密は始めから考えていたわけではなく、書きながら彼の性格や行動・言動を突き詰めた結果、見えてきたものでした。単なる逃避行ものではなく、いくかの「秘密」をベースに展開したことで物語に勢いが増したんじゃないかと思っています。

――今回、挑戦したこと&こだわったところ

〇藁品さん:シナリオ・センターのゼミで課題を発表したときや、シナリオS1グランプリで賞をいただいた際に()、講師や最終審査員から「もっと主人公を困らせなさい」と言われたことを思い出し、とにかく主人公一行を「困らせまくろう」と思いながら書きました。

いろんな乗り物を取り換えながら進んでいく逃避行の話なので、「ひとつの乗り物につき、最低1回は困らせる」という“謎ルール”を作って、とにかく困らせました。

ただ、今読み返すと偶発的にトラブルが起こっているように見えるので、もっと主人公はじめ、登場人物の性格由来の障害をぶつけたほうがよかったなと反省しています。今後はもっと“キャラクター由来の障害”を意識して書こうと思います。

藁品さんは2018年第34回で佳作を、2020年第39回で奨励賞を受賞されています。

――シナリオ・センターで学んだことで今回役に立ったこと

〇藁品さん:技術的なことはもちろん、本当にいろんなことを学ばせていただいたのですが、シナリオを書く上でいつも思い出すようにしている先生の言葉が二つあります。

一つは「シナリオは、知人の家で見せられる結婚式のホームビデオ」というものです。

知人の家に遊びに行き、「ねえ結婚式のビデオ見てよ」と、知人の結婚式のビデオを延々と見せられる。新婦入場、誓いのキス、友人の余興、両親への手紙――。

知人にとっては唯一無二の結婚式であっても、見せられている側からすれば予定調和で正直大して面白いわけでもない。あなたたちの書くシナリオはそれだと思ってください、と。

でも、例えば、新婦を待つ新郎がパンツ一丁だったらどうか?

誓いのキスを促す神父が突然号泣し始めたらどうか?

退屈な結婚式のビデオも途端に面白くなる。シナリオを書きながらいつも「このシナリオは他人の家のホームビデオになっていないか」を意識するようにしています。

もう一つは「見出されるべき人は、見出されます」という言葉です。

受け取り手やその状況によって絶望にも救いにもなる含蓄のある言葉ですが、私は希望の言葉として常に頭の片隅に置いていました。「見出される」ためには勿論作品を世に出さなければいけない。

どうにか見出してもらえるように書いて書いて書き続けようと思います。

――受賞がキッカケで生まれた想いや今後の展望

〇藁品さん:最終選考の面談や、授賞式後の懇親会などで様々な方に「シナリオライターとしての強み」を聞かれました。

それまでの自分は「コメディからシリアス、恋愛ものからミステリーまでいろんなジャンルを書けます」と答えていたのですが、多分それではプロとして大成できない。この人にしか書けない強いキャラ、この人にしか書けない世界、この人にしか書けない展開。プロの世界ではそういったものが大切になってくるんだなと実感しています。

私の作品は「ジェットコースターのような展開の速さと勢い・それを裏付ける強いキャラクター」を褒めていただけることが多いので、今後はその強みを生かして、自分にしか書けない物語を突きつめたいと思っています。

――脚本コンクールで賞をとりたい方に向けたメッセージ

〇藁品さん:「賞をとろう」「うまく書こう」と思わないことかもしれません。

持論でしかないのですが、「うまく書こう」とすると、どうしても展開を急ぐあまり、心理描写が曖昧になったり、主人公が壁にぶつかるシーンがおざなりになり、結果的に共感ポイントが下がるような気がします。

受賞するために作品を書くのではなく、自分の納得する作品を書ききる。

それを何度も続けるうちにいつか「見出される」のではないかと思います。

 

*     *     *

 

お三方のコメントをお読みいただくと、なんだかヤル気・書く気が出てきたのではないでしょうか。

前回の「日テレシナリオライターコンテスト2023」もその他のコンクールでも、シナリオ・センター在籍生や出身生の方々がたくさん受賞されています。

こちらの記事も併せてご覧いただき、モチベーションを上げていただければと思います。

日テレシナリオライターコンテスト2023

第33回橋田賞 令和6年度橋田賞新人脚本賞

脚本コンクールTBS NEXT WRITERS CHALLENGE 2024

伊参スタジオ映画祭2024 第20回シナリオ大賞

第36回フジテレビヤングシナリオ大賞

第50回城戸賞

第49回創作テレビドラマ大賞

シナリオは、だれでもうまくなれます

「基礎さえしっかりしていれば、いま書いているライターぐらいには到達することは可能です」と、シナリオ・センター創設者の新井一は言っています。“最初の一歩”として、各講座に向けた体験ワークショップもオススメです。

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過去記事一覧

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