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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

暑い夏

福田村事件チラシ

8月

シナリオ・センター代表の小林です。8月も終わります。暑い夏も終わってほしいですが・・・。
8月は日本にとって忘れてはならない月です。
広島・長崎の原爆の日、敗戦記念日、もちろん8月だけでなく、6月23日沖縄慰霊の日もありますし、8月15日では戦争は終わっていませんし、8月だけが問題ではありません。
毎年8月にあふれる戦争・平和報道は、マンネリ化を揶揄して「8月ジャーナリズム」と呼ばれています。
内容が定型化しているのは、コピペといわれる総理大臣の言葉だけではなさそうです。

8月には原爆・空襲・疎開・引き揚げなどの過酷な被害者体験と、特攻隊、玉砕戦などの兵士の犠牲体験という報道します。
悲惨なことが沢山あり、今もなおそれを引きずらざるを得ない方々もたくさんいらっしゃいます。
今も、戦争が終わっていない方はたくさんいらっしゃる、毎年の報道に心が痛みます。
唯一の被爆国であり、戦争放棄をした国ではある日本は大きな被害を受けました。
もちろん、そういう方々の傷の深さを忘れてはいけませんが、戦争を始めたのは日本だったこと、慰安婦問題も含めて、戦争の中での残虐行為、侵略、植民地支配をしていたこと、加害者だったことも忘れてはいけないのです。とくにお上は。
そして、ジャーナリズムは、常に過去曲げることなく真実を追求し続けなくてはいけないのです。
日本が起こした戦争の歴史をきれいごとにしてはいけないのです。
事実は事実として、痛みは痛みとして、反省の上にたたなければ同じことを繰り返すだけです。
ドイツのナチス教育のように、私たちも誰が何のために戦争を起こし、何をしてきたかは最低限知るべきであり、心に留めておくべきだと思うのです。
勝手ばかりやるお上を、歴史から学ぼうとしないお上を、正せるのは、ジャーナリズムの力だと思うのです。
頭も心も定型化してしまったジャーナリズムは、お上に取り込まれているジャーナリズムは目覚めて欲しい。本当に、心あるジャーリストは、いないのでしょうか。動けないのでしょうか。

関東大震災

昨日、NHKのクローズアップ現代を見ました。
関東大震災で起きた朝鮮人虐殺を取り上げ集団化して暴徒になる怖さを追求していました。
明日9月1日は、関東大震災が起きて100年目になりますが、国民の半数は、もう関東大震災を知らないそうです。その後に起きた朝鮮人虐殺のことももちろんご存じないでしょう。残念なことです。

出身の森達也監督が関東大震災後に起きた映画「福田村事件」を撮られました。
「福田村事件」というのは、関東大震災から5日後、朝鮮人と間違えられて、香川から来た薬の行商人15人のうち子ども妊婦を含む9人が、福田村自警団を中心に100人あまりの村人に虐殺された事件です。

森監督は、まったく普通の市井の人が加害者になる集団の怖さを描いています。
不安や恐怖を感じた瞬間、集団の中にいたい。異物を排除し、家族、同胞を守りたいという意識は誰にでもあるものです。
それまで穏やかな日常を送っていた人々が、自分たちを守るために、突然加害者に変わっていく姿は、決して昔のことではなく、今も起こりうる、いえ、起こっていることなのです。
100年前は、テレビもラジオもない時代ですから、新聞が情報源でした。
国から言われた自警団を作れ、朝鮮人から守れという情報を新聞が掲載し、忠実にそれを守ったのが村人たちだったのです。
如何に集団行動に取り込まれずに己を貫き通せるかというのは難しいことです。
ただ、福田村事件でもそうですが、マスコミがきちんとした情報を流すことで、未然に防げることはたくさんあるように思います。

今も昔も、国からの情報を単に垂れ流すのではなく、見極める目を持ちアナウンスする、それがジャーナリズムであり、マスコミの仕事ではないかと思います。
100年前、戦中と同じことをしている今、まず、目覚めるべきはマスコミだとしみじみ思いながら「クローズアップ現代」を見ていました。

映画「福田村事件」は、負の歴史から学ぶ、失敗から学ぶためにも、今こそ是非見るべき映画だと思います。
9月1日から、テアトル新宿始め、全国上映となります。

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