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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

熱き想い

終わった人 プログラム

関東大震災

シナリオ・センター代表の小林です。今日は関東大震災から100年目。防災の日です。
100年目ということで、今年は関東大震災の特集がテレビや新聞などでも多く取り上げられています。
昨日も福田村事件の話をさせていただきましたが、大地震という自然災害だけでなく、人的災害があったことがマスコミもクローズアップしたことは今までにないことのような気がします。
小学生の作文が脚光を浴びていましたが、曇りのない目で見たことが記録として残っていたことに、とても嬉しい気持ちになりました。
なにしろ、この国のお上は、気に入らない過去はないことにしちゃうんですから。
昨日も松野官房長官は、朝鮮人虐殺について「政府内において事実関係を把握する記録は見当たらない」と虚言、まさに政府がデマを飛ばすんですから信じられません。
記録は残っています。公文書としても裁判記録としても。
お上が先頭に立って、歴史を歪曲し、過去をなかったことにしようとする、しかも事実関係を調査しようともしない。
言い張っちゃえばなんでも通ると思っているお上に恐怖を感じます。
お上の言うことを鵜のみにしないで、私たちはちゃんと事実をみつめて、私たちの考え、想いを言葉にし、声を挙げないと、ひどい世界へ連れていかれてしまいそうです。

終わった人

出身ライター内館牧子さんの小説「終わった人」がリーディングドラマになり、昨日は草月ホールに見に行ってきました。

「終わった人」高齢者4部作の第一弾として2015年に刊行。
その後、皆さんご存じのように、「すぐ死ぬんだから」「今度生まれたら」「老害の人」とどんどん切っ先は鋭くなりながら、高齢者を描いていらっしゃいました。
内館さんとほぼ同年代の私としては、内館さんの小説は、常に小気味よく、よく言ってくれたという女性目線とともに、経営者としてまだここにいる私自身へ刃を向けられたりしながら、読んでいました。
その第一弾「終わった人」を舞台にしたいと思われたのは中井貴一さん。
だんだんその年代に近づかれているからこそ「演じてみたい。舞台化したい」というそのお気持ちはとてもよくわかります。

中井貴一さんとキムラ緑子さんのおふたりで演じるこの舞台、朗読ではなく、あえてリーディングドラマと言っているのは、「読む行為で言葉を躍動させ、舞台に立体的なドラマを創り出す」今までにない舞台だからだそうです。
メインの夫婦役はもちろんのこと、他の登場人物もおふたりで演じ分けます。
まあ、そのふたりの軽妙なこと。演じ分けのうまいこと。
内館さんは「本当に中井さんとキムラさんが演じて下さるの?嬉しかったですよ。
結婚って男と女が長い間一緒にいて、慣れていく過程で太々しくなったり、身勝手になったり、夫側にも妻側にもそれぞれの変化があって夫婦の形が変わっていく。このふたりならそのへんはいやになるほど伝わるでしょうね」と。
内館さんが思われた通り素晴らしい舞台になりました。
二人の丁々発止の掛け合いに思わず身を乗り出してしまうほどでした。
セリフがもう胸に突き刺さる。特に、妻のいい分には喝采を叫ぶ女性たちの笑い声が高々と劇場内を響かせていました。

妻から卒婚を切り出される。離婚はしないけれど、お互い縛り合わないで好きに暮らす卒婚。
夫は故郷へ帰り、妻は自分が経営する東京の美容院でがんばる選択をします。
クールな妻が、お姑さんに挨拶くらいはするわと盛岡まで追ってくる夫婦の愛を感じさせる泣かせるラストシーン、おふたりがしみじみ演じられて。
でも、一緒にみていた友人は「ラスト気に入らない!甘い!私なら突き放す。」と。内館さんの小説より現実の妻こわ~!(笑)
ともかく面白い小説をまた見事に面白く聞かせるすてきなリーディングドラマでした。

お芝居をご覧になれない方は、小説を読んでいただきたいですね。
読んだらお互い連れ合いに色々言いたくなりますよ。(笑)

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