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しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。

第48回城戸賞受賞者に学ぶ
自分の想い・仕事・経験を物語にするとき

第48回城戸賞受賞者に学ぶ/自分の想い・仕事・経験を物語にする時

普段思っていること、経験したこと、仕事のこと、をもとに物語を書きたい方。

“映画脚本の登竜門”といわれる第48回城戸賞(選考対象脚本359篇)において、『ひび』という作品で準入賞を受賞した竹上雄介さん(元通信作家集団)と、『獣医はステキなことだらけ』で佳作を受賞した島田悠子さん(元通信作家集団)のコメントを参考にしてください。

竹上さんはコロナ禍で感じたことを、島田さんは前職のことをもとに、今回の受賞作を書かれました。お二人のコメントから、自分の考えや経験をどのようにして物語に昇華していったのか、お分かりいただけると思います。

竹上雄介さん
登場人物全員に何かしらの“おかしさ”を

*

==『ひび』あらすじ==
恋人に捨てられてから自堕落な生活を送る女・深子(35)。ひび割れた心をなんとか保ちながら過ごしていたが、ガサツで無神経な男・蟻田(45)が隣の部屋に引っ越してきたことで、深子の心はさらにひび割れていく――。

――受賞作『ひび』を書いたキッカケ

〇竹上さん:この作品はコロナが始まった頃に着想を得ました。

お酒が好きなのですがコロナ禍になってから飲み会が減り、家にいることが増えました。最近笑ってないなぁとか、愚痴を言ってないなぁなんて、ふと自分の喜怒哀楽が失われているように感じたんです。きっと同じように誰とも会わず、感情を抑え込み、心が壊れている人もいるだろうって。

そんな閉じこもった人間が、最後に溜めていたものをめちゃくちゃに開放する、そんな作品を書きたいなぁと。物語を進めるために失恋要素を加えましたが、ベースはそこですね。

実は、何人かに読んでもらったとき、元カレの結婚式に乗り込んだ後が見たいと言われたのですが、復讐劇ではなく、主人公の成長物語を描きたかったので、主人公の感情が爆発して走り出すラストにしました。

――特に今回こだわったところ

〇竹上さん:ストーリーが激しく動くジェットコースターのような作品が好きなのでいつもは展開重視ですが、今回は会話をメインにしました。理由は、セリフで勝負してみたかったのと、何よりも「セリフが面白いね!」と言われてみたかったからです。

それから、絵が浮かびやすくなるよう、登場人物全員に何かしらの“おかしさ”をもたせました。おかしいけど憎めない。特に主人公2人の掛け合いはそこを意識しました。

また、心がひび割れていく様子を、スマホ・看板・お煎餅などに例えて、途中途中に入れました。入れすぎるとダサくなりますが、閃くと全て詰め込みたくなる性格が災いし、随所にひびを盛り込んでしまいました(笑)。

――脚本コンクールへ応募することについて


〇竹上さん:コンクールに応募していると、当然結果を求めてしまいますが、コンクールなんて“運”と“好み”。振り回されない、コンクールなんかに人生を捧げない。の境地で日常を楽しむと、意外とネタが転がってきます。

※竹上さんが第15回南のシナリオ大賞で優秀賞受賞された際のインタビュー記事はこちらで。
興味が湧くこと 見つけたいなら

島田悠子さん
現場を知る人にしか書けない街の動物病院を舞台に

*

※なお、島田さんは城戸賞の受賞が今回で4度目。
第42回では佳作を受賞。
・受賞作『大江戸ぴーちくぱーちく』は『月刊シナリオ教室 2017年8月号』に掲載

第46回では準入賞を受賞。
・受賞作『御命頂戴!』は『月刊シナリオ教室 2020年5月号』に掲載

第47回では佳作を受賞。
・受賞作『薄氷(うすらい)』は『月刊シナリオ教室 2022年3月号』に掲載

==『獣医はステキなことだらけ』あらすじ==
大学三年生の夏休み。獣医学部の学生・夏凪渉(21)は地元の動物病院に臨床実習に行く。そこは実家の犬猫も世話になった馴染みの病院。きっとステキな経験になるだろうと、夏凪の胸は期待で膨らむが――。

――受賞作『獣医はステキなことだらけ』を書いたキッカケ

〇島田さん:これまでの受賞作は全て時代劇。審査してくださるプロデューサーさん方から「現代劇は?」と何度も聞かれていました。

また、獣医経験があるので、「題材として扱わないの?」「現場を知る人にしか書けないものがあるのでは?」と聞かれたこともあって、それにも応えたいと思いました。

――今回、自分の経験も交えながら書いて感じたこと

〇島田さん:私は獣医大学出身で現場の経験もあり、また、夫が現役の獣医師ということもあって、獣医の世界は身近すぎて俯瞰できませんでした。動物の命を預かる現場だし、書こうとすると肩に力が入り過ぎるのが自分でもわかっていて。

実際に書いてみると、やっぱりつらいところはありましたが、でも楽しいところもちゃんとあって、書いてよかったなって思っています。

獣医の現場は本当にハードで、作中のエピソードは全部が全部ではないですけど、実体験に基づいたものもあります。

獣医という仕事は、犬や猫だけでなく、牛や馬や豚などの畜産関係や、その他にもかなり幅広くお仕事があるんです。

その中で今回は、街の動物病院を舞台にしました。小動物獣医は、動物を助けたいと思う一方、動物たちが死ぬ場面に出会うのが多い職業でもあります。獣医としての“基本のき”ではないかと思い、ここを舞台にしました。自分の気持ちが熱いうちに、1週間くらいで書きました。

――脚本を書くとき 大切なこと

〇島田さん:今回は獣医師の夫に脚本のチェックをしてもらいました。

以前、屋久島の物語を書いたときは、屋久島の役場に電話をして方言指導の方を紹介していただきました。

専門家に聞くことに臆病になる必要はなく、礼儀正しく丁寧にお願いすれば、助けてくれる方はちゃんといます。

こういったことも、脚本を書くときは大切なのではないかと思います。

*     *     *

『月刊シナリオ教室 2023年4月』には、お二人のWインタビュー・受賞のことば・受賞作のシナリオを掲載。城戸賞ほか脚本コンクールへの応募作品を書くときの参考にもなりますので、是非ご覧ください。

「シナリオの書き方を基本から知りたい!」という方は、お二人もお学びいただいたシナリオ・センターの基礎講座(シナリオ作家養成講座/シナリオ8週間講座/シナリオ通信講座基礎科)に是非。創作経験の有無は関係ありませんので、“初心者”の方もお気軽にご参加ください。

※城戸賞で受賞された方のインタビュー記事も併せて。
【物語を作る事が好きな方注目】第47回城戸賞佳作受賞 島田悠子さん
 
自分の作品を人に見せる 勇気/第46回城戸賞 準入賞受賞 島田悠子さん

妄想から物語 を作る/第45回城戸賞 佳作受賞 弥重早希子さん
 
※「脚本コンクールにだしたい!」という方はこちらの記事も是非。
主なシナリオ公募コンクール・脚本賞一覧

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