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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

老いも若きも

老害の人(講談社刊)

時の流れ

シナリオ・センター代表の小林です。もう11月です。
この時期になると、時の流れの速さを憂う話題ばかりに。
子供の頃は、なかなか時が進まないことにイラつき「早く大人になりたい」「早く大人になって好きなことをやりたい」ずーっと思っていました。
あの頃の時間は、とてもゆっくりゆっくりと進んでいたのに、歳を重ねるごとにスピードは増し、70過ぎた今は超スピードで転ぶ一歩手前くらいの速さ、やばい!スピード違反!ってかんじになっています。
ついこの間のことと思っていたことが、もう3,4年前のことだったりして、驚愕することがあります。
驚愕してしまうのは、その間の記憶が飛んでいるように思うからです。3,4年前のことが昨日とはいいませんが、つい最近だと思っている私。え~、頭の方がそろそろ?と。どっと不安に。
それでも、まだ現役で代表などをやらせてもらえるのは、スタッフが支えてくれるからこそ、ありがたいと思っています。
特にコロナ禍になって、突然すごーいスピードで、あれよあれよと思う間に、授業もすべての通学とオンラインのハイブリッド化に、そして日本中だけでなく世界中の人がシナリオ・センターの授業を受けてくれるようになりました。
私では考えられなかったこと、若い人たちの力すごいなとほとほと感心します。
もはや、私は必要はないかも・・・、内館さんの新刊を読みながら、ちょっと心が波だっています。

老害の人

そうです。出身ライターの内館牧子さんの新刊がすごい!
「老害の人」(講談社)
ここ数年シリーズのように書かれていらっしゃる高齢者小説「終わった人」「すぐ死ぬんだから」「今度生まれたら」につぐ最新作です。
「終わった人」の時も、このタイトルすごーい!こう言い切れるのは内館さんならではと衝撃を受けました。
でも、もっとすごいです。ガーンです。老人の一人としては特に響きました。
なにしろ、タイトルは「老害の人」、害ですから。
昔話に説教、趣味の講釈、病気自慢に孫自慢、クレーマー・・・老害はとどまるところを知らない。
帯に「私は違うと言うけれど周囲はみんなウンザリ。迷惑なの!といわれても。」まさに。(笑)

福太郎85歳。ボードゲームの老舗「雀躍堂」の二代目で、「一寸先ゲーム」というボードゲーム等数々のヒットゲームを創って、会社を大きくした実力者。
75歳で「高齢者は引くべき潮時をわきまえていなければなりません。いくら自信があっても、その自信はもはや時代的に役に立たず、老人の一人よがりの自信なのです」と娘婿に経営を潔く譲ったのですが・・・。
80歳で妻に先立たれた福太郎は、週2回肩書ばかりの「経営戦略室長」として出社し始め、社員をつかまえては大昔の自慢話を長々と始め、大迷惑。まさに老害の最たるものなのだが、娘の明代にこっぴどく言われても意に介さない。
そんな福太郎が、これまたそれぞれ問題ありの老人仲間と「若鮎サロン」と称して、会社の中に老人ゲームサロンを開こうとする。
会社では困り果ててしまうのだが、昔ながらのボードゲームなどをやるサロンを作ることで、高齢者を楽しませると話題に。
老人たちはしたたかに生きていくのです。

若い方が読まれたら、「そうそう、うちのおじいちゃん、おばあちゃんも」と思われるでしょう。高齢者の方は、「私は違う」と思いながらヒヤッとされるのではないかと思います。
内館さんのすごいところは、それぞれのキャラクターの魅力はもちろんのこと、ただの老害にはせず、でも、きれいごとではなくきちんと老害も描くというところだと思います。
私の周りにも、もはや退職した仕事でいかに・・・という自慢話をする男性が増えています。昔の肩書を自慢するとか・・・。
女性は、どちらかというと過去の話は、青春グラフティ。むしろ孫の自慢、家族の自慢か悪口でしょうか。
フト考えたのですが、じゃあ、若い時は何を話していたのだろうかと。
常に建設的なことだけを話していたわけではないと思いますし、忙しかったから、あまり気にならなかっただけ?将来を熱く語っていた?
なにをしていますか、何を学んでいますか、何を話していますか、現役の皆さん!老人の逆ギレか(笑)

内館さんの小説は、いつも問題提起をしてくれ、自分を見つめ直させてくれます。
まだ現役で代表をやらせていただいている身としては、心せねばと思わされました。
老いも若きも読んでいただきたい。老害の人から小説「老害の人」のおススメです。

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