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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

人を描く人は・・・

浅草ルンタッタ(幻冬舎刊)

つながり

シナリオ・センター代表の小林です。明日から急激に寒くなるとか、週末は12月の気温だとか・・・どうも寒暖差の激しい日々になりそうです。
怖いのはコロナだけではなく、ちょっとした油断が体調を左右しますから、くれぐれも気を付けて、まだ暑い気がしても上着の一枚は持ち歩いた方がよさそうです。

今朝は、北朝鮮のミサイルで起こされました。本当に物騒な恐ろしい世の中になりました。
おかげで、桑原亮子さん(+嶋田うれ葉さん+佃良太さん)の朝ドラ「舞い上がれ!」の2回目が飛びました。
明日、今日の分と2本分放送するとか・・・え~、なんていう始まりだ!!
でも、それこそ、これ以上嬉しいメールはないというメールをいただきました。
岡田恵和さんから「いい朝ドラ始まりましたね。15分で人の描き方の素敵さが伝わります。後輩だと思うと嬉しいです。」
「ひよっこ」もアラートで中止になったのだそうです。
シナリオ・センターのつながりって、ホントに素晴らしい。
うまい出だしに、今日も楽しみにしていたのですが、ま、仕方がない、明日のお楽しみにしておきましょう。まだまだ先は長い!

先週終わったNHK夜ドラ「あなたのブツがここに」
出身ライターの櫻井剛さんの脚本でしたが、毎晩心待ちにするくらい素晴らしいドラマでした。
終わっちゃって寂しいなぁと思っていたら、批評家の碓井広義さんが
「ドラマ全体が、コロナ禍で追い込まれた市井の人たちの苦境と心情をリアルに描いて秀逸でした。
制作はNHK大阪放送局。ドラマが「時代を映す鏡」であることを、あらためて思わせてくれた、今年の夏の大きな収穫です。
登場人物たちの感情を丁寧にすくい上げた、きめ細かな脚本は、『マルモの掟』などを手掛けてきた櫻井剛さんのオリジナルです。」(略)と書いてくださっていて、首が折れるくらい「そうだ」「そうだ」納得しました。(笑)
次回の夜ドラ「つまらない住宅地のすべての家」(NHK総合)は、出身ライターの池田奈津子さん。
10月10日からの放映です。ワクワクします。

浅草ルンタッタ

出身ライター劇団ひとりさんの「浅草ルンタッタ」(幻冬舎刊)が上梓されました。
初めて書いた100万部超のベストセラー「陰日向に咲く」、次作「青天の霹靂」以来12年ぶりの書きおろしだそうです。
もう、そんなになるんだと、ちょっと回顧録気分。

閑話休題。「青天の霹靂」は、ご自分の原作を劇団ひとりさんが初監督ということで、とても面白く拝見したのを覚えているのですが、今更よくよくスタッフを見てみたら、企画・プロデュースは川村元気さん、エグゼクティブプロデューサーは山内章弘さん、脚本は橋部敦子さんと、なんとシナリオ・センター出身で固めていたことがわかりました。(笑)
劇団ひとりさんは、学生の頃シナリオ・センターに通っていらしたそうで、それがわかったのも、漫画家の蛭子能収さんが出身だという話をテレビでされた時に「僕も!」と名乗り上げてくださって初めてわかったのです。

久々の書きおろし「浅草ルンタッタ」、ちょっと前にビートたけしさんの「浅草キッド」を劇団ひとりさんが脚本・監督をされて話題を呼んだので、てっきりビートたけしさんつながりの話なのかと思ったら、全く違ったものでした。
浅草オペラを題材にしたもので、明治、大正の浅草を描いたものです。

雪の日に、浅草の置屋「燕屋」の前に、一人の赤ん坊が捨てられた。
かって自らの子どもを亡くした遊女千代は、周囲の反対を押し切って雪と名付けて育てることに。
反対していた遊女たちだが、一番売れっ子の鈴江は芸事から行儀作法までみっちりと仕込み、お福は大好きな大福を与えたり、雪の成長をそれなりに楽しんでいた。
雪は9歳になり、浅草六区の芝居小屋へ通いつめ浅草オペラに魅せられる。
燕屋の帰ってくると、浅草オペラの真似をして歌って踊ってみせて、遊女たちを楽しませていた。
賑やかで穏やかな日々が過ぎるはずだったのだが・・・。
ある日、警察官という職権を乱用して女をタダで抱きに来ていた中村が、雪に手を出そうとし、阻止しようとした雪と千代は殺してしまう。
千代と鈴江、置屋の主人信夫は、雪を逃がすのだが、行き場のない雪は、芝居小屋の屋根裏部屋に逃げ込み、ひとりぼっちで7年間を過ごすことになる。みんなの前で歌える日を夢見て・・・そして。

明治・大正の浅草の猥雑な風景、その時代の人々の暮らし、官憲との折り合など目に見えるように描かれており、やさしさや狡猾さや人間味あふれたそこに生きる底辺の人々を描き切っており、最後は関東大震災に見舞われるのですが、泣けます、泣きます、でも、光が見えます。

で、ずいぶん昔の浅草を描いているようで、今が垣間見えます。
浅草オペラは、雪は、歌います。
貧困に苦しむ国の何も感じない王様。
雑巾のしぼり汁を紅茶、どぶネズミを美味しい鶏肉といってだす召使。
それを美味しいと言って喜んで食べる王様。
王様と召使、二人で歌います。
「王様はルンタッタ ルンタッタ
いつもルンタッタ ルンタッタ ルンタッタ」
さあ、「ルンタッタ ルンタッタ」ご一緒に!

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