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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

責任

島守の塔 シネスイッチの手書き掲示

大人の責任

シナリオ・センター代表の小林です。今日も大雨が各地で猛威を奮っています。
東京は雷とどしゃ降りが繰り返されていますが、もっと深刻なのは東北を中心に福島、福井、新潟などの各地。「記録的短時間大雨情報」がでています。
自然災害が起きるたびに、人間の小ささを感じます。
あまりにも人間を中心に考えて、自然を壊してしまったから温暖化なども加速しているわけですし、色々とこれまでの傍若無人な行動のツケが回ってきてしまった気がします。
自然との共存をもっとまじめに考えなければいけないと今更思っても、もう遅いのでしょうか。
文明は発達しすぎると崩壊をします。
特に環境破壊は人間の仕業ですから、どこかでストップをかけなければいけないのですが、それを心配する大人があまりいないようです。
大人は、私もそうですが、「もう先も短いのだから、自分達が生きている間、豊かに暮らせればいいや」と思っている節があります。
だから、スウエーデンの高校生グレタさんが、「絶滅の始まりなのに、大人が議論しているのはお金や経済成長ばかり」で「許せない!」と声を荒げて、大人たちを糾弾したのも当たり前のことかと思います。
この先を生きる子どもたちのことをきちんと考える大人がいかに少ないか、若者たちの怒りを真摯に受け止めて、大人たちよ、立ち上がりましょう。
このような世界にしたのは、私たち大人の責任です。

島守の塔

今日は、雷におびえながら(笑)、柏田道夫脚本・五十嵐匠監督の「島守の塔」を観てきました。
「島守の塔」は沖縄戦で、沖縄県民の命を守ろうとした当時の沖縄県知事島田叡さんと警察部長荒井退造さんのお話です。
食料確保から避難迄、心を尽くし沖縄県民の命を救った二人は、今もなお語り継がれています。

この映画のうまさは、戦争(戦闘)シーンを本当のニュース、記録映画を使って表現したことだと思いました。
ですので、私の大好きな「キングダム」の大掛かりな大迫力の戦闘シーンとはまったく違って、モノクロの本当の戦争は、真実の強さがあり、実在の島田知事、荒井警察部長が生きてみえるのです。

閑話休題。映画「キングダム2 遥かなる大地へ」、出身ライター黒岩勉さんが、前作にもまして面白く作られています。
こちらもお見逃しなく。

で、「島守の塔」に戻りますが、この二人と対照的な軍国少女を吉岡里帆さんが演じています。
吉岡里帆さんがすごくいいです。出身ライター蛭田直美さん脚本の「しずかちゃんとパパ」でも素晴らしい演技でしたが、戦陣訓「生きて虜囚の辱を受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿れ」を心に刻んでいる少女、見事です。
一人でも敵を殺し「お国のために死ぬ」ことを誇りに思っている彼女が、島田知事と行動を共にすることで、少しずつ変わっていく、「生きろ!」と最後にミルク缶を与えられて、生きることを選ぶ変化が見事です。
また、生き残った大人の彼女を香川京子さんが演じているのですが、生きることの大切、命の大切さを、何も語らずに感じさせる演技が素晴らしかったです。語らせちゃったら嘘っぽくなりますからね。

沖縄本土復帰50年に当たる今年、この映画は、国に、時の政府、軍人たちの犠牲になった20万人の方へ手向ける献花のようです。
そして、この戦争の悲惨さを決して忘れてはいけない、何よりも戦争を知らない私たちは、知ろうとしなければいけないことだと思いました。

映画の中で、沖縄県民が島田知事に感謝として「カチャーシー」を踊るというシーンがあります。
映画のラストにも出てくるのですが、「カチャーシー」は沖縄で何かというと踊られます。
沖縄の居酒屋さんなどでよくみかけて、沖縄の方は陽気だなぁくらいしか思っていなかったのですが、この「カチャーシー」の意味を知って、沖縄の皆さんの持つ痛みを知りました。
「喜びも悲しみもかき混ぜてみんなで分ち合いましょう」という意味の歌なのだそうです。

8月19日、柏田さんと五十嵐監督の「ミソ帳倶楽部」があります。映画をご覧になってからお話を聞きするのもよいかと思います。

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