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面白い物語を書くための基本でもある 長編シナリオを書くコツ

面白い物語を書くための基本でもある 長編シナリオを書くコツ

(左から)飯野健雄講師、河合雅子講師、浅田直亮講師、代表の小林幸恵

「シナリオS1グランプリ 最終審査員座談会」から学ぶ

シナリオ・小説・マンガ原作などジャンルに限らず、「面白い物語を書きたい!」という方。今回ご紹介する「シナリオS1グランプリ 最終審査員座談会」の模様を参考にしてください。

「シナリオS1グランプリ」とは、シナリオ・センターと一般社団法人 映画演劇文化協会が主催する脚本コンクール。現在、作品を募集している「第43回(2022年8月22日締切)」で22年目を迎えます。毎回、在籍生や修了生の方だけでなく、一般の方々からも沢山ご応募いただいております。

「シナリオS1グランプリ」の最終審査員3人 浅田直亮講師・河合雅子講師・飯野健雄講師と、シナリオ・センター代表の小林幸恵による今回の座談会では、このような話が出ました↓

・「自分の作品で人を感動させる」ということを想像して書いてほしい。

・人を感動させるということは、感情移入させるということ。

・感情移入させるにはシナリオの技術を使う。

・シナリオの技術を使う練習は、シナリオ・センターのゼミの課題「20枚シナリオ」で出来る。

上記4点は勿論、長編シナリオを書くコツではありますが、それだけでなく、面白い物語を書く基本事項でもあります。具体的にどんなことを話したのか、当日の模様を広報の齋藤がリポートいたします。

「面白い物語」とりわけ「面白いシナリオを書きたい」という方は、「シナリオS1グランプリ」そしてその他脚本コンクールに出すときに、今回ご紹介する内容を参考に書いて応募してください!

☆座談会の模様詳細は『月刊シナリオ教室 2022年7月号』に掲載。併せてご覧ください。

シナリオS1グランプリ開催の経緯

==まず初めに、「シナリオS1グランプリ」が始まった経緯をご紹介いたします==

〇小林:初めは「シナリオ募ります」という名称で2時間のシナリオを、テレビの2時間ドラマを想定して、ということで募集していました。最終審査員は制作会社のプロデューサー。制作に値する作品があれば制作も可能というスタンスで募集していたんです。残念ながら映像化されたものはありませんでした。

シナリオ・センターの創設は1970年ですが、「シナリオ募ります」は創立してわりとすぐの頃から募集を開始していますから、「シナリオS1グランプリ」は「シナリオ募ります」時代を含めると50年くらい継続している、歴史あるコンクールということになります。

2001年からは今も続いている「シナリオS1グランプリ」になり、今のように2時間ものと1時間ものの両方に応募ができ、2時間ものもドラマだけでなく、映画シナリオでも構わない、という要項に変わりました。

〇浅田:「2時間だけだとハードルが高くてなかなか集まらないのでは?」という危惧があって、それで、他のコンクールに出して結果がダメだった1時間の作品を直して「S1」に出すのもありですよ、と。他の脚本コンクールで一度落選した作品でも、例えば「ここに葛藤を入れたら面白くなるんじゃないか」とか、「ここでウソをつかせたらもっとドキドキするんじゃないか」とか。

1時間ものの応募枠が出来たことで、テレビ局主催の脚本コンクールに出して結果が出なかった作品を直して出す人が増えましたね。

「自分が書いた作品で人を感動させる」を想像して書く

==この章以降、「20枚シナリオ」()という言葉が度々出てきます。「20枚シナリオ」とはシナリオ・センターのゼミの課題のことを指します。課題テーマに沿って、ペラ20枚(200字詰め原稿用紙20枚)のシナリオを何本も書いていただきます。

「20枚シナリオを書く意味/実践のための手段」

また文中に、「カットバック」や「リトマス法」といった「シナリオの技術」がいくつか登場します。この技術は、シナリオ以外の創作にも活用できる技術であり、これを使いこなすと「人を感動させる=人を感情移入させる」ことができるようになります。

「カットバック」や「リトマス法」などの技術詳細が分かる他の記事や動画も併せてご案内しますので、文章を読みながら or 読んだ後にチェックしてみてください==

〇浅田:シナリオS1グランプリの授賞式後に実施している「公募コンクール対策講座」などで、僕が受講生に話しているのは、コンクールでは自分の書いたシナリオをちゃんと読む人がいるってことです。読んだ人が感動して思わず涙を流すこともある。審査をしている僕たちはそういうものがほしい。

皆さんは「プロになりたい」っていうのがあると思うんだけど、まずは自分が書いた作品が人を感動させるっていうことを、審査員に読まれるその瞬間まで想像して、20枚シナリオや長編を書いて、コンクールに応募してほしいと思います。

〇河合:それには、キャラクターがしっかり出来ているかどうかだと思うんですよね。「すぐ感動して泣くんだから」って言われるかもしれないけど(笑)、そのシナリオが泣けるかどうかって、とても大事だと思います。

〇浅田:キャラクターや葛藤が描かれていないと感情移入できないし、感動できない。そのために、シナリオの技術ってあると思うから、そこをもっと考えてほしいんですよね。

例えば「親子の別れ」を描くとして、親や子どもの気持ちに、見る人を感情移入させることができなかったら、人を感動させることはできない。

そもそも皆さん、シナリオの技術を使っていないんじゃないか……。リトマス法()とか「セリフは嘘つき」を、皆さんが本当に意識しているのかどうか。

以前サマーセミナーで、シナリオの技術から課題を考えていくテーマの回があったんですが()、ああいう意識で20枚シナリオもコンクールの応募作品も取り組んだらいいんじゃないかっていう気がします。

「物語を面白くするリトマス法」

「書きたいのに書けないときの解決法/サマーセミナー2018」

〇河合:実は最終審査段階で、いい点数をつけた作品の中ですら、本当はシナリオの基礎技術的に「これマズいなあ」という部分があったりします。時間経過が滅茶苦茶だとか……。

〇浅田:例えば、主人公がご飯を作り始めて、30秒くらいでできあがっていたりする。ゼミであれば添削や講評で「カットバック()にすると時間経過に無理がないし、見る人も引き込めますよ」ってコメントできるんですけどね。

「シナリオS1グランプリ」にはシナリオ・センターらしさ、を出せていけたら。シナリオ・センターはシナリオの技術を教えているところだから、技術がきちんとできている作品を選んでいるんだということを、今後きっちりと特色にできたらいいんじゃないかなと思ってます。

「シナリオの時間経過 /カットバックを使いこなす」

動画「観客を夢中に!カットバック法」

〇河合:本当に技術って大事なんですけど、実際、応募作品を読み進めていくと、使ってないなって思うことが多いんですよね。

〇浅田:確かに、カットバックとかリトマス法とか使ってないですよね。リアクション()も描いてないとか……けっこう多いんです。技術って一度身につけたら忘れない。できるようになったら技術は裏切らない。自転車だって乗れるようになったらまた乗れます。シナリオだって技術を使って書けるようになれば、もっと面白くシナリオを書ける。

動画「登場人物の作り方にはコツがある!キャラクターの書き方/ポイント」

シナリオの技術を使う練習を

==「人を感動させる=人を感情移入させる」ことができるシナリオの技術。この技術を使いこなせるようになるための練習が20枚シナリオです。この章では、20枚シナリオで練習しておくと、長編シナリオの他、小説やマンガ原作などその他ジャンルの「物語」を書くときにも役立ちます、といった話をご紹介==

〇小林:脚本コンクールで受賞された方から、「研修科ゼミのときに書いた20枚シナリオを、いろいろなコンクールで何度も使っているんです」とお聞きしたことがあるんです。

どういうことかというと、「その作品の登場人物の“キャラクター”が好きだから、ストーリーはまったく違うけど、そのキャラクターを使って違うものを書いている」ということらしい。なるほど、そういうことができるんだなと感心しました。

コンクールってそこじゃないかなと。20枚シナリオで切磋琢磨しておくと、いろいろな技術が身について、長編を書くときもチョイスするチカラみたいなものが出来てくるのかなと思ったんです。

これをお読みいただいている方で、「20枚シナリオを使って長編を作るっていうのは、どういうこと?」と思う方もいらっしゃると思うので、浅田さん、少し説明してもらえますか?

〇浅田:例えば、研修科の課題で「〇〇の一瞬」というものがあります。この課題ではクライマックスの10分だけを描く、最後の10分だけでも感動は作ることができます。

そうなるとキャラクターは絶対必要。そういう20枚だったら、その前部分を作ることはいくらでもできると思います。

〇小林:20枚シナリオのことばかり話していますが、結局、そこがベースなわけです。20枚シナリオで培った技術を使えばコンクール作品が書ける。

〇浅田:シナリオ・センター創設者の新井一先生がよく仰っていたことですが、ボクシングでスパーリング(=グローブと防具をつけ試合形式で行なう練習)の1ラウンドをやるのと一緒で、20枚シナリオはスパーリングだと。長編を書いてリトマス法が出てこないっていう人は、20枚シナリオでも出せてないと思うんですよね。

それに、自分が面白いと思ったものを人が同じように思うかどうかは、誰にも分からない。自分では面白く書けたなって思っても、人によって違うんだよね。いくら考えたって分かるわけがない。だったら書き方をチェックすればいい。意識して技術を使えばいい。そうしたら確実に面白くなっていくはずです。

「太い幹があるシンプルな“ドラマ”を」

==最後に、「第43回シナリオS1グランプリ」に応募される方に向けて、最終審査員からメッセージ。このコメントは、その他の脚本コンクールや、シナリオ以外の創作コンクールに応募される際にも当てはまることですので、参考にしてください==

面白い物語を書くための基本でもある 長編シナリオを書くコツ

〇小林:現在、第43回シナリオS1グランプリ、作品募集中です。
https://www.scenario.co.jp/s1/ 

応募作品を書いている皆さんに向けて、気をつけたほうがいいポイントをそれぞれお願いします。

〇浅田:今までのドラマで描かれていないものは、頭で考えたって、今まで描かれてないわけですから、なかなか発想できない。自分の身の回りに目を向けてみてください。例えばですが以前、野良猫にエサをあげている猫おばさんがいて、車に猫が上がって傷がついて住民と騒動になった。そのとき、「これが自分の母親だったらどうする?」って思ったんです。身の回りにあることが一番面白い。皆さんの身の回りにも絶対あるから。それにプラス、感情移入させられるかどうかってことです。

〇河合:主人公に比べて、つい脇役が魅力的になってしまう方って多いと思うんですよね。それと回想も使っている方が多いので、それで面白くなればいいんですが、本当に必要なのかなって考えてほしい()。ギリギリまで読み直してもらって、リアクションなんかも使えているかどうか推敲してほしいですね。

「なぜ回想を使うな というのか」 

〇飯野:直球で来てほしいと思います。20枚シナリオでも、設定に絡めて“変化球”を投げたがる方がけっこういるんです。設定の新しさがほしいというのは分かるんですけど、奇をてらうみたいなのは、やらなくてもいいかなって。

ベタなシナリオを書いている方って、だんだん面白いものが書けてくる。一方で、最初から感性で面白いものを書けてしまう方は、肝心の“ドラマ”()を重視していなかったりして、長編を書いたときに収拾がつかずに躓いたりする。太い幹があるシンプルなドラマでいいと思います。

「物語を書くときの基本知識/“ドラマがない”とは」

〇小林:どんどん書けるっていうクセはつけておいたほうがいいですけど、書いたものを自分でチェックできるポイント()を設けておくのもいいのかなと思いますね。何が足りないとダメなのかっていうのがあれば、気づきにつながるのかなと思います。次の締切まで粘りに粘って、皆さんの渾身の一作を送ってほしいですね。

“書いたものを自分でチェックできるポイント”の参考として、こちらの記事も併せてご覧ください。
「いろはかるた でシナリオ技術/シナリオいろは」

*     *     *

==今回ご紹介したコメントを参考に、面白い物語を書いて、「シナリオS1グランプリ」他、いろいろな創作コンクールに是非挑戦してみてください!==

▼シナリオS1グランプリについてはこちらをご覧ください。
「第38回シナリオS1グランプリにみる/グランプリを受賞する脚本とは」

「シナリオは、だれでもうまくなれます」

「基礎さえしっかりしていれば、いま書いているライターぐらいには到達することは可能です」と、新井一は言っています。“最初の一歩”として、各講座に向けた体験ワークショップもオススメです。

※シナリオ作家養成講座とシナリオ8週間講座は、オンライン受講も可能です。
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