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これまでの活動を報告する「振り返り動画」を作るとき

これまでやってきた活動を報告する振り返り動画を作るときは、その“もと”となる色々な“エピソード”が肝心になります。でも、「あのときはこんなことがあった」と一気に思い出すのは意外と難しいですよね。

しかも、エピソードを思い出せたとしても、沢山あるエピソードをどうやって並べて1つの動画にすればいいか、混乱してしまうこともあるかと思います。

そんなとき役に立つのがシナリオの技術「構成」。構成とは「起・承・転・結」のことです。特に「転」の部分を先に決めると、エピソードが振り返りやすくなります。

実際にどんな風にやっていくのか。三鷹中央学園 三鷹市立第四中学校「四中ゆないと」の皆さんに向けて実施したキッズシナリオの模様を、広報の齋藤がレポートいたします。

=今回の概要==============
・サービス名:「PR動画を作ろう!」
・目的:活動報告VTR作り
・対象:三鷹中央学園 三鷹市立第四中学校「四中ゆないと」さま
・時間:約2時間
※3/16に第2回目を実施
その模様はこちらの「活動報告の振り返り動画を作る②/ナレーションは具体的に」をご覧ください。

キッズシナリオの詳細 https://sites.google.com/view/kids-scenariocenter/home
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「転=テーマ」を決めるとエピソードが思い出しやすくなる

三鷹市立第四中学校の「四中ゆないと」では、放課後の時間を活用しながら、キャリア・アントレプレナーシップ教育の一環として『農業×ビジネス』に取り組む活動を実施。収穫物の商品開発・販売・収支報告等を実践しながら学んでいきます。なお、この活動は地域団体「まちラボみたか」が中心となり、地域の専門家と大学生による支援や、三鷹市からも「みたかジュニアビレッジ事業」として支援されています。

今回は、さつまいもの栽培から収穫、商品化までを取り組んでおり、「これまでの活動を報告する動画を作りたい!」とのことで、シナリオ・センターの新井が講師として出前授業を実施させていただきました。

ちなみに新井は昨年、同校のE組の皆さんが校庭のかりんの商品化に挑戦し、その報告動画を作るときも出前授業を担当させていただきました()。

そのときの生徒さんが今回も参加されており、久々の再会に新井 感激!実は当日、どの教室に行けばいいか迷ってしまったのですが、この生徒さんにばったり会い、教室まで案内してもらいました!

この活動の担当者さんによると、今日は 動画の“もと”となる大まかなエピソードを時系列ごとにワークシートに書き出す、という課題の締切日。

だったのですが、生徒の皆さん、エピソードを思い出すのがなかなか難しかった模様……。最初、エピソードをフセンに書き出してもらったのですが、「う~ん」と悩む姿もチラホラ。

それもそのはず。以下「13」ものフェーズ、

・開村式
・農業講座
・さつまいもについて
・地域商品を開発する農家
・収穫の講習と収穫祭
・商品開発のペルソナ
・収穫祭の振り返り
・商品開発のアイデア
・サツマイモの商品開発を知る
・商品開発会議
・ラベルデザイン
・販促物製作、販売作戦会議
・商品完成

――に関するエピソードを思い出さなければならず、一番初めの開村式は昨年6月初旬なので、約半年前のことから振り返らなければならないのです。それって結構大変ですよね。

そこで、シナリオの技術「構成(起承転結)」の登場です。
まず、起・承・転・結のそれぞれの機能をご紹介。

・起:①天地人 ②アンチテーゼ
①いつ・どこで・誰がやっているのか、動画を観る人が分かるようにする。
②テーマとは逆のこと。

・承:問題→解決
こういう問題をこうやって乗り越えた!ということを伝える。

・転:テーマ
動画で伝えたいこと。

・結:テーマの定着と余韻
動画を観た後にどう思ってほしいか。

〇新井:どんな動画にするか、大まかな流れを「起・承・転・結」に分けて、予め決めておきます。「起」の部分ではこういうことを伝えて、「承」ではこういうことを伝えて、というふうにしておくと、作っている途中で迷ったり、伝えたいことがブレたりせずに済みますよ。

最初に考えるのは「転=テーマ」。ここを最初に決めておくと、「○○を伝えるための動画を作るんだ!」という“目印”になりますので、エピソードも思い出しやすくなると思います。この動画で皆さんはどんなことを伝えたいですか?

〇生徒さん:「商品開発」かな。

〇新井:いいですね!でも、もうちょっと具体的に。商品開発についてどんな風に思いましたか?

〇生徒さん:商品開発って楽しい。だから「商品開発の楽しさ」です。

――他の生徒さんからも「さつまいもを育てる大切さ」や「商品開発の大変さ」などのアイデアが出ましたが、ひとまず今回は “仮”でテーマを「商品開発の楽しさ」として進めることになりました。

エピソードを振り返るときは「出来事+想い」をセットで

*

〇新井:「商品開発の楽しさ」が伝わるようにするには、この「転」の部分でどんなエピソードを入れればいいか考えていきましょう。箇条書きで構わないのでフセンに書き出してみてください。

その際のポイントです。エピソードを振り返るときは、「出来事」だけじゃなくて、そのときの「想い」もセットで考えてみてください。出来事だけだと「こんなことしました」という単なる報告で終わってしまいますが、「想い」を入れると観る人の気持ちに訴えかけることができるので、共感してもらいやすくなります。

――皆さん、一斉にフセンに書いてくれています。やはり「転=テーマ」を決めるとエピソードが俄然思い出しやすくなりますね!

その後、書き出してもらったエピソードをそれぞれ発表してもらいました。ある生徒さんは、

〇生徒さん:できあがったものを見て、「“材料”から作ったものが本当に“商品”になった!」と思いました。このシーンのときには、一番最初の、みんなで苗を植えたときの写真も入れたいです。

――と発表。

〇新井:おお!今回の動画は主に、これまで撮ってきた記録用写真を使って作るんだよね。テーマを伝えるために、「あの写真を入れてこんなシーンにしたい!」というところまで考えられているのが素晴らしいです!

――とビックリしています。

〇新井:それではこの調子で、次は「起」のエピソードを考えていきましょう!

振り返り動画の「起」は不安や期待を

〇新井:「起」は「天地人」が分かるエピソードを入れてください。それから、「転=テーマ」とは逆の事柄「アンチテーゼ」から始めますよ。先ほどと同じようにエピソードをフセンに書いてみてください。

――皆さん、一生懸命 書いてくれています。
でも、ちょっと筆が止まり、う~ん。。。
少し悩んでいるようです。

〇新井:「商品開発の楽しさ」の逆になるようなエピソード。こう考えるとちょっと難しいかな。もっと具体的に言うと「商品開発の楽しさ」とは逆になる不安や期待。参加する前の気持ちを考えてみてください。

――すると、生徒さんからこういったエピソードが出てきました!

・育てたものが本当に商品になるのか心配。
・どうやって商品が完成するんだろう。

〇新井:そうです、そんな感じ!実際、みんなはどういったところからこのプロジェクトを始めたの?

〇生徒さん:一番最初は畑から。畑に集まって。

〇新井:「ここからほんとに自分たちで始めるの?」っていう感じだったんだね。

〇皆さん:はい。

〇新井:例えばなんだけど、動画の中にみんなが畑に立っている写真を入れて、そのシーンのときに「何もない畑から本当に商品が作れるのかな?」みたいな、そのときの不安な気持ちが分かるナレーションを入れるといいかもしれませんね。

――うんうんと皆さんが頷いております。

「転=テーマ」を目印に「承」や「結」のエピソードも

*

この後、「承=問題→解決」と「結:テーマの定着と余韻」についても、どんなエピソードを動画に入れるか、「転=テーマ」である「商品開発の楽しさ」を“目印”に考えてもらいました。

最初は「う~ん、あのときはどんなことがあったかな……」と考え込んでいた生徒さんも、「エピソード+その時の想い」のセットでフセンにどんどん書けるようになっています。

最後に新井は皆さんにメッセージ。

〇新井:活動を報告する振り返り動画を作るときはこうやって考えていけばいいんだな、というのが分かっていただけたかなと思います。

今回の仮テーマ「商品開発の楽しさ」で言えば、こんな不安や心配事があったけど、こんな想いでこんな風に乗り越えて、無事に商品ができて、「商品開発の楽しさを知った!」ということが伝わる動画になると、観る人も「商品開発って楽しいんだなぁ」と感じてくれますよ。

今日残念ながら参加できなかった他のメンバーの皆さんにも、今回ご紹介した方法を共有してもらって、面白い動画を作ってくださいね!

*     *     *

どんな動画が出来上がるのか楽しみですね。こちらの「みたかジュニアビレッジ」のnoteでは、これまでの活動が紹介されていますので是非ご覧ください↓
https://note.com/4chu_unite_2021/ 

また、E組の皆さんが報告動画を制作した模様はこちらをご覧ください↓
「生徒と学校でPR動画を作るには」
 
※その他、研修の模様はこちらの「コミュニケーション力 を上げるシナリオ研修 事例まとめ」をご覧ください。

 

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