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「NovelJam( ノベルジャム )2021 Online」日野光里さん受賞

「NovelJam(ノベルジャム)2021 Online」

日野光里さん(福岡在住/作家集団所属)の小説『宵闇白夜神社に火が灯る』が「NovelJam 2021 Online」で審査員の北野勇作賞を受賞。なお、本作は電子版・紙本で販売中。

この「NovelJam(ノベルジャム)」は、「著者」と「編集者」と「デザイナー」が集まってチームを組み、ゼロから小説を書き上げ、編集・校正して表紙を付け、本にして販売までを行う短期集中型の作品制作・販売企画。開催は今回で5回目。

テーマは当日発表。今回は「縁(ゆかり・へり・ふち・えにし・ゆかり)」。期間は3日間。作品の文字数は3000字以上1万字以下。今年は初となるオンラインでの開催となり、6チーム25人が参加。計14作品が「BCCKS」で配信開始されました。

日野さんはこれまで2回ほど「著者」として参加しており、初参加となった「NovelJam 2018秋」ではプロモーションにおける特別賞(個人賞)を受賞。

3回目となる今回は「著者」兼「編集者」として参加。どんなふうに作業して受賞作『宵闇白夜神社に火が灯る』がうまれたのか。小説家志望者は特に気になりますよね?

そこで、コメントをいただきましたのでご紹介。NovelJamのことだけでなく、「小説コンクールに応募している方に向けてのメッセージ」も大変参考になると思います。ぜひ最後までお読みください。

今回参加したキッカケ

〇日野さん:今回、開催時期が実母の初盆にかぶっていたので、最初は申し込んでいませんでしたが、編集が足りないということで、著者とセットでの参加が決まりました。私が参加しないと素数だったらしく、チーム分けに貢献できたようです。

ただ、編集も兼ねる中、初盆平行でできるのかと心配でしたが、当日 福岡は大雨で交通機関が全面ストップし、初盆に帰省できず、結果的にまるっと時間が使える状態での著者 兼 編集での参加となりました。

さて、編集は結構いつも足りません。前回も著者ではなく編集で、という有難いお声かけをいただきました。しかし、まったく自信がなく、「シナリオ・センターで講評の力を養っている最中だから今は無理」って断ったんです。でも今回、すでにシナリオ・センターに通って3年。そろそろやれるかもしれない!ということで編集を兼ねて参加することになりました。機は熟セリ。

受賞の感想

〇日野さん:今回獲れるとしたら「北野勇作賞」しかないと思っていました。もうひとつ審査員の賞があるのですが、この審査員のかたは過去のNovelJamにも参加されているので、私の作品を選んでいただくには、新しい審査員である北野先生の目に留まるしかない、と。

それでも3回目ですし、まあ獲れないだろうと授賞式の最初のほうは聞いてませんで、呼ばれたときにいませんでした。それくらい自信なかったです。さすがに編集兼というのは初盆をスルーしても時間が足りません。

編集も私です。一番出来は悪いだろうと思っていました。でも、娘は今回が一番よかったと言います。初参加のときにいただいたプロモーションでの賞ももちろん嬉しかったのですが、今回は作品に与えられる賞なのでとても嬉しいです。

「Novel Jam 2021 Online」作業の流れ

〇日野さん:NovelJamのサイトにもあげられていますが、最初はプロットを一般公開していきます。お題が発表されたら、その日のうちに「プロットあげ」です。

私はイタコ書き(笑)なので、「宵闇白夜」という言葉や「お山に灯が灯る」というイメージはすぐにふってきました。テーマが「縁」だったのですが、すぐに縁切神社が思い浮かんだからです。

それと、小学校のとき、神社に見える木が山の上にあって、そのことを思い出して書きました。夢で「その神社の参道に灯りが両脇に灯っていて そこを進む」っていうのを何度も見たので。

プロットは、ほとんど最初に書いたもので本稿も書いています。もっといいアイディアが出ればと思いましたが、時間ぎれです。最初の思いつきのまま書いていきましたが、審査員の北野先生にはそこが評価されてよかったです。

受賞作『宵闇白夜神社に火が灯る』について

==あらすじ==
お山に火が灯ると、そのときだけ現れる神社が開き、どんな願いも叶えてくれると言われている。おすなは蹂躙された自分の人生を償わせるために、神社を目指すのだった。途中で出会った猟師は何か秘密を持っているようで、おすなの行動を止めようとする。山の神の正体と、おすなが持つ能力の顛末がラストに向かって明かされていく――。

〇日野さん:縁切神社を思いついたら、あとはスムーズでした。毎回私は怪談を書いているので、今回も怪談にするつもりでした。途中はいかに読者をひきつけるかと考えながら書きました。

書くときに読者に与えたいのは、感動よりも“驚き”と“引き”です。もともとショートショートが好きで怪談が好きなので、いかに驚かせるオチを持ってくるかばかり考えています。

「著者」兼「編集者」として/「デザイナー」とのやり取りについて

〇日野さん:今回、オンライン開催ということもあり、編集といってもほとんど誤字脱字チェックやリズムのチェックに終わったので、力足らずばかりの後悔が残っています。

デザイナーさんにはイメージとなる書影をディスコード上でやりとりし、お任せして素晴らしい表紙をデザインしていただきました。奇跡的に全員完走したことだけでも褒められる状態だと思います。新しい発見・・・オンラインは厳しいです。できたのが奇跡!

オンラインだったのでそんな感じでしたが、これがコロナ前のリアル顔合わせイベントのときは、かなり熱いやりとりがありました。罵声、泣き声、不満、不信、憎悪、喧嘩、離脱。初めて顔を合わせたものが創作論を展開するのですから一筋縄ではいきません。それはそれは熱いイベントです。

コロナ前ではプロモーションも派手でした。舞台上映、文字による個展開催。それぞれが縦横無尽にプロモーションを展開してました。本来なら、また飛躍を遂げるというときに、コロナによる中止、そして今年のオンライン開催。「世界が変わるというのはこういうことなんだなあ」と思いました。

小説コンクールに応募している方に向けてメッセージ

〇日野さん:今回のイベントは私にとても向いてるものでした。思いつくことがすぐできるタイプであり、書くスピードが速い。初速で勝負するなら、ほかの人よりも有利だと思って参加しました。

作品賞を受賞するまでに3回かかりましたが、なんとか受賞できて嬉しいです。今、コンテストはたくさんあるので、やはり自分に向いたものを探すというのはとても大事なことだと思います。

また何度もチャレンジするメンタルの強さも必要かもしれません。今回だって受賞できなければ、私は3回も作品では無冠ということを広く知らせるイベントになっていました。顔出しアリですからね。

以前、メディアファクトリーさんの雑誌『幽』の怪談文学賞で、私は3度最終候補として名前が残りました。4度残った人はいません。そこまでいったら、どこかで受賞してデビューしてしまうからです。こりゃあ4度残ったら恥ずかしいぞ、と思ってました。

それでも出そうとした矢先、賞自体がなくなってしまったのですがそのあと、3度最終に残ったということで、怪談文学賞受賞者がメインで名前を連ねる幽ブックスで電子書籍を出してもらえることになりました。中途半端に残ることで、そしる人もいるでしょうが、それをものともせずにチャレンジし続けることが大事だと思います。

ちなみに今、『東京リベンジャーズ』が好きなので、すぐ心の中のマイキー()が「ひよってんじゃねえよ!」と励ましてくれます。

伝えたいメッセージは 不撓不屈 です!

マイキー=『東京リベンジャーズ』の登場人物・佐野万次郎の通称。

日野光里さん、noteで「NovelJam」でのことを書かれていますので、併せてご覧ください。

「NovelJam 2021 Online」でのこと
「編集をやってみないか、と誘われた」
https://note.com/hinohinohikari/n/n4bb93788a937 

2回目に参加した「NovelJam 2019」でのこと
【「NovelJam 2019」の途中で、テレ東×noteクリエイターでつくるドラマ「知らない人んち(仮)」のnote版シナリオ募集のほうにシフトチェンジしました。それについてはこちらを↓】 (日野さん)

▼「テレ東ドラマ最終回名前と著作出ました」
https://note.com/hinohinohikari/n/n9aa11ae11c58 

【このドラマのエンドロールに作品名と名前を載せたかったんです。こっちを頑張ったので、「NovelJam 2019」では無冠でしたが、「知らない人んち(仮)」の続き企画となる「100文字アイディアをドラマにしてみた」で原案に選ばれ、ドラマ会議にもチームの一員と参加し、エンドロールに名前が流れました。それについてはこちらを↓】 (日野さん)

▼「無事に昨日テレビドラマエンドロールに名前流れました」
https://note.com/hinohinohikari/n/n2d7e6e4adc23 

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