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しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。

【小説 書こう と思っている方参考に】立川談慶さん 初の小説を上梓

『花は咲けども噺せども 神様がくれた高座』PHP文芸文庫

自らの経験をもとに書いた初の小説

「先日、どうすれば小説を書けるようになりますか?と聞かれて、まずはこの分野なら負けない!というものを作って、身近なところから書いてみるのがいいんじゃないか、と答えました」。

こう話すのは落語家の立川談慶さん(元研修科)。

これまで落語の知識を生かしたビジネス書や実用書を多数刊行。そして今年、初となる小説『花は咲けども噺せども 神様がくれた高座』(PHP文芸文庫) を上梓。自らの経験をもとに書いた、真打ちを目指して奮闘する若き落語家・山水亭錦之助の物語。

【小説 書こう と思っている方参考に】立川談慶さん 初の小説を上梓

『月刊シナリオ教室 2021年11月号』(10月末発行)に掲載予定の「先輩のオ・シ・ゴ・ト」では、本作の執筆エピソードを中心にお聞きしていますので、併せてご覧ください。

こちらのブログでは主に、「今回の小説を書くときに役立ったこと」をお聞きしました。「小説を書きたいけど、なかなか踏み出せない……」という方にとって、“最初の一歩”として実践できる内容になっています。先述した「自分の得意分野や身近なところから書いてみる」の他、これからご紹介する「特定の誰かのために書く」「早く書けるように練習を積む」といったところから是非はじめてみてください。

「師匠・談志のために!」

〇談慶さん:落語家は、前座→二ツ目→真打ちと昇進していきます。『花は咲けども噺せども 神様がくれた高座』の主人公・山水亭錦之助は二ツ目。

二ツ目は非常に中途半端な時期なんですよ。前座みたいに下働きは卒業しているけど、かと言って真打ちみたいな一人前じゃない。“花”は咲いたけれども、“実”にまでは成長していない。

でも逆に言えば、この時期に寄席以外の場所で落語をやったり、色々なことをした経験が全部財産になっているわけです。書いているときには、当時のエピソードが自然と出てきました。それぐらい強烈なことが沢山あったんですよね。

この時期は「師匠・立川談志の首を縦に振らせるために!」の一点張りでやっていました。

例えば、真打ちに昇進するにはトライアルを受けるのですが、学校の試験みたいに科目が決まっているわけではなく、「師匠が一回でも頷いてくれればいい」というアバウトな課題なんです。ですから、何をやってもいい。でも、普通にやったって評価してもらえない。師匠を喜ばせるにはどうしたらいいか、知恵を絞ってずっと考えて、雪駄にチップをつけた「雪駄タップ」をやりました。

こんなふうに、「とにかく師匠のために」でやってきたので、考えてみると何かをやるときは「特定の誰かに向けて」というのが自然と身についているかもしれませんね。

今回の小説だと、まずは「かみさんが面白がってくれれば!」と思って書きました。だから、何かを書きたいのであれば、恋人でもいいし、友達でもいいし、誰かそういう対象がいるとモチベーションが上がるんじゃないかな、と思います。

シナリオ・センター時代、早く書くことを信条に

〇談慶さん:シナリオ・センターに通っていたのは一番下っ端の前座時代。昔から文章を書くのが好きで、新作落語を作るときにも役立つだろうし、あわよくば自分の作品が映像化されたら嬉しいなという野心もちょっとあって、受講しました。

8週間講座では毎回課題が出ますよね。この添削ではいつも褒めてもらえて。師匠や兄弟子に叱られる日々の中で、それがもう本当に嬉しくて。

講座修了してからは、本科→研修科と進みました。中島玲子講師からは「深堀が必要ですね」とアドバイスいただいたことを覚えています。宇野耕治講師からは分析する能力やロジカルに考える能力を鍛えてもらいましたね。

本科や研修科の課題は毎週出していました。最低限、早く書くという枷を自分に課していたので。というのは、師匠から「いろはを覚えてこいって言われたら、いろはだけじゃダメなんだ」と言われたことがありまして。要するに「教わったことだけをやるんじゃなくて、その先を見せてみろ!」ということ。

で、信条にしたのがスピードをもって書くこと。ただ課題を書いているだけでは実力はつかない、それ以上の何かをしなければ、と思ったんですよね。早く書くクセはココで構築されました。だから今回の小説も、取り組んだ当初の2万5千字は3日間くらいで書けたんですよ。

シナリオの技術を落語に、小説に、そしてシナリオに

〇談慶さん:師匠は「“芸”は年をとらない」と言い続けていました。二十数年前にシナリオ・センターで学んだ“シナリオの技術”は身に沁みついています。落語も「柱」「ト書」「セリフ」で覚えるようになりましたし、古典落語をやるときも「小道具の使い方」を意識しています。

この小説を書くにあたっても、発想は完全にシナリオでした。いきなり「セリフ」から書き始めてみたり、「柱」と「ト書」を考える感覚で地の文を書きました。

落語に、小説に、とシナリオの技術を活かしてきましたが、いよいよ今度はシナリオそのものに活かします!実は今、脚本家・加藤正人さんのもとでシナリオを作成中なんです。楽しみにしていてください!

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※これまで取材させていただいた“先輩”の様々なオシゴトは、「脚本技術を活かした仕事とは/インタビュー記事一覧」をご覧ください。 
https://www.scenario.co.jp/online/21633/ 

「創作のスイッチをつねに、オンにしてください」

脚本家志望の方にも、小説家志望の方にも、シナリオの技術は役に立ちます。

『人間を描く』ためのスキルを身につけに来てください!

“最初の一歩”として、各講座に向けた体験ワークショップもオススメです。

※シナリオ作家養成講座とシナリオ8週間講座は、オンライン受講も可能です。

詳しくは講座のページへ

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