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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

学ぶもの

韓国演劇運動史(柳敏榮著・津川泉訳・風響社刊行)

受賞

シナリオ・センター代表の小林です。東京感染者はまたまた増え気味で445人。
減り方が鈍化している上、人の流れが多くなっているという、まだまだ怪しい状況らしいです。
日本は怪しい状況ばかりで、東京五輪パラリンピック組織委員会会長に橋本聖子大臣が就任とのこと。
なんだか透明性がどうのこうのと言っているわりにはちょっとなぁって感じがしますが。今さら驚くことでもないか。(笑)
信じられないことばかりの毎日ですが、全豪オープンで、大坂なおみ選手がセレーナ・ウイリアムズ選手を破って、決勝進出を果たしました。
こういうニュースは爽やかでいいですね。

今日は日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞されてた茜灯里さんが、受賞作の本を持っておいでくださいました。
受賞作「馬疫」(光文社刊)にちなんで、競馬の模様の帯に茜色の御着物というおしゃれなお姿にホレボレ。
ところが、楚々としたお姿から想像もつかないリケジョ。地球科学専攻、新聞記者をされ、馬術で優勝もされ、馬の獣医さんもされ、今は大学の科学コミュニケーションの先生でいらっしゃる。
その豊富な知識と経験から、受賞作は生まれたようです。
シナリオ・センターで学んだことがとてもプラスになられたとおっしゃっていただいた上に、まだ続けて学ばれるとのお話しもいただき、今日もまた新たなヤル気をいただきました。ありがとうございます。
その折、小説家の中山可穂さんもシナリオ・センターに通っていらしたと教えていただき、びっくり。これもまた嬉しいニュースでした。

今読み始めたのですが、グワーッと引きずりこまれる冒頭で、早く先を読みたい、茜ワールドに浸りたい気持ちでいっぱいです。
茜さんの処女作、後日ご紹介したいと思います。

韓国演劇運動史

脚本家の津川泉先生から、年の初めに翻訳された「韓国演劇運動史」(柳敏榮著・風響社刊行)をご恵送いただいたのですが、索引を入れて734ページというあまりの厚さ(本当は厚さというべきではないのですが、辞書みたいなのです)と、内容の重さに、なかなか読み切れませんでした。
津川先生も翻訳作業に6年の月日を費やされたとか。
韓国の演劇運動史ではあるのですが、日本と韓国の暗い歴史を教えてくれる本でもあります。
日本の植民地であった朝鮮、だからこそ、韓国演劇に日本は大きく関わっているのです。
政治的には、現在韓国との間は難しいところもあるようですが、植民地であった過去を振り返れば、むべなるかなと思います。
ですが、演劇という世界の中ではよきにつけ悪しきにつけお互いに刺激し合っていたように思います。
韓国演劇の120年の歴史を運動史という観点から、開化期、日帝時代、動乱、民主化、世界化に至るまで、韓国社会と舞台の両面から書かれたとのことですが、そこには常に日本が影響しているように見受けられました。
歴史の重みを知ることも、韓国映画やドラマを楽しむことも、私たちの根っこにこうしたものが流れているということをちょっとでも感じることは、創作者として大事なことなのだと思いました。

新井一が存命の頃、韓国の文化勲章叙勲者でいらっしゃる韓国シナリオ作家協会の故崔仁樹副会長がしばしばおいでくださって、「シナリオの基礎技術」について細かく質問されていらっしゃいました。
韓国シナリオ作家協会付属のシナリオ学校で、「シナリオの基礎技術」を基に教えるためでした。
崔仁樹副会長は、子供の頃植民地として日本語教育を受けた方で、日本語がお上手で話すことも書くこともおできになりました。どのようなお気持ちだったかは知る由もありせんが、その真摯なお姿に感銘を受けたものです。
そのご縁で、海賊版で出ていた「シナリオ基礎技術」を、ちゃんとした韓国の出版社から「シナリオの基礎技術」「シナリオの技術」を出版していただきました。
また、韓国シナリオ作家協会の教本として使っていただいています。
韓国のシナリオライターの方が、「シナリオの基礎技術」から学ばれて、面白い映画やドラマを描いているかもと思うとちょっと幸せな気分になります。

全ての文化芸術は、国も人種もイデオロギーも越えたところにあると思います。
創作者として大きく広い視野でみることができるように生きていきたいです。

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